菅原千瑛 “清純派黒魔術師”は麻雀界の新ヒロイン
菅原千瑛プロは、日本プロ麻雀連盟に所属し、2023年にMリーグに新規加入したBEAST Japanextが行った「ドラフト会議指名オーディション」に勝ち残り、決勝戦で劇的勝利を挙げMリーガーとなった実力派女流雀士です。若いですがプロ歴は10年以上、可愛くて実力もある人気女流雀士"清純派黒魔術師"の通り名を持つ菅原千瑛プロについてご紹介します。
困り顔が魅力的な菅原千瑛プロについて
プロフィール
- 名前:菅原千瑛 (すがわら ひろえ)
- 生年月日:1991年12月2日
- 出身:埼玉県川口市
- 学歴:高千穂大学商学部卒業
- 血液型:A型
- 好きな物:読書、映画鑑賞、麻雀を観ること
- 所属団体:日本プロ麻雀連盟
- Mリーグチーム:BEAST Japanext
- X(旧Twitter):@hiroesugawara
- Instagram:12hiroesugawara02
菅原千瑛プロの名前"千瑛"は読み方が難しいですが、"ひろえ"と読みます。「数多くの宝玉や光に包まれる」という素敵な由来です。
キャッチフレーズの"清純派黒魔術師"は、昔はあまり好きではなかったそうですが、最近は定着してきたのでむしろ気に入っており、意識して黒っぽい服を着ることもあるそうです。名前を付けたのは日本プロ麻雀連盟でメディア対策部長を務め裏方的な役割をしている黒木真生プロで、勝負所で必ずアガって勝つイメージがあって、清純派キャラなのであえて怖い魔法使いのイメージをくっつけたそうです。
プロフィールでは読書や映画鑑賞が趣味と書かれていることが多いですが、学生時代には年間200本ぐらい映画を観ていて、本もたくさん読んでいたそうですが、最近では映画は年に2本ぐらい、本も年5冊読むぐらいで、あまり趣味とは言えない状態のようです。休みの日でも、麻雀をしたり、麻雀の対局を観たりすることが一番多いそうです。Mリーグ2023-24公式ガイドブックでも趣味は、「麻雀を観ること」と書いてあります。
大学1年生の時にミス高千穂に選ばれたことがあります。文化祭実行委員の友達から参加者が少ないから出てくれ、と頼まれて出たそうで、エントリーしたのは3人だけだったそうです。しかし、ミスキャンパスに選ばれるのも納得なルックスです。
ひろえ、ひろえちゃん、と呼ばれることが多いですが、日本プロ麻雀協会所属でKADOKAWAサクラナイツの渋川難波プロの奥さん・早川林香プロとは同い年で仲が良く、渋川・早川夫妻からは、"ぴっぴ"と不思議なあだ名で呼ばれています。最初はひろえぴっぴと呼ばれていたのが、短くなってぴっぴとなったそうです。また一部では"すがどん"と呼ばれることもあるそう。
最近では、Mリーグでの所属チームであるBEAST Japanextを意識した、狼をイメージした可愛らしい髪型が麻雀ファンから好評を得ています。
特徴的な困り顔
普段はニコニコした笑顔が印象的な菅原千瑛プロですが、麻雀の対局中に時折眉が八の字になり、困り顔、もしくは泣き顔のような表情になるのが特徴的です。本人曰く、"財布を落とした人"や"お腹が痛い人"の表情と言われることもあるそうです。
もちろん菅原プロは意識的に表情を作っているわけではなく、考えている自然に眉間にしわが寄り、そういった表情になるそうです。本人的にはキリっとした表情のつもりのようですが、あんまりキリっとしている感じには見えません…。写真を撮る時にやってください、と言われることもあるそうですが、なかなか意識的にできないそうです。
早川林香プロも「麻雀打っている時だけつらそうな顔する」と証言していますが、つらそう、悲しそうなだけで、本当に困っているわけではないので、その表情で情報が表に出ることはありません。困った顔をしながらも、強気で押していくのが菅原プロの魅力です。
