松ヶ瀬隆弥 Mリーガーの座を勝ち取ったRMUからの刺客
松ヶ瀬隆弥プロは、元料理人で飲食店で長く勤めた後に、二十代後半で麻雀プロになった異色の経歴を持ち、EX風林火山のオーディション大会に勝ち抜き、RMU所属の麻雀プロとしては多井隆晴プロに次ぐ二人目となるMリーガーとなった、RMUを代表する実力者です。奇抜な髪型で強面なルックス、しかし繊細な性格と言われており、Mリーグに参戦してからは、繊細なる超巨砲というキャッチフレーズもつき、ご自身の趣味を活かしたYouTubeチャンネルも人気な、松ヶ瀬隆弥プロについてご紹介します。
強面だけど繊細、松ヶ瀬隆弥プロについて
RMUの実力者、"繊細なる超巨砲"松ヶ瀬隆弥プロについてご紹介します。
プロフィール
- 名前:松ヶ瀨 隆弥(まつがせ たかや)
- 生年月日:1980年4月11日
- 出身:北海道札幌市
- 学歴:調理師専門学校卒業
- 血液型:B型
- 好きな物:料理、プロレス、スニーカー、ガンプラ
- 所属団体:RMU
- Mリーグチーム:EX風林火山
- X(旧Twitter):@akayakokushim
- インスタグラム:takaya1matsugase
麻雀ファンや周りの麻雀プロからは"ガセさん"という愛称で呼ばれることがあります。
松ヶ瀬プロの好きな言葉は「ねだるな、勝ち取れ」という言葉で、あらゆる場面で使われるので、ファンにもお馴染みのフレーズとなっています。その言葉通り、EX風林火山が行ったオーディションで勝ち残り、麻雀の実力でMリーガーの座を勝ち取りました。
Mリーグ参戦前は、「一騎当千」という二つ名で呼ばれていましたが、Mリーグ参戦に伴い、公式オンラインサロン「EX風林火山【本陣】」の会員、スタッフ、選手から出された20以上の案の中から、松ヶ瀬プロが選んだ「繊細なる超巨砲」という二つ名に決まりました。
EX風林火山の二階堂亜樹プロ、二階堂瑠美プロ、勝又健志プロといった他のチームメイトたちは、麻雀プロとしては松ヶ瀬プロより先輩ですが、皆1980年、1981年生まれと同世代で、仲が良いそうです。
Mリーグでは眼鏡をかけて出場していますが、普段の対局は度が入ったサングラスをしています。奇抜な髪型が印象的で、今までも様々な髪型にしてきましたが、特に気分転換やゲン担ぎといった意味はなく、単純に飽きちゃうからといった理由で思いついたらすぐに変えに行く事もあるそうです。
強面でがっしりとした体形、派手な色の髪の毛をしているので、豪快な麻雀を打つかと思いきや、本人曰く守備型で、繊細な打ち筋という評判です。勝又プロは、高い材料が来た時、しっかり高い手で上がるのが魅力、といったように、松ヶ瀬プロの打ち筋について表現しています。
YouTubeに出演している動画を見ると、結婚歴はなく、現在独身でパートナーもいないようです。多趣味で、自分の時間を愛する独身貴族のようです。
元調理師
調理師専門学校を卒業し、飲食店で働いていた経験もあるので、今も趣味として料理をしており、その包丁さばきは相当な