河底撈魚(ホウテイラオユイ)で画竜点睛。最後まで気を抜くな!【1翻役】
河底撈魚(ホウテイラオユイ)、その意味は「河底の魚をすくい取る」。そんな名前を持つ役があります。しかし、河底の魚とは一体どういうことでしょう?麻雀では捨て牌を並べる場所を河(ホー)と言います。どうやら、その河(ホー)と関係がありそうです。それでは、釣竿を持って、捨て牌の河(ホー)にひそむ魚の正体を突き止めてみましょう!
河底撈魚 (ホウテイラオユイ)とは?
河底撈魚(ホウテイラオユイ)、冒頭でも触れた通り、捨て牌を並べる場所である河(ホー)に関係があります。ご存知の通り、他家(ターチャ=他のプレーヤー)が牌を捨てた時、その捨て牌がアガり牌であればロンを宣言できます。では、河底撈魚はロンの事なのでしょうか。半分正解です。ヒントは河底です。河底の"底"とは一体どこかを考えてみてください。底、河の一番奥深い場所・・・、河の一番最後、つまりその局の最後の捨て牌の事です。
そうです、その局の一番最後の捨て牌でロンをすると成立するのが河底撈魚(ホウテイラオユイ)なんです。
- 河底撈魚(ホウテイラオユイ / ハイテイロン)
- テンパイの形河底
- 1翻 鳴きOK 出現率:0.5%
牌山からツモることができる最後の牌を海底(ハイテイ)といい、その海底牌をツモしたプレーヤーが捨てた牌でロンをすると成立。正式にはホウテイですが、ハイテイツモとのセットでハイテイロンと呼ばれる事が多い。
最後の最後、その捨て牌が通れば(ロンされなければ)その一局が終了するというタイミングでのロン。これはシビれますね、1翻役になるのも頷けます!
しかし、最後の捨て牌とは具体的にどの牌の事?と疑問に思われる方もいるかもしれません。もう少し詳しく「最後の捨て牌」について説明しましょう。
麻雀では、1ゲームのことを1局と呼びます。1局は誰かがアガるか壁牌(ピーパイ)が全て無くたった時点で終了します。
壁牌(ピーパイ)は、山(ヤマ)や牌山とも呼ばれる、プレーヤーがツモをする為に積み上げられた牌の事です。
この壁牌(ピーパイ)が全て無くなったら、誰もアガっていなくてもその局は終局となります。王牌(ワンパイ)とは終局時まで必ず残さなければならない牌で、全部で14枚あります。
では、壁牌(ピーパイ)が全て無くなり、最後の捨て牌が捨てられた場面を見てみましょう。
上図のように全ての壁牌(ピーパイ)が無くなった状態で最後に捨てられた牌が、河底撈魚の対象となる「最後の捨て牌」です。捨て牌が並べられる河の一番最後、まさに河底という訳です。その河底に潜む魚(捨て牌)を見事釣り上げたら(ロンしたら)、河底撈魚の完成です!
ちなみに、誰も鳴かずに(ポン、チー、カンをせずに)その終局した場合、最後に牌を捨てるのは南家となります。最後に捨て牌をするプレーヤーだけ河底撈魚のチャンスが無いと思うと、少々不公平な気がしますが、実はそうではありません。その答えは海底にあります・・・。
海底撈月(ハイテイラオユエ)とは?
河底の次は海底です。海底撈月(ハイテイラオユエ)という役について説明します。海底撈月(ハイテイラオユエ)、その意味は「海に映った月をすくい取る」。河(ホー)で魚を釣っていた漁師から、一気にロマンティストな詩人になった気分です。
ここで海底撈月を紹介するのには当然理由があります。その理由は、海底撈月の成立条件を知ればおのずと分かります。海底撈月とは、海底牌(ハイテイハイ)でツモアガりした時に成立する役 です。
- 海底撈月(ハイテイラオユエ / ハイテイツモ)
- テンパイの形海底
- 1翻 鳴きOK 出現率:0.35%
牌山からツモることができる最後の牌を海底(ハイテイ)といい、その海底牌をツモしてアガると成立。海底摸月(ハイテイモーユエ)とも呼びます。
なるほど、なるほど、そういうことか!・・・って、なりましたか?
