大車輪 -奥深き麻雀ローカル役-
- 大車輪とは?
- 大車輪採用状況
- もし採用されていない場合・・・?
- 大車輪のバージョン違い
- 小車輪(ショウシャリン)
- 中車輪(チュウシャリン)
- 大竹林(ダイチクリン)
- 大数隣(ダイスウリン)
- その他のローカル役
- 石高シリーズ
- 交通シリーズ
- メイドインアメリカ
- まとめ
大車輪(ダイシャリン)とは、麻雀のアガり役で一般的に採用されている37個の役以外の一部地域で採用されているローカル役と呼ばれる役の中の一つです。そんな数あるローカル役の中でも有名なものが大車輪です。もし採用されていなくてもこの形でアガったら3倍満確定です。知らなくても損をしないが、知っていたらいつか役に立つかもしれない、ローカル役・大車輪を覚えて、少し自慢げに大車輪と言ってアガってみましょう。
大車輪とは?
大車輪の条件
- 筒子の2から8を対子で集める(ほかの色でも可という例外あり)
- メンゼンのみ成立
- 基本的には役満
大車輪とはピンズの2から8を対子で7組揃えることによって成立する役満(麻雀の最高点。親48000点/子32000点)のローカル役です。言いかえれば、清一色(チンイツ)の七対子型ですね。
つまりは、
この形に揃えることが絶対条件です。鳴きはなしでメンゼンのみ認められます。
なぜ、これが大車輪なのかというと、見ての通り、筒子を車輪に見立て、大車輪なのです。
稀に萬子や索子でもこの形を大車輪と認めるケースもありますが、原則的には筒子限定の役です。筒子でなければ車輪でもなんでもないですし・・・。
しかし、数字は限定せず、筒子の七対子形の清一色ならば成立、とする場合もあります。一般的な役でないので、もし大車輪でアガれそうなら、どこまで許されるか事前に確認しましょう。もし確認しづらい相手だったら潔くあきらめましょう。もし大車輪が採用されていなくても役の複合で11翻確定の3倍満になる大きな手になります。
*清一色=一種類の数牌のみで成立する役。
*七対子=7組の刻子で成立する役。
大車輪採用状況
大車輪は昭和中期の麻雀ブームの際に考案された役です。なので、一般的には認められていない場合が多く、当時のルールを守る雀荘や地方の一部の雀荘では採用されていることもありますが、関東の雀荘ではあまり採用されていません。数ある麻雀の競技団体でも採用されていません。
セガの麻雀ゲーム、MJシリーズではかつて採用されていましが、2010年4月にルール変更が廃止になりました。何だか少し残念です。
麻雀のコンピューターゲームだと、稀に採用されている場合があります。ゲームボーイ用ソフトで任天堂から出ていた「役満」というソフトでは大車輪は採用されていました。
大車輪を採用している麻雀ゲームでは、コナミが出している日本プロ麻雀連盟公認のアーケード用ゲームの「麻雀格闘倶楽部」とオンライン麻雀ゲームの「真・雀龍門」が採用しています。
そして、オンライン麻雀ゲーム「ジャンナビ」でも、チャット対局で卓作成時にルール設定できるローカル役の一つとして大車輪があります。
そのうちの一つの「真・雀龍門」での大車輪をアガった映像です。
もし採用されていない場合・・・?
もしも、大車輪という役が存在しないルールでも、この形は高得点に結びつきます。
大車輪がない場合、清一色(6飜)・平和(1飜)・タンヤオ(1飜)・二盃口(3飜)の4つのアガり役が複合しているので、合計11翻確定です。
大車輪は形としては「清一色の七対子形」ですが、このような複合の場合、得点の高い方が優先されるので、「清一色+七対子」ではなく「清一色+平和+タンヤオ+二盃口」の方が優先されます。
テンパイ時の染め手ならではの複雑な待ちになるので、ピンフの両面待ちにならないのでは、と感じますが、必然的に両面まち、3面待ちになる形です。。
尚、メンゼンであるためツモアガりの場合、メンゼンツモで+1翻。リーチをかければ+1翻。もしくは、ドラが乗れば、裏ドラが乗れば・・・、といったように、条件が合えば大車輪という役がなくても数え役満になる可能性は高いです。
配牌時に筒子で手牌が偏っていて清一色がいけそうな場合、大車輪があろうとなかろうと、この形を目指すのも一興です。もしアガれたら試しに大車輪、と仲間内なら宣言してみましょう
大車輪、ここで狙え
もし、大車輪が採用されているルールの場合、何をポイントで狙えばいいのか、というと、
基本的に、清一色の七対子形の役になるので、その二つの役を狙う時のポイントを頭に入れて大車輪を狙っていくのが得策だといえます。
七対子は対子が5つぐらいあった場合に狙っていくのがセオリーとされています。清一色は一種類の数牌のみで成立する役なので、やはり配牌時にいずれかの牌で偏っている時に狙える役です。
