渋川難波 解説者としても選手としても一流の”魔神”,mleague

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渋川難波 解説者としても選手としても一流の”魔神”,mleague

渋川難波プロは、プロ入り前はネット麻雀「天鳳」の高段位者と知られ、プロになってからも所属団体である日本プロ麻雀協会の主要タイトルを全て獲得するほどの腕前です。そして、麻雀対局の解説者としても定評があり、Mリーグの公式解説を務めた後、鳴り物入りで2022年にMリーグ・KADOKAWAサクラナイツにドラフト指名を受けMリーガーとなりました。麻雀は強いけど、愛すべきいじられキャラの"魔神"渋川難波プロについてご紹介します。

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“魔神”渋川難波プロについて

プロフィール

  • 名前:渋川 難波(しぶかわ なんば)
  • 生年月日:1986年5月19日
  • 出身:広島県廿日市市
  • 学歴:広島市立大学情報科学部
  • 血液型:A型
  • 好きな物:将棋
  • 所属団体:日本プロ麻雀協会
  • Mリーグチーム:KADOKAWAサクラナイツ
  • X(旧Twitter):@sibukawarou
  • YouTube:渋川式 麻雀通信

渋川難波プロの本名は"難波こうへい(漢字不明)"です。奥さんからは"こうくん"と呼ばれており、家での一人称も"こうくん"と言っていると語っています。(【切り抜き】衝撃の事実!渋川難波の一人称は「こうくん」・・・!)。親しい麻雀プロや麻雀ファンからは、"しぶ"の愛称で呼ばれています。

「魔神」というキャッチフレーズで知られており、これは麻雀プロになってすぐの時に、福地誠さんの紹介で近代麻雀のコラムの仕事をした時につけられました。自分で考えた「最強の積み木遊び」という名前もありましたが、ほとんど使われていませんでした。

麻雀プロになる前から、インターネット麻雀「天鳳」で最高十段に到達した経験があり、ネット麻雀界では有名な雀士でした。天鳳のIDは"闘士☆渋川老"という名前で、渋川難波という名前はこのハンドルネームと本名を掛け合わせたものです。

所属団体の日本プロ麻雀協会の全ての主要タイトル、雀竜位、日本オープン、雀王を全て獲得しており、矢島亨プロ以来二人目となるグランドスラムを成し遂げました。

将棋の藤井聡太さんと顔が似ているという言われており、日本テレビ番組「ZIP!」で、藤井聡太さんのそっくりさんで8つのタイトルを獲得した"麻雀界の八冠"として取り上げられたことがあります。しかし、ちゃんとしたタイトルの他に、参加者3人のYouTube配信「雀魂ななしサンマ杯」といった大会や参加者4人のテレビ番組「LEGEND vs New generation」といった大会での優勝もタイトルに入れており、ちょっと無理やり感のある八冠でした。

奥様はりんかりん

日本プロ麻雀連盟所属で"りんかりん"の愛称で知られている早川林香プロと結婚したことを2023年3月24日に自身のYouTubeチャンネルで発表しました。

    • 名前:早川 林香(はやかわ りんか)
    • 生年月日:1991年6月25日
    • 出身:宮城県仙台市
    • 学歴:尚絅学院大学人間心理学科
    • 血液型:A型
    • 好きな物:ゲーム、アニメ、旅行
    • 特技:ブラインドタッチ、電卓早打ち
    • 所属団体:日本プロ麻雀連盟
    • X:@pipirurinka
    • YouTube:りんかちゃんねる

    二人が親しくなったきっかけは、早川プロがミスが1つか2つしかなかったけど負けてしまって悔しいという話を渋川プロにしたところ、後日、その対局を見た渋川プロは「全部見たのですが、良かった打牌が1.2個しかありませんでした」と厳しい評価をしたのですが、これが早川プロにとっては良かったようで、麻雀について厳しく言われたのは初めてだったので、かなりの衝撃を受けたと初めての出会いについて語っています。(魔神の嫁のMリーグ応援記【早川林香】より)