RMU代表で渋谷ABEMAS所属の多井隆晴プロが、Mリーグ2023-24シーズンに解説を務めた試合で、配牌を見る前に、菅原プロの表情だけを見ていい配牌だという事を察知、その時に「菅原マニアなんで、5年前から菅原の顔を追っているんで」と発言、実況を務めた松嶋桃プロから「ちょっと怖い」と言われていましたが、最強最速の男、多井隆晴プロも注目する菅原プロの表情。
オーディションを勝ち残りMリーガーに
2023年、Mリーグ新規加入が決まったBEAST Japanextは、チームメンバーの4人のうち1名を決める「ドラフト指名オーディション」を行いました。応募者175名の中から、『攻撃的な雀風のプロ』、『言葉で表現できるプロ』、『麻雀の面白さ・素晴らしさを広めたいプロ』という3つの条件に合致しているかを中心に審査、8名のプロを選出し、トーナメント戦が行われ、そこで菅原千瑛プロは優勝、自らの手でMリーグ入りを決めました。
選出された8名のプロは、竹内元太プロ、浅井堂岐プロ、新井啓文プロ、内田みこプロ、宮内こずえプロ、山井弘プロ、菅原千瑛プロ、石橋伸洋プロといった実績も知名度も高い有名プロばかり。
菅原プロは、予選で連盟の大先輩である宮内プロ、山井プロ、そして元Mリーガーである最高位戦の石橋プロを相手にトップを取りファイナルへ進出しました。その予選2回戦では、菅原プロは役満・国士無双をアガり、最終的には66,000点と2位以下を大きく話す大きなトップとなりました。
決勝戦は、新井啓文プロ、菅原千瑛プロ、内田みこプロ、浅井堂岐プロの4名による半荘4回の対局で決められる決勝戦は大接戦で、3回戦時点でトップは最高位戦の新井啓文プロ、日本プロ麻雀協会の浅井堂岐プロが2位、菅原プロは56.9ポイント差の3位でした。ところが、菅原プロは最終戦東4局にダブ東・ドラ4の1万8000点をツモアガリで逆転、トップ目となります。そして、菅原プロがトップで新井プロが2着で迎えたオーラス、南4局4本場、新井プロは裏ドラが乗れば逆転となる七対子・ドラ2でリーチを掛け、菅原プロが放銃するか新井プロがツモアガりし裏が乗れば、新井プロの優勝となる場面、新井プロがツモアガりしますが、裏は乗らず、トータルポイント700点差で菅原プロが逃げ切り、8時間近い激闘を制し、菅原プロがMリーガーの座を勝ち取りました。
ライバルとなった新井プロは最高位、浅井プロは雀王と、各所属団体の最高峰タイトルを獲得している実力者、その二人をまくり、逆転優勝をした菅原プロは、実力もさることながら、大舞台で活躍できる何かを持ってるような気がします。その後、最後までトップ争いをした新井啓文プロからは、「千瑛ちゃんが活躍しなかったら浮かばれないし、絶対に活躍しろよ」と声を掛けられたそうです。
菅原プロは、「何より、オーディション優勝者として、参加者174人の分も頑張らないといけませんし、負けたくないですね。」と、Mリーグ参戦への意気込みを語っています。
プロ入り前に「ロン2」のCMに出演
菅原プロはプロになる前の2012年に、日本プロ麻雀連盟が運営するオンライン麻雀「ロン2」のCMに、小島武夫プロ、宮内こずえプロ、佐々木寿人プロと共に一般ユーザーとして出演しています。
このCMに出演した時は、まだ大学生で19歳の時、日本プロ麻雀連盟のプロテストを受けましたが落ちてしまいましたが、連盟が行っている女流勉強会に通っていた時に声を掛けられて出演したそうです。
今は亡き小島武夫プロや、この時から活躍しているMリーガーの佐々木寿人プロや滝沢和典プロ、女流プロの先駆け的存在である宮内こずえプロや和泉由希子プロの若き日の姿を見ることが出来る貴重なCMです。
清純派黒魔術師の経歴
麻雀に熱中した学生時代
菅原千瑛プロは、年の離れた姉と3つ年上の兄がいて、三人兄弟の末っ子の5人家族の家庭で育ちました。麻雀と出会ったのは、お兄さんの影響が少しあり、菅原プロが中学生の頃、お兄さんの部屋にあった漫画「哲也-雀聖と呼ばれた男」をも読み、麻雀に興味を持つようになります。そして、お兄さんにルールを教わり役を覚え、自宅で家族で麻雀を打ったり、ゲームセンターで「麻雀格闘倶楽部」をプレイしたり、麻雀に親しんでいきます。不思議なもので、菅原プロに麻雀を教えたお兄さんは、今はあまり麻雀に興味がないそうです。