なので、配牌時に一種の数牌で偏っていて、そして尚且つ、その後ツモで対子形で手牌が伸びて、対子が5つぐらいになったら大車輪の可能性を考えるというのがポイントです。
そう考えるとかなり難しく感じますが、やはり役満なので難しいです。もしチャンスがあったら狙ってみてはいかがでしょうか。
ローカル役について
ローカル役と呼ばれる役には大まかにわけて3種類に分けることが出来ます。
- 古役(コヤク)=古い中国麻雀発祥の役
- アメリカや台湾などの外国発祥の役
- 日本独自に作られた役
といったように分類することができ、大車輪は日本独自に作られたローカル役です。
現在公式に採用されている、七対子や緑一色(リューイーソー)はアメリカで作られたので本来ローカル役です。リーチやドラも日本独自で生まれたので本来ローカル役です。
しかし、それらの役は大車輪より成り立ちが古く、さらに広く普及されたため正式な役やルールになりました。大車輪はそれらと比べると新しく、認知度が低いためローカル役のままなのだと思います。
麻雀は世界的にルールを変え広まっていますが、大車輪はというとあまり認知率は高くなさそうです。「the big wheel」や「great wheel」といった訳語で紹介されていることはあります。
大車輪のバージョン違い
大車輪は基本的に筒子の2から8までの数字に限定した役です。しかし、違う数字や違う数牌で大車輪の形を作った場合成立する、大車輪のバージョン違いとも呼べるローカル役も存在します。
小車輪(ショウシャリン)
小車輪とは、名前の通り、大車輪と同じように筒子の対子を使って成立する役です。
(例)
小車輪の条件はローカルルールならではの揺らぎがあり、ばらつきがあります。
- 筒子の1から7で作ったもの
- 筒子の3から9で作ったもの
- 7連番にはなっていないが6連番になっているもの
- 筒子によるメンゼン清一色・七対子
以上の4つの条件を小車輪とする場合があります。
例え小車輪があり、というルールでも、このように成立の条件が4パターンもあります。小車輪と言ってアガったとしても、その場所では自分が小車輪と思っている並びでも小車輪と認めない可能性があるという事です。
こういった意見の食い違いはトラブルの元になる可能性があるので、事前に確認しておきましょう。
厄介なことに、小車輪は点数の定義にもばらつきがあります。
- 役満(親48000点/子32000点
- 大車輪はダブル役満(親96000点/子64000点)で小車輪は役満
- 倍満(親24000点/子16000点)
- 跳満(親18000点/子12000点)
といったように、役満だと思い込んでいても、場所によっては跳満止まりなこともあり得るのです。
ローカルルールならではの定義の揺らぎの象徴みたいな存在が小車輪です。小車輪も含め、事前のルールの確認が大切だということですね。
中車輪(チュウシャリン)
大車輪や小車輪の派生役とも呼べるのがこの中車輪です。知名度としては大車輪や小車輪よりも劣ってしまう、少し影の薄いローカル役です。
(例)
条件としては、筒子の清一色の七対子形で連続した数字になっていないものです。大車輪、小車輪と違い、連続している数字で成立していますが、その数字が一つ飛んでいるのが中車輪です。基本的には役満扱いですが、場合によっては小車輪のように点数が違う事もあります。
大竹林(ダイチクリン)
大竹林とは大車輪の索子バージョンです。
(例)
大車輪は稀にゲームなどでも採用されている場合がありますが、大竹林は採用されているケースはありません。筒子を車輪に見立てて大車輪と名付けられていることに対して、大竹林は索子で統一されているため、竹林を見立てて作られている役です。
大竹林が採用されている場合、点数は役満です。
大数隣(ダイスウリン)
大数隣とは大車輪の萬子バージョンです。
(例)
大竹林と同じようにゲームでも採用されていることもないい上に、残念ながら大竹林よりも知名度は低いです。
しかし、この役が採用されている場合、点数は役満です。
その他のローカル役
ローカル役というのは星の数ほど存在しています。その中のユニークなものを紹介したいと思います。
石高シリーズ
萬子の清一色で、数の合計の数字を江戸時代までの領地の面積の単位である石高に見立てたローカル役がいくつか存在します。
加賀百万石
萬子の数字の合計が100以上になった場合成立する役です。100ちょうどの数の場合、ダブル役満にすることもあります。
(例)
ちなみに、加賀藩は現在の石川県にあたり、大河ドラマで唐沢寿明が演じたことでおなじみの前田利家が藩祖である前田家がおさめていました。
紀州五十五万石
發が三枚と萬子の数の合計が55になった場合成立する役です。
(例)
發が使われているのは、徳川の紋章になっている葵の代わりに發を使っているようです。