    それまで、二人がお付き合いしているという噂もなく、麻雀ファンはびっくりしました。この結婚発表は日本のX(当時はツイッター)の日本のトレンド8位になるほどでした。

    渋川プロのYouTubeチャンネルには、それまで"鳴き声だけが聞こえるけど画面には登場しない猫"という存在があり、動物で再生回数を稼ぎたくないという苦しい理由で写さないようにしていましたが、本当はその猫は早川プロの飼っている猫の白(はく)で、二人の交際がばれないように写さないようにしていたという理由があったそうです。そして、渋川プロのYouTubeチャンネルの編集やサムネを作っていたのも、早川プロであったことも、結婚後に発表されました。

    日本オープンを獲得した後の祝勝会では三人、雀王を獲得した後の祝勝会は四人しか集まらなかった、という伝説を語っている渋川プロですが、3月26日に開かれた披露宴では多くの麻雀プロや関係者が集まり祝福されました。

    その披露宴では、Mリーグ2022-23シーズンの2022年10月11日第一試合で、渋川プロが、リーチを掛けた上家の仲林圭プロから、チー三回、ポン一回と全て鳴いて裸単騎となり、さらにそこに仲林プロが振り込んでしまい、全てを仲林プロが渋川プロに提供してしまい伝説となった一局の牌譜を再現したウエディングケーキが用意され話題となりました。

    また、親友・堀慎吾プロは9時渋谷集合だったのに9時10分に起きる大遅刻、披露宴に遅れて参加したうえに携帯で将棋ゲームをしているという情報がリークされ、堀プロらしいマイペースな行動も話題となりましたが、スピーチでは「難波ちゃんが首を切られないように、僕がしっかり勝ちます」と話し、二人の関係性が見える温かい言葉に多くの麻雀ファンが感動しました。

    2024年2月5日に放送された「熱闘!Mリーグ」では、家事全般は早川プロが担当していたり、渋川プロが自分の足の爪を早川プロに切らせたり、喧嘩した時は「この家を買ったの誰だと思う?」とモラハラ発言をしている、といった話を披露したのですが、自身のYouTubeチャンネルで、多くの部分がカットされ、早川プロは好きでやってるし、モラハラ発言も二人の冗談でしかないと、仲良さげに釈明しています。(【釈明会見】渋はモラハラ男?『この家誰が買ったと思う?』の真相!)

    堀渋コンビ

    Mリーグ・KADOKAWAサクラナイツのチームメイトで同じく日本プロ麻雀協会に所属している、堀慎吾プロは、お互いに"親友"と呼ぶ仲であり、最近では"堀渋(ホリシブ)コンビ"と呼ばれています。

    堀プロは1984年生まれで2010年にプロ入り、渋川プロは1986年生まれで2011年にプロ入りし、協会最高峰のタイトルである雀王を堀プロは2019年に獲得、渋川プロは2021年に獲得するなど、同世代で同時期にプロ入りし、共通点も多く切磋琢磨してきた仲です。

    KONAMI麻雀格闘倶楽部の"タキヒサ(滝沢和典プロ、佐々木寿人プロ)"やEX風林火山の"るみあき(二階堂瑠美プロ、二階堂亜樹プロ)"といったように売り込むためにコンビが作られましたが、2022-23シーズンは堀渋コンビで第一試合・第二試合に臨むが結果が出ない事が多く、封印されました。しかし、2023-24シーズンの2月1日の第一試合に堀プロが勝利を挙げ、第二試合で渋川プロが勝利し、結果を出しました。