菅原プロが通っていた中学校は女子高で、周りの友達に麻雀が好きな人はいないので、テレビ対局を見たり、放課後に一度家に帰り私服に着替え、ゲームセンターへ行き麻雀をすることが多かったそうです。その時、よく見ていたのはモンドTVの麻雀対局で、放課後になったらゲームセンターで「麻雀格闘倶楽部」をプレイするとは、さすがに後に連盟の麻雀プロとなる女子中学生、といった感じがします。
「麻雀格闘倶楽部」に熱中したのは、モンド杯に出ていた小島武夫先生や、当時「あいのり」に出ていた和泉由希子プロ、ムツゴロウさんの愛称で誰もが知る存在である畑正憲氏などが出ていたこともあり、菅原プロにとって親しみがある麻雀アーケードゲームでした。
中学では囲碁部に入っていたそうですが、部室でアイスが食べられるからという理由で、囲碁の方は真剣にはやっていなかったそうです。
共学の高校に進学した菅原プロは、ゲームからリアルの麻雀に触れ合うことになります。
菅原プロが進学したのは特殊な高校で、定時制で、朝から夜まで授業がある、無学年生で最大6年間通うことができ、学年がない高校だったため、麻雀のできる少し年上の同級生もいて、一緒に麻雀を打つことが出来るようになりました。また、同い年の子には麻雀のやり方を教えることもあり、その時に教材として使った本は『二階堂姉妹の麻雀入門』だったそうです。
現役女子大生で麻雀プロに
大学に進学してからも、菅原プロは麻雀に夢中になっており、「モンド王座決定戦」で親番で国士無双をアガった小島武夫プロをまくり、荒正義プロが優勝した姿に感動し、自分も強い雀士と戦ってみたいという気持ちが芽生え、毎月買っていた近代麻雀に掲載されていた日本プロ麻雀連盟のプロテストの告知を見て応募します。
菅原プロが大学二年生、19歳の時に、誰にも相談することなく思い切ってプロテストを受けました。しかし、実技ではチョンボをしたり、点数申告が出来なくなるなど、緊張してミスを連発、筆記もあまり出来がよくなかったそうで、残念ながら落ちてしまいました。テストの後は泣きながら家に帰ったそうです。
しかし、このテストをきっかけに、日本プロ麻雀連盟主催の女流勉強会に通うようになります。山田浩之プロ、山井弘プロ、藤原隆弘プロ、そして後にMリーガーとなる、滝沢和典プロ、勝又健志プロといった面々を講師に麻雀の勉強に励みます。この期間に、オンライン麻雀「ロン2」のCMに出演しました。
プロテストに落ちた半年後、大学三年生の春に再受験し合格、日本プロ麻雀連盟の28期生の麻雀プロとなりました。女流プロでは、小笠原奈央プロ、川原舞子プロ、白銀紗希プロ、手塚紗掬プロといった人気女流プロたちと同期です。まだ男性プロの同期は、Mリーガーの本田朋広プロ、多くのタイトルを獲得している柴田吉和プロなどがいます。
プロになった菅原プロは、「麻雀最強戦2014」のイメージガール的な役割となる"最強戦ガール東日本担当"に選ばれ、また2014年より新規稼働したアーケードゲーム「麻雀格闘倶楽部 彩の華」にも参戦、自身がプレイしていた麻雀格闘倶楽部にも登場することになり、多くの麻雀ファンに知られる存在となっていきます。
2016年には、「麻雀最強戦2016」のファイナル進出枠を掛けて戦う「女流プロ代表決定戦・下克上血戦」で優勝、初となるファイナル進出を果たします。最強戦ガールだった菅原プロですが、今度は選手として麻雀最強戦に参戦しました。その後、多くの麻雀対局番組に出演、人気若手女流雀士の一人といった存在となっていきます。
タイトル獲得、そしてMリーガーに
2021年は菅原プロにとって飛躍となる一年になります。団体の垣根を越えて8名の若手女流雀士が参加する「RTD Girls Tournament 2021」に出場、決勝戦に進んだ菅原プロは、日本プロ麻雀連盟の後輩で後にMリーガーとなる元乃木坂46の中田花奈プロ、タレントとしても活動している日本プロ麻雀協会所属の篠原冴美プロと長澤茉里奈プロといった注目度の高い対戦相手を倒し、見事優勝、初となるタイトルを獲得します。