ちなみに、紀州藩は現在の和歌山県と三重県南部にあたり、徳川御三家の一つである紀州徳川家がおさめていました。
水戸三十五万石
萬子の清一色で数の合計が35以下になった場合に成立する役です。紀州の場合と同じように、發を含んでも可とする場合もあるそうです。
ちなみに、水戸藩は現在の茨城県中部、北部にあたり、水戸黄門でおなじみの水戸徳川家がおさめていました。
交通シリーズ
いろんなものをこじつけて新幹線や船、道路に見立てたローカル役です。
東北新幹線
東と北を刻子と雀頭にして、索子の一気通貫を作ると成立する役です。つまり、一気通貫と混一色の複合した形です。
(例)
字牌の東と北を東北として、索子の一気通貫の形を新幹線に見立てている役です。索子でなく、筒子でも可とすることもあります。
東北自動車道
これも東北新幹線と同じアイディアの役です。筒子の2、4、6と東と北を使って成立する役です。
(例)
筒子の2を二輪車、4を中型車、6を大型車に見立てている役です。
青函連絡船
發を槓して、北を雀頭にし、一気通貫を作ると成立する役です。
(例)
發を青に、北を北海道に見立てている役です。一気通貫部分は縛りはないですが、筒子、もしくは索子のどちらかという場合があります。
メイドインアメリカ
アメリカで作られたかは定かではないですが、アメリカで作られたと言われ、アメリカに由来するローカル役があります。
南北戦争
南を三枚と北を三枚、そして別々の数牌で「1861」と「1865」を揃えて成立する役です。
(例)
奴隷制度廃止のきっかけになったアメリカの南北戦争に由来したローカル役です。映画「風と共に去りぬ」で描かれた時代ですね。1861は開戦した年、1865は終戦した年を指しています。年号も覚えることが出来る勉強になる役となっています。
見ての通り「4面子+1雀頭」の原則にはなっていないイレギュラー役です。別々の数牌でなく、同色の数牌や、萬子のみ、といったように条件が異なったりすることがあります。
金門橋(ゴールデンゲートブリッジ)
123、345、567、789という4面子を揃えることが条件の役。雀頭は制限がない場合もあるが、同色の5のみとする場合もあります。また、清一色の条件を満たさないといけない場合もあります。
(例)
ゴールデンゲートブリッチというのはサンフランシスコにある有名な吊り橋です。ヒッチコック監督の映画「めまい」で印象的に使われている橋ですね。
ゴールデンゲートブリッチの名前の由来としては、順子の端と端が繋がってる状態を吊り橋に見立てている事からゴールデンゲートブリッチという役になっています。
まとめ
数あるローカル役の代表格なのが大車輪です。大車輪をベースに中車輪や小車輪、はたまた大竹林や大数隣などのバリエーションもあります。しかし、競技麻雀では採用されていることもなく、このようなローカル役を覚えていてもたいして役には立たないかもしれません。しかし、知っていれば話も弾むし、仲間内で打っていれば、ちょっとローカル役を取り入れて楽しむのもまた一興ではないでしょうか?ただ、大車輪も含め、ローカル役は定義があいまいになることもあります。トラブルにならないように、ローカル役を使う時はしっかりと事前に確認してからにしましょう。
皆さまからのコメントと麻雀豆腐編集部からの返信!
平和はリャンメン待ちじゃないと役が付かないので、三倍満確定ではないと思います
麻雀豆腐編集部です。
麻雀豆腐サイトのご利用誠にありがとうございます!
>平和はリャンメン待ちじゃないと役が付かないので、三倍満確定ではないと思います
記事記載のアガリ形であれば、一見、七対子の単騎待ちのようにみえますが、
両面待ち(あるいは3面待ち)としてみることもでき、考えられる大車輪のすべての待ち方はこのようになります。
ですので、得点の高い方である清一色+平和+タンヤオ+二盃口として計算され少なくとも3倍満となります。
お役に立てますと幸いです。
今後とも麻雀豆腐を宜しくお願い致します。
小車輪が跳満扱いなことがあるっていうのは始めて聞いた…
門前清一色二盃口なんだから少なくとも倍満はあるのに…
麻雀豆腐編集部です。
麻雀豆腐サイトのご利用誠にありがとうございます!
>門前清一色二盃口なんだから少なくとも倍満はあるのに…
仰る通りです!小車輪の点数の定義にはばらつきがありますが、もともと門前清一色、二盃口(七対子)で倍満以上は確定なので、跳満扱いはあまり意味がないようにも思えますね(>_<)もし小車輪が跳満扱いであるならば、一般的には高点法により小車輪ではなく門前清一色、二盃口(七対子)の役が成立すると思われますので… ローカル役は地域やその場の取り決めによって定義が異なるので、奥深いですね。 今後とも麻雀豆腐を宜しくお願い致します。