    山梨の架空の彼女事件

    麻雀ファンの間では有名な話になっているのが、昔、難波プロには山梨に住んでいて遠距離恋愛をしているという"設定"の"存在しない彼女"がいたという話です。

    堀プロ曰く、まだ24歳で東京へ上京したばかり渋川プロは、雀荘で一緒に働いていたメンバーに彼女いる?と聞かれ、彼女がいないことがかっこ悪いと思った渋川プロがとっさに、存在していない、山梨に住んでいる彼女がいる、と口にしたことがきっかけだったそうです。本人曰く、この"山梨の女"が初めての彼女だったそうです。しかし、その存在は多くの人が怪しんでいます。

    渋川プロの周りは、その彼女の存在を怪しんでおり、ある日問いただすと設定ががばがばであり、その後、名前を聞いても覚えていない、写真も持っていない、初めて付き合った彼女の名前を覚えてないのはおかしいと言っても、それは別れて麻雀に打ち込み過ぎて忘れただけだと言うなど、確かに聞けば聞くほど、その存在が怪しく感じます。

    存在した証拠として、当時、山梨ではSuicaが使えなかった、それを知っているのは彼女に会いに実際に山梨に行ったことがあるからだ、と渋川プロは説明しますが、それが証拠としてはあまりに弱すぎるし、100歩譲って、別の用事で山梨に行っただけかもしれないですし…。

    サクラナイツの配信で、森井監督、堀プロ、渋川プロでピクシブ百科事典の項目を作るという企画で、山梨の架空の彼女の項目を作る場面があります。二人の掛け合いが面白いです。

    Mリーグワースト記録と初トップ

    Mリーグ2022-23シーズンの2022年11月7日、渋川難波プロがMリーグに参加して1年目のシーズン、ここまでMリーグの舞台になかなか順応することが出来ず、絶不調でした。この日の第一試合、TEAM雷電・黒沢咲プロはリーグ最高得点記録を更新する11万2700点を叩き出します。高得点した人がいれば、その分、点棒を失った人が当然いるもので、この試合同卓した渋川難波プロは、Mリーグレギュラーシーズンのワースト記録である、₋47,600点を記録します。

    この試合、オンラインパブリックビューイングが行われており、この歴史的大敗の後、ファンからは渋川プロ連闘の声があがりますが、森井監督は渋川プロの連闘はないと否定。しかし、堀プロは渋川プロが行きたいと言ったら行かせた方が良いと発言し、元々第二試合登板する予定だった岡田紗佳プロも出番を譲るし、行く気だったら行かせようと同意します。堀プロには、絶対渋川プロは連闘したいはずだという確信を持っていました。

    そして、敗戦後のインタビューで渋川プロは「行くべき手は押せて、鳴くべきところは鳴けて、守るべきところは守れたので、次につながると思います」とコメント。まだ気持ちが折れてないと感じた、チームリーダー・内川幸太郎プロも行かせましょう語り、森井監督も渋川プロが行く気があれば連闘させようと決意します。ファンからは、親友堀プロのリベンジマッチを推す声があがりますが、ここで堀プロは「渋が行きたがってるはずだから、譲ります」と、いつでも打ちたい堀プロが、盟友渋川プロの心情を察した発言をします。

    そして、楽屋に戻った渋川プロに、森井監督は第二試合、連闘したいか尋ねます。渋川プロは「次も行きます」と力強く宣言、第二試合に臨みます。

    第一試合、記録的な箱ラスでしたが、渋川プロは今まで一番押せていたと語り、悪い感触ではなかったようです。この試合6リーチ、0和了、6放銃というスタッツで運も味方しませんでした。また、多井隆晴プロもこの試合、自身のYouTubeチャンネルの配信でいい打ちかたをしていたと語っており、復調の兆しはあったのかもしれません。

    森井監督の男気溢れる采配とチームメイトの後押しもあり、第二試合は見事Mリーグ初トップを飾り、記録的大敗直後に初勝利を挙げるという伝説の一日になりました。

    尚、この年のセミファイナルでは、内川プロが-54,500点でMリーグワースト記録を更新してしまいます…。渋川プロの₋47,600点はMリーグワースト2位記録で、レギュラーシーズンでは今もワースト記録です(2024年2月現在)