そして、29歳以下の日本プロ麻雀連盟所属の女性プロ雀士が参加資格を持つ第二期桜蕾戦」で優勝、所属団体日本プロ麻雀連盟の公式戦のタイトルも獲得します。
タイトルホルダーとなって出場した、麻雀最強戦2022の「女流チャンピオン決戦」で優勝、二度目のファイナル進出を果たし注目を浴びます。
2018年から始まったMリーグには、菅原プロは当初から興味を持っていたそうです。第一回のドラフト会場にも足を運びましたが、それは自分が指名される可能性があると思ったわけではなく、憧れがあって見に行くほどでした。自分が胸を張って出たいです、と言えるほどでないと実感した菅原プロは、実績や知名度を上げるため、がむしゃらに頑張ろうという想いが実を結んだ、二つのタイトルの獲得でした。
菅原プロは、EX風林火山がMリーグ2021-22から所属選手を4名に増やすことを発表し、2021年に開催したドラフト会議指名選手オーディションに出場しますが、残念ながらその時は予選敗退。さらにMリーグへの思いを強くします。
そして2023年に開催されたBEAST Japanextのドラフト会議指名オーディションに出場し優勝、2023年6月30日に行われたドラフトで、BEAST Japanextからドラフト2巡目で指名され、念願のMリーガーとなりました。
「数多くの人達の気持ちを背負って、素敵な夢を、そして嬉しい勝利をお届け出来るように一打一打しっかりと麻雀を打ちたいと思います。」とオーディションを勝ち抜いた菅原プロだからこそ重みのあるコメントを残しました。自らの力でMリーガーの座を手にし、多くの麻雀プロの気持ちを背に、菅原プロはMリーグの舞台へ上がります。
獲得タイトル
- RTD Girls Tournament 2021 〜新世代バトル〜 優勝
- 第2期桜蕾戦 優勝
菅原千瑛プロの対局動画
Mリーグデビュー戦
Mリーグ2023-24レギュラーシーズン、9月22日に開催された第2試合、菅原プロのデビュー戦となった試合から、同じようにオーディションでMリーガーの座を勝ち取った松ヶ瀬隆弥プロとリーチ対決になった一局です。
三色確定のダブリー
Mリーグ2023-24レギュラーシーズン、1月23日に開催された第1試合、三色確定でダブリーという信じられない幸運が菅原プロに訪れます。
劇的な頭ハネでの逆転勝利
Mリーグ2023-24レギュラーシーズン、11月28日に開催された第1試合。僅差で二着となって迎えたオーラス、劇的な展開で大逆転勝利を掴みます。
ビーストらしい攻めの麻雀
「麻雀最強戦2023 女たちの殴り合い」からの一局、菅原プロはトップ目ですが、ビーストのコンセプト通りの攻めの麻雀を見せ、実況の日吉プロ、解説の白鳥翔プロを驚かせます。
若き日の菅原プロ
2014年、菅原プロがまだ大学生で、最強戦ガールをやっていた頃に、麻雀バラエティ番組「KO麻雀」に出演した時の動画です。今とはちょっと違った雰囲気で若々しいです。
菅原千瑛 × LIVERTINE AGE コラボレーション
ファッションブランド・LIVERTINE AGE(リバティーンエイジ)とコラボし、2023年1月から2月の期間限定で菅原プロがデザインした半袖Tシャツとプルオーバーパーカーが発売されていました。対局中とはちょっと違った雰囲気が素敵です。
まとめ
対局中の表情が豊かな選手と言えば、日本プロ麻雀連盟の先輩、二階堂瑠美プロが有名ですが、瑠美プロのように華があって麻雀も強い菅原千瑛プロは、次世代を担う麻雀界の新ヒロインと言える存在になってきたように感じます。まだ年齢的には若いですが、大学生からプロをやっているだけありプロ歴も長く、Mリーガーとなった時点でプロ歴11年、中堅クラスでタイトル獲得歴もある麻雀プロなのです。Mリーガーの座を実力で勝ち取った菅原プロは、これからもMリーグの舞台で勝利を勝ち取る活躍を期待しています。
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