勝又健志  麻雀IQ220と称される”軍師”
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勝又健志  麻雀IQ220と称される”軍師”

勝又健志プロは、日本プロ麻雀連盟のリーグ戦最高峰のタイトルである「鳳凰位」を獲得し、長年麻雀界の実力派プロとして知られ、Mリーグ設立1年目からEX風林火山に所属し、世間的な知名度も更に上がった、「麻雀IQ220」「麻雀軍師」という二つ名を持つ勝又健志プロについてご紹介します。

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麻雀IQ220と呼ばれる勝又健志プロについて

プロフィール

  • 名前:勝又健志(かつまた けんじ)
  • 生年月日:1981年3月15日
  • 出身:東京都墨田区
  • 学歴:早稲田大学人間科学部卒業
  • 血液型:B型
  • 好きな物:将棋、漫画、ボートレース
  • 所属団体:日本プロ麻雀連盟(17期生)
  • Mリーグチーム:EX風林火山
  • X:@katumatakenji

勝又健志プロは、中学・高校と早稲田実業に通い、大学も早稲田大学に進学し卒業した、高学歴プロ雀士として知られています。麻雀プロになりたての頃は、小学生を対象とした塾講師を副業で行っていたり、麻雀プロとしては、連盟の後輩を対象にした勉強会の講師や、麻雀の実力を上達したいアマチュア向けの「麻雀IQ上昇塾」という教室を開催したり、麻雀スクール「one game」でも定期的に勉強会が開催されており、やはり高学歴で理論派と称される勝又プロらしい活動を行っています。

また、麻雀のテレビ対局などでの、勝又プロのわかりやすい実況・解説には定評があります。これは、ラグビーなど、ご自身があまり知らないスポーツを見て、どういう実況や解説をしているのか参考にしているそうです。

プライベートでも、麻雀を打ったり、麻雀関連の番組を見たり、麻雀中心の生活をしているそうですが、それでも少し疲れた時は、YouTubeやABEMAで将棋やポーカーの試合を好んで見るそうです。将棋やポーカーが、麻雀と近いものがあると思ってみているわけでなく、そういった頭を使うゲームを見ているのが好きだと語っています。

ポーカーはやらないけれど、将棋を打つのは好きで、他の麻雀プロと対局することもあり、Mリーガーの中では、プロ棋士である鈴木大介プロは別格として、鈴木たろうプロは強すぎて敵わないレベルで、堀慎吾プロとは互角の実力なんだそうです。

また、幼い時から漫画が好きで、お年玉を持ってお兄さんと一緒に漫画を買って読んでいたそうです。一時は2,000冊近くあったそうですが、今は甥っ子に譲ったそうです。特に好きな漫画は、「キャプテン翼」、「ドラゴンボール」、「キャプテン」、「タッチ」、「はじめの一歩」、「スラムダンク」といった作品を挙げています。スポーツ物が好きなようです。

そして、海外ドラマ「24 -TWENTY FOUR-」は5周するぐらい好きだと語ります。1シーズン全24話でシーズン8まで続いた長いドラマシリーズを5周も見たと考えると、相当お好きなのでしょう…。「スラムダンク」は少なくとも20周は読んだそうですから、はまった物にはのめり込むタイプなのだと思います。

そして、ボートレース歴は20年以上で、スポーツ新聞でも予想コラムを連載しており、ボートレースでも麻雀と同じように鋭い読みを披露しています。

勝又プロのノータイム放銃

麻雀IQ220と呼ばれるほど、多くの麻雀プロも認める理論派雀士である勝又健志プロですが、度々、何の躊躇もなく放銃することがあります。Mリーグではチームメイトであり、所属団体も同じである二階堂瑠美プロと二階堂亜樹プロは、勝又プロのこの悩まず躊躇しないで放銃する現象を"ノータイム放銃"と呼んでます(YouTube「るみあきchanねる」より)

普通なら悩んで止まるところ場面で、勝又プロが計算上は押すべきと思ったら、一瞬も悩まず放銃するところがサイボーグ的だと語っています。

多井隆晴プロは、ご自身のYouTubeチャンネルで、勝又プロが迷わず放銃するこの現象を「勝又怒りの一秒放銃」と称し、それ以来、勝又怒りの~という言葉が少し流行りました。