    闘牌監修

    • 鉄鳴きの麒麟児(作画:塚脇永久、掲載誌:近代麻雀)
    • 赤鬼哭いた(作画:小松大幹、掲載誌:近代麻雀)
    • 牌人ゲーム(作画:木乃ひのき 近代麻雀、掲載誌:近代麻雀)
    • キリンジゲート(作画:塚脇永久、掲載誌:近代麻雀)

    著書

    • 麻雀 魔神の読み(2012年9月発売、出版社:マイナビ)
    • 麻雀 魔神の攻め(2013年3月発売、出版社:マイナビ)
    • 麻雀 魔神の実戦(2013年9月発売、出版社:マイナビ)
    • 魔神ラーニング(2021年10月発売、出版社:竹書房)
    • 麻雀 天才の思考 魔神の選択 堀慎吾×渋川難波 ※堀慎吾との共著(2023年7月発売、出版社:KADOKAWA)

    ネット麻雀の猛者から人気Mリーガーとなった渋川プロの経歴

    一人麻雀で遊んだ幼少期

    渋川難波プロが生まれ育った環境には、常に麻雀が近くにありました。お父さんが大の麻雀好きで、家の本棚には麻雀漫画がたくさんあり、幼稚園に通う年齢の時から、その麻雀漫画に興味を持っていたのを渋川プロは覚えているそうです。

    小学生になると麻雀漫画を読むようになり、麻雀好きのお父さんから麻雀を教わりルールを覚えます。父親以外の家族は、母親と妹がいましたが麻雀を打てるのは父親のみで、当然仕事で外にいることが多く、周りの友達も麻雀ができるはずもないので、家で一人で麻雀をするようになります。どうやって一人で麻雀をやるかというと、渋川プロが一人で、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんと四人分の打牌を続け、その成績も付けており、自然と牌効率を学んでいったと語ります。

    渋川プロのお父さんの麻雀好きは有名で、"魔神の父のМリーグ観戦記"というタイトルで、近代麻雀の公式noteで渋川プロのMリーグの試合の観戦記を書いているほどです。お父さんは麻雀が好きすぎて、戦略本や片山まさゆき名作10選といった内容の本を自身で製本して作ったりするほどで、次第に竹書房の人を紹介してくれということになり、さすがにそれを出版することは出来ないが、その熱意は無下にできないと思った竹書房サイドは、noteで観戦記の連載をお願いすることになったそうです。

    幼少期から麻雀に打ち込んでいた渋川プロですが、麻雀以外には、中学校から大学まで卓球部に所属しており、お父さんの観戦記によると卓球の腕も相当なものだったそうで、卓球では無名の高校に進学するも、強豪校を破り県大会を突破し、中国大会に進出したほどだったそうです。その卓球パワーが麻雀に活かされている、らしいです。

    大学時代には、まだ当時は出たばかりだったインターネット麻雀「天鳳」で最高十段に到達する高段位者で、20歳の頃には天鳳を打ちながら実況解説をインターネットで生配信を行うなど、ネット麻雀界では名の知れた存在になります。しかし、大学ではプログラミングの勉強をしていて、あまり理解をすることもできず、それを卒業後に仕事にすることが出来ないと思い、大学三年生の時に麻雀プロになろうと決意し、両親に打ち明けますが、反対されてしまいます。今は麻雀プロになった渋川プロを応援してくれる魔神の父もこの時ばかりは反対したそうです。

    大学は4年で卒業しますが、就職活動はせず、そのままニートになりました。両親は1、2年仕事を探して、それでも麻雀プロになりたかったらなりなさい、と猶予期間を与えますが、渋川プロの気持ちは変わりはなく、とうとう両親も折れ、麻雀プロになることを許します。そうして、天鳳を通じて知り合った、東京で雀荘を経営している人物に、店で働かないかという誘いがあり、それをきっかけに、東京の雀荘で働き麻雀プロになるため、24歳の時に満を持し上京します。