なった人はここは読み飛ばしてしまってOKです。そうでない人は、海底牌が分からないのだと思うので、このままどうぞ。海底牌とは、その局で最後にツモる牌、壁牌(ピーパイ)の最後の牌のことです。
『 海底牌(ハイテイハイ) 』
王牌(ワンパイ)を除いた壁牌(ピーパイ)の最後の1枚。つまり、プレーヤーがツモをする事ができる最後の牌の事です。
海底牌、理解できましたか?これで、海底摸月もスッキリ理解できたかと思います。河底撈魚は、その局の最後の捨て牌でのロン。海底牌は、その局の最後のツモ牌(海底牌)でツモ。そういう事です。
河底撈魚のチャンスは、最後に牌をツモるプレーヤー以外の3人にチャンスがあります。一方、海底摸月は最後にツモるプレーヤー1人にだけチャンスがあります。これで上手い感じに平等になりましたね。
余談ですが、海底撈月には四字熟語で「無駄骨を折るだけで全然見込みのないこと」という意味もあります。最後の最後にツモった牌にアガりを期待するなんて、「無駄骨を折るだけで全然見込みのないこと」ということなのですかね。
河底(ホウテイ)=海底(ハイテイ)?呼び方の不思議。
今回紹介している河底撈魚(ホウテイラオユイ)と海底撈月(ハイテイラオユエ)、実は両方ともフルネームで呼ばれることはあまりありません。河底撈魚(ホウテイラオユイ)も海底撈月(ハイテイラオユエ)も、どちらも海底(ハイテイ)と略されることが多いです。海底撈月(ハイテイラオユエ)を略して海底(ハイテイ)は分かりますが、河底撈魚(ホウテイラオユイ)まで海底(ハイテイ)と呼ばれるのは腑に落ちません。一体どんな理由があるのかと思いきや、実はこれ単純に海底摸月と混同した誤用なのです。誤用が広まって、一般的にそう呼ばれるようになってしまいました。ちなみに、海底撈月を「ハイテイツモ」、河底撈魚を「ホウテイロン」などと呼び分ける事も多いので、覚えておきましょう。
またまた余談ですが、この河底撈魚は日本で生れた役で、昭和5年に日本麻雀連盟が制定したのですが、その際、河底撈魚という役名について、「魚では生臭そう」、「もっと優雅な名前が良い」、「河底撈藻(ラオモウ)はどうか?」などという意見が出たそうです。しかし、標準ルール起草委員の木村衛6段の提案で、結局「河底撈魚」に落ち着きました。
ところが制定直後、「河底撈珠」(ホウテイラオチュ、河の底の珠を獲る)という中国の故事があるのが分かり、河底撈珠にしておけば海底摸月と並んで優雅な役名が揃ったのにと、当の木村衛6段が非常に悔しがったそうです。
海底牌に関する注意点
その局の最後のツモとなる海底牌には、いくつか注意しなければならない点があります。
1 海底牌でカンはできない
海底でカン(暗槓または加槓)をしてしまうと、嶺上牌(リンシャンハイ)から1枚ツモされることにより、必ず14枚残さなければならない王牌(ワンパイ)が13枚になってしまうので、カンをする事はできません。
2 海底牌ツモ後の捨て牌では鳴けない
海底牌をツモした後の捨牌を河底牌(ホウテイハイ)といいますが、他家はこの河底牌を鳴く(ポン、チー、カン)ことはできません。
3 海底の直前では立直(リーチ)できない
王牌を除く壁牌(ピーパイ)の残りが、海底牌を含めて4枚以上残っていない場合、立直(リーチ)をかけることができません。立直後に最低1回は自分のツモが残されていなければならないからです。
※Mリーグや日本プロ麻雀協会、日本プロ麻雀連盟、最高位戦日本プロ麻雀協会などのリーグ戦ではツモ番なしリーチも認められています。
海底摸月と嶺上開花(リンシャンカイホウ)
海底摸月と嶺上開花は複合するのか?という話なのですが、結論から言うと、海底摸月と嶺上開花は複合しません。
海底牌の一つ前の牌をツモした際に暗槓または加槓を行い、その嶺上牌でツモ和了した場合、元々の海底牌は王牌に補充されることになります。すると、結果的に海底牌の一つ前の牌がその局の最後の牌となるので、海底摸月が成立するのではないかという話をよく聞きます。
しかし、海底牌そのものでツモアガりをする事が海底摸月の成立条件ですので、上記のケースでは海底摸月は成立しません。つまり、最初に述べた通り、海底摸月と嶺上開花は複合しないという事です。
海底撈月と河底撈魚のローカル役
海底撈月と河底撈魚に関連したローカル役が存在します。元々は一般的に採用されていた事もある古役だそうです。
ローカル役が採用されていない場で、ローカル役でアガりの宣言をすると、チョンボ(反則行為)とみなされる場合もありますので、ご注意を。
- 白底撈魚(ハクテイラオユイ)
- 2翻
- 鳴きOK
- 出現率:不明
- 「白」で河底撈魚をアガると成立する役
- 九筒撈魚(チューピンラオユイ)
- 満貫~役満
- 鳴きOK
- 出現率:不明
- 九筒で河底撈魚をアガると成立する役。九筒の絵柄を魚の群れに見立てている。
基本的に満貫以上の扱いとなるが、場によって異なる。
- ダブリー河底撈魚
- 役満
- 門前のみ
- 出現率:不明
- ダブル立直で河底撈魚を成功させる。
※ダブルリーチとは、親の場合は配牌で、子の場合は最初のツモで立直(リーチ)をかけることです。
- 一筒摸月(イートンモーユエ)
- 満貫~役満
- 鳴きOK
- 出現率:不明
- 一筒で海底撈月をアガると成立する役。一筒の絵柄が満月に見立てている。
基本的に満貫以上の扱いとなるが、場によって異なる。
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プロから一言!
鈴木たろうプロから一言!
実はハイテイとは別の役。
ホウテイの一打は前巡まで通っていた牌が当たる可能性も……。慎重に!