このノータイム放銃について、勝又プロ自身が多井プロのYouTubeチャンネルで答えています。

勝又プロ曰く、「考えてもどうせ放銃するので、時間の無駄だから」という理由で振り込んでしまうそうです。10秒考えても変わらないから、1秒で振り込む、時間の無駄が嫌いと語る勝又プロらしい思考です。

そして、10回に2回は本当に怒っているそうです。

高速チンイツ待ち当て

同じ数牌だけをそろえて作る清一色(チンイツ/チンイーソー)、よくその待ちが何かを当てるクイズがありますが、さすがはIQ220と言われる勝又プロ、それを当てるのが麻雀プロの中でも誰よりも早いと言われています。

2020年3月に放送された麻雀ニュース番組「熱闘!Mリーグ」の中で、勝又プロが1問約5秒のペースで、チンイツの待ちを当てる姿が披露され、大きな話題となりました。

このチンイツ待ち当てのスピードには、多井隆晴プロも敵わないと自身のSNSでコメント、またMリーグの解説などでも度々口にしており、あのビッグマウスで知られる多井プロが素直に認めるぐらい凄いことなんだと、個人的に思ってしまいました。

著書「麻雀IQ220の選択」

勝又健志プロは、2019年8月に麻雀戦術本「麻雀IQ220の選択」を出版しました。この本は、中級者から上級者に向けの戦術本となっており、Mリーグの牌譜を使いながら、勝又プロの選択が26問のクイズ形式で出題され、その答えを勝又プロが解説している、といった内容となっています。

この本は、「平均的雀士を100とすると本書を読むことで限界値の220まで上達させることができる」と紹介されており、牌効率や場の状況だけでなく、対戦相手に注目した人読みの要素も言及されてるハイレベルな内容で、少々難しいですが、更なる麻雀の上達と、勝又プロの雀士としての思考を知りたい方にはお勧めの内容となっています。

麻雀軍師・勝又健志の経歴

早稲田大学卒業の高学歴で頭脳派雀士、"軍師"と称される勝又プロのこれまでの経歴についてご紹介します。

中学受験で早稲田実業に入学

麻雀と出会う前に勝又プロが打ち込んでいたものは剣道でした。小学校に上がってすぐの頃、両親から何か習い事をしないといけないと言われており、その時にテレビで剣道の全国大会が放送されるのを見たことをきっかけに、剣道を始めることになりました。途中辞めようと思いながらも、小学校、中学校、高校と12年間続け、三段の腕前です。

剣道をやっていたことが麻雀にも活きていると勝又プロは語っています。剣道の試合中(中学校は4分、高校は5分)、ずっと集中することは出来ないので、集中すべき瞬間に集中するといったような、集中力を出すときに出すといった技術を得ることが出来たそうです。麻雀の対局でも、ずっと試合の間全力で集中することはできないので、勝負となる一局は、相手の手出しツモ切りを全て覚える、といったように集中し、配牌が悪く降りるべき時は、力を抜くといったような、集中力のコントロールを剣道から学ぶことが出来たそうです。

そして、中学校は早稲田実業に入学。難関学校の受験勉強も、結果的には麻雀における集中力が鍛えられたと語ります。中学受験をしたのも、周りの友達がそうしていたから受験したそうです。

麻雀を覚えたのは小学校高学年頃で、お父さんが7人兄弟なため、正月には多くの親戚が集まり麻雀をしていました。それを後ろから見ているうちにルールを覚え、麻雀をするようになりました。

高校になると、剣道部のOBたちが部室にやってきて、麻雀を打つようになり、麻雀にはまっていくようになります。この頃は、麻雀牌ではなく、トランプのようなカードを使って、部室で麻雀をやっていたそうです。