    麻雀プロになり協会タイトルを総なめに

    上京した渋川プロは、2011年に日本プロ麻雀協会の10期前期生として麻雀プロになります。

    麻雀プロになって早々に頭角を現してきます。すでに名の知れた存在であった渋川プロは、近代麻雀のコラムを担当し、今でもお馴染みの「魔神」の愛称がつきます。2年目の2012年には、天鳳の配信を行っていた経験もあったため、初めてインターネット配信されることになった、団体最高峰タイトル「雀王決定戦」の対局解説に抜擢、以降、多くの対局解説を務めるようになります。そして、戦術本「魔神の読み」の出版、漫画「鉄鳴きの麒麟児」の闘牌原作が開始、また2013年2月には、26歳の時に協会のタイトルの一つである雀竜位を早くも獲得するなど、2年目にして、放送対局の解説、戦術本の出版、麻雀漫画の闘牌指導、タイトル獲得と大活躍でした。

    2015年には第13回野口恭一郎賞を受賞しました。これは、若手棋士を発掘することを目的とし、竹書房創業者である故・野口恭一郎が2001年に創立した賞で、筆記試験、面接を通過した8名のメンバーで対局を行い、受賞者が決まります。野口賞の受賞により、この年の麻雀最強戦とモンド杯の出場権を獲得し、注目度の高いテレビ対局に出場し知名度も上がりました。

    2017年には3月には、他協会のプロやアマチュアも参加する"第15回日本オープン"で優勝、協会2つ目のタイトルを獲得します。この時点でタイトルを複数獲得するなど、順風満帆にキャリアを麻雀プロとしてキャリアを重ね、十分知名度の高い麻雀プロであり、2018年から始まったMリーグでは、参加する可能性のあるプロの一人として名前を挙げられましたが、ドラフトで指名を受けることがありませんでした。

    ご自身では、麻雀が強くなる以外の事に関心を持たず、やるべきことを努力を十分にやっていなかったと分析しています。「ブログを定期的に書く、天鳳位を目指す、ツイッターをたくさん更新する、勉強会を開く、ゲストをたくさん引き受ける、身だしなみを整える、人付き合いをもっとしっかりするなど」、やるべきことはたくさんあったが、そういった麻雀以外の事をめんどくさがりやらず、麻雀に勝つことだけに関心をもっていた自分は、本当の意味で麻雀"プロ"でなかったと、自身のnoteで述べています。(Mリーグドラフトを終えて) 

    2018年の日本オープンも決勝戦に進みますが、日本プロ麻雀連盟所属で、Mリーグ・セガサミーフェニックス所属の魚谷侑未プロに敗れてしまいます。その時、堀プロが「難波ちゃんと魚谷さんの応援されっぷりは多分二千倍は違ったから、その差が出たね」と慰めにもならない言葉を掛けます。しかし、この頃から、渋川プロは麻雀以外の部分でも努力をすることを心掛けるようになります。

    Mリーガーになるために全力を尽くす

    堀慎吾プロが2019年に協会最高峰タイトル・雀王を獲得し、ファンサービスへの意識が変わり、2020年にはMリーグ入りをする姿を近くで見ていた渋川プロの意識も変わってきます。「堀さんがMリーガーになったのがうれしくて、悔しくて。僕が雀王を取っていたら、僕だったかな」と、堀プロがMリーガーになったときの気持ちを「熱闘!Mリーグ」で取り上げられた際に語っていました。そうして、渋川プロは今までと気持ちを切り替え、Mリーガーになるために、全力を尽くしていきます。

    まず、渋川プロの武器である、解説に力を入れていきます。Mリーグが始まり、他の麻雀対局を見る人も増えてきて、解説を聞いていますと声を掛けられることも多くなり、観ている人を明確に意識するようになったそうです。それまでは、コアな麻雀ファンに向けて、対局者が見返した時に盛り上がれるような内容だった解説が、ここは盛り上がるなと感じたら、自分の心に素直に盛り上げるように意識し、エンターテイメント性を高くする解説に変化しました。