早稲田大学在学中に麻雀プロに

大学はそのまま早稲田大学人間科学部に進学、大学に入ってすぐに雀荘で働くようになります。この雀荘は日本プロ麻雀連盟の荒正義など、麻雀プロがよく集まる雀荘で、このお店で働くことによって大きな影響を受けました。このお店で働くようになったのは、麻雀好きな同級生の家の近所にこの雀荘があり、荒プロなどが来るお店だというのを教えてくれたのが縁だったそうです。

同じ日本プロ麻雀連盟の山田浩之プロとは、二人ともプロになる前にこのお店で一緒に働いていたそうです。そして、当時の日本プロ麻雀連盟にはテストを受けるには、連盟員の推薦が必要であり、荒プロが推薦人となり、勝又プロと山田プロを含めた6名が連盟のテストを受けました。

2000年、19歳の時に勝又プロは日本プロ麻雀連盟所属の麻雀プロとなりました。そのまま大学には通い続けましたが、1年留年し5年目に卒業します。

留年したのは単位が足りなかったわけではなく、就職せずに麻雀プロとして生きていこうと思っていましたが、ご両親は反対、お父さんからは1年間麻雀プロとして結果を出せなかったら就職しろと言われ、1年間留年することになりました。

そして、中国麻雀のルールで2007年に開催された世界麻雀選手権の団体戦に勝又プロは日本チームのメンバーとして出場、当時初音舞プロが個人で優勝し話題となりましたが、団体戦も日本チームが優勝し、スポーツ新聞にも取り上げられ、見事結果を残すことが出来ました。こうして、ご両親にも認められ、麻雀プロとしての道を歩み始めます。

日本プロ麻雀連盟に入ってから約6年で、連盟のリーグ戦の上位リーグであるA2へ昇級します。そし2011年度に、日本プロ麻雀連盟のリーグ戦及びタイトル戦成績上位者が参加する大会「麻雀グランプリMAX」で優勝、決勝戦では小島武夫プロ、藤崎智プロ、奈良圭純プロといった面々を破り、初タイトルを獲得します。

2014年度には、トップリーグであるA1リーグに昇級し、その年に早くもリーグ戦上位3名と現鳳凰位の4名で争われる連盟最高峰のタイトルである「鳳凰位決定戦」に駒を進めますが、惨敗。その時に、麻雀により集中するために副業であった塾講師を辞めることになります。

そして、翌年2015年度も鳳凰位決定戦に進出、前田直哉プロ、瀬戸熊直樹プロ、古川孝次プロと歴代の鳳凰位獲得プロを相手に、見事優勝、第32期鳳凰位を獲得しました。

2016年には、日本プロ麻雀連盟、日本プロ麻雀協会、最高位戦日本プロ麻雀協会、RMUの4団体が参加し、8名づつの選手が出場する団体戦「第一回麻雀プロ団体日本一決定戦」に、プロ連盟代表として出場します。この大会は一回限りとなってしまいましたが、2016年時点では今ほど団体間の交流も少なく、麻雀プロ団体同士対抗の大会も珍しかったです。勝又プロは個人の成績も32名中4位という好成績でプロ連盟を優勝に導きました。

勝又プロは、この大会"大将"という立場で、日本プロ麻雀連盟の森山会長は、もし4位だったら会長を辞めると話しており、大会4日目、得点が2倍となる大将戦が一番緊張した一戦だったそうです。団体を背負っているというプレッシャーと、前の週まで扁桃腺になって高熱で入院していたというコンディションと、周囲の緊張感もあり、初めて手が震えたと語っています。優勝した時は、喜びよりも、ほっとしたという気持ちの方が強かったそうです。

鳳凰位も獲得し、A1リーグの常連となった勝又プロは、日本プロ麻雀連盟を代表するプロ雀士となり、麻雀界を代表するトッププロと呼ばれる存在となります。

Mリーグ設立、1年目から活躍

2018年、Mリーグが設立され、第一回ドラフト会議が開催されます。当時若手というよりも、中堅プロとなり、プロ連盟の看板と言える存在でしたから、当然、指名されるだろうと思われましたが、直ぐには指名されませんでした。事前のインタビューでは指名される可能性は50%ぐらいだと思っている、と話していましたが、内心、期待も込めて、80%ぐらいに思っていて、ドキドキしていたと、後のインタビューで明らかにしています。

そして、指名3巡目でEX風林火山から指名されます。選ばれた瞬間は嬉しかったそうですが、次の瞬間から責任感が芽生えたと語ります。おそらく麻雀界としては初となる、企業がスポンサーになり大金を払い選手を雇ってもらえるといシステムにプレッシャーを感じながらも、それを原動力にしポジティブにとらえていると、2018年に販売された「麻雀プロMリーグ選手名鑑」には書かれています。

2018年の1年目は二階堂亜樹プロと滝沢和典プロといった、長年同じ日本プロ麻雀連盟で切磋琢磨してきたライバルたちと共に戦い、惜しくも2位に終わります。しかし、2年目の2019年は8位に低迷。そして迎えた3年目の2020年シーズン、開幕前に監督から「ファイナルで3位以内に入らなければ選手の入れ替えを実施する」と発表されます。勝又プロはレギュラーシーズン-73.3ptと苦戦しますが、ファイナルでは個人4連勝を含む7戦5勝2着1回で274.2ptを獲得し大活躍、見事チームを優勝に導きました。

3年目のシーズンで、勝又プロ自身は戦略を変えた部分があり、今まで自分の持ち味はトップを取るよりも、負けないというところにあったが、Mリーグのルール上トップを取っていかないと上位に行けない思い、勝つことに意識を置くように変えていったと明かしています。

この年に、「今シーズン優勝できたら、新たな挑戦をするためにチームを抜けよう」と考えていた滝沢プロが退団、そして、2020シーズンからは、オーディション大会を勝ち抜いたRMU所属の松ヶ瀬隆弥プロと、二階堂亜樹プロの姉である、プロ連盟所属の二階堂瑠美プロが加入しました。

Mリーグが勝又プロに与えた変化

2019年に放送された「熱闘!Mリーグ」で勝又プロが取り上げられた時に、当時チームメイトであった滝沢プロは、勝又プロについて「昔から試合が終わると勝っても負けても反省している、麻雀に関してはクソ真面目」と称しています。

勝又プロも、麻雀が強くなればそれで良いという考えだったのが、多くの人から応援されることになり、恩返しを出来るようになりたいと考えるようになったそうです。

麻雀プロの中では硬派なタイプの勝又プロですが、Mリーグが始まって以降、SNSを活用したり、以前よりもファンサービスに積極的取り組んでいる、と思います。しかし、今でも麻雀について真面目に取り組む、軍師という言葉が似合う雰囲気を持っているところが、勝又プロの魅力な気がします。

獲得タイトル

  • 第2回麻雀グランプリMAX
  • 第32期鳳凰位

勝又健志プロの対局動画

麻雀IQ220とも言われる、勝又健志プロの対局動画を紹介します。

見ている方もハラハラする一局です

元チームメイトである滝沢プロのリーチ後にカンを2回する勝又プロ。

勝又プロの珍しい長考シーン

しかし、この選択が高打点を導きます。

ハイレベルな一局です

解説の多井プロも絶賛する園田プロの仕掛け、それに立ち向かう勝又プロ。

モンドTVでの対局

勝又プロの読みが冴えわたる和了。

2023年麻雀最強戦

MリーグEX風林火山チームメイトとの対戦。ちなみに、4人ともほぼ同世代の対決(亜樹プロは81年、瑠美プロ、松ヶ瀬プロ、勝又プロは80年生まれ)。

まとめ

勝又健志プロは、所属団体である日本プロ麻雀連盟の最高峰のタイトル「鳳凰位」の獲得経験もあり、麻雀プロ団体同士の対抗戦でも優勝に導くなど、連盟を代表する麻雀プロと言える存在です。プロになった時から、荒正義プロや森山茂和プロといった連盟のレジェンドクラスのプロたちから教えを受けており、今では連盟の中堅クラスを代表する人物だと言えるでしょう。そして、読みの鋭さ、卓越した理論から"麻雀IQ220"や"麻雀軍師"と呼ばれ、麻雀界の中でもトップクラスのプロ雀士の一人と言える存在です。

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