    Mリーグ2年目となる2019-20シーズンに、渋川難波プロは初めて解説者として出演します。Mリーグ1年目の解説はMリーガーが交代で解説を務めていましたが、2年目からはMリーガー以外のプロも解説に呼ぼうという試みがあり、渋川プロへオファーがありました。この機会に何としても爪痕を残したい渋川プロは、初めてのMリーグ解説で不安も多いため、同じ団体に所属し気心の知れている松嶋桃プロが実況をする日に入ることを希望しました。その希望が通り、松嶋プロとコンビを組み、見事狙い通り爪痕を残し、そうして渋川プロはMリーグ2020-21シーズンよりMリーグ公式解説を務めることになり、解説者として人気を博します。

    2021年にはYouTubeチャンネル「渋川式 麻雀通信」を開設、1年間で5万人の登録者数を集める人気チャンネルとなり、"魔神"のキャッチコピーから怖いイメージも持っていたファンもいたそうで、"いじられキャラ"という今まであまり見せていなかった部分を見せ、そのギャップがファンに受け、人気が上がりました。

    渋川プロはMリーガーになるために、身だしなみを整えるといった努力も行います。麻雀を打っている自分の配信を見て、自分の腕の毛深さが気になると、脱毛サロンに通い、腕もつるつるにし、今まであまり気にしなかったくせっ毛の頭も、おしゃれにセットするといったように努力をしました。

    2021年の年末には、堀プロが雀王に輝いた2019年以来二度目となる雀王決定戦に進出し、念願のタイトルである"第20期雀王"を獲得しました。

    こうして、Mリーガーになるために全力を尽くした渋川プロは、2022年7月11日に開かれたドラフト会議にてKADOKAWAサクラナイツより指名を受け、公式実況者から選手となるという初めてのケースで、Mリーガーとなりました。

    雀力の高さはもちろん、YouTubeでの人気や解説者としての能力なども含め発信力の高さも評価しての指名だと森井監督は語り、Mリーガーを目指して挑戦してきたことが実を結ぶことになりました。入団会見では、緊張しまくりで岡田プロから「同じ答えしか返ってこないRPGの村人みたい」と突っ込まれる場面もあり、ガチガチでしたが、渋川プロらしい笑いがあって温かみがある入団会見となりました。

    1年目のシーズンは苦戦する場面が続き、レギュラーシーズン後半からセミファイナルにかけては調子を戻したものの、レギュラーシーズン通しての成績も-105.1ptと、退団した沢崎誠の穴を埋める活躍はできませんでした。

    Mリーグという舞台で結果を残していなかった渋川プロについて堀慎吾プロは、「いつも通り打てていればいいんですけど、僕から見たら若干緊張しているように見える。せっかく強いのにもったいない。強いんだから、いつも通りに打って。少なくともいい麻雀を打ってもらいたい」と、表現していました。(仲間から痛烈「難波ちゃん、ひよってるねー」Mリーグ1年目からどん底を見た渋川難波、最高にうれしい初トップまでの道のりより)

    全体的には悔しいシーズンとなった1年目のシーズン後、2023年に初めて開催された、Mリーガー32人と各団体からの推薦雀士20名を加えた計52名で行われたトーナメント大会「Mトーナメント2023」で優勝、初代チャンピオンに輝きます。この日は、奥さんの早川プロはリーグ戦で昇級を逃してしまう悔しい結果となり、「せめてそれを超える喜びを」とリクエストされたと明かし、その期待に応える、愛妻・りんかりんに捧げる優勝となりました。

    2年目のシーズンとなるMリーグ2023-24シーズンは、Mトーナメント優勝の勢いのまま好成績で常に個人ランキング上位に名前が載る活躍、まだ現時点ではレギュラーシーズン終盤ですが、サクラナイツは首位争いをする好調で、前年とは違い、チームの好調を引っ張る存在となっています。

    Mリーグ成績
    シーズン個人
    スコア
    平均
    打点
    4着
    回避率
    最高
    スコア
    半荘数
    2022-105.1pt7,1980.75005670024

    獲得タイトル

    • 第11期雀竜位
    • 第15回日本オープン 優勝
    • 第20期雀王
    • 第13回野口恭一郎賞男性棋士部門 受賞
    • Mトーナメント2023 優勝

    渋川難波プロの対局動画

    雀王を決定づけた一局

    渋川プロが雀王に輝いた第20期雀王決定戦の最終日、雀王を決定づけた一局です。七対子をテンパイし、場に三枚出ていて当り牌が一枚しかない"地獄待ち"を選択、見事その選択が功を奏します。まさに雀王にふさわしい和了。

    ウエディングケーキにもなった名シーン

    Mリーグ2022-23シーズン、10月11日に行われた第1試合、渋川プロと早川プロの結婚式でウエディングケーキにもなった一局。仲林プロがリーチをした後、不運にも4回渋川プロに鳴かせてしまい、裸単騎になった渋川プロに、最後には振り込んでしまい「提供 仲林」として麻雀ファンからいじられることになった伝説の一局です。

    押すときは押す

    Mリーグ2022-23シーズン、11月28日に行われた第二試合、序盤で早くも伊達朱里紗プロがリーチ、その後渋川プロも二回鳴いて混一色のテンパイを取ります。結果的には流局しますが、伊達プロのリーチに押されず、何スジも押し立ち向かう渋川プロの姿を解説の土屋プロも称賛し、観るものを熱くさせる一局となりました。

    三人テンパイする中、カンチャン待ちのリーチ

    Mリーグ2022-23シーズン、4月28日に行われた第二試合、くしくも全局と同じ5索待ちでテンパイをする渋川プロ。ダマで構えていましたが、小林剛プロ、黒沢咲プロがリーチをした後、渋川プロもリーチを掛けますが、山には残り1枚と分が悪い展開ですが…。やはり何が起こるかわからないのが、麻雀のおもしろさかもしれません。

    安い手に満足せず、高打点を目指した結果…

    第22期雀王戦A1リーグ第1節からの一局。金太賢プロ、堀慎吾プロ、渋川プロと4人中3人が雀王を獲得している、つわもの達が集まった一戦。渋川プロは安い手をテンパイしますが、更に高打点を目指しリーチを掛けずに様子を見ます。終盤に高い手をテンパイするまでに手替わりし、満を持してリーチ、なかなか確率的には厳しい当り牌を掴めるかどうかが見どころです。

    ダブリーVS2巡目リーチという珍しい戦い

    第22期雀王戦A1リーグ第4節A卓からの一局。渋川プロはダブリー、チャンタ、東、ドラ3、と珍しい形で高打点のリーチ。そして驚くべきことに、角谷ヨウスケプロも2巡目にはテンパイし、追っかけリーチ。戦略も実力も関係ない二人のめくり合い、麻雀の運要素を堪能する一局です。

    まとめ

    渋川難波プロは、麻雀プロになる前から天鳳高段位プレイヤーとして広く知られていた存在で、プロ入りして直ぐにタイトルを獲得し、解説者としても頭角を現し、魔神の愛称で大活躍しました。その後、Mリーグが始まったことをきっかけに、渋川プロの意識も変わり、自分の武器である解説に工夫を加えたり、発信力や人気アップのためにYouTubeを始めたり、身だしなみに気を付けるといった努力を重ね、Mリーガーの座を勝ち取りました。そして、今では美人麻雀プロである早川林香プロと結婚し、公私共に充実、麻雀の成績も絶好調で、今では人気解説者であり人気Mリーガーと言える存在となりました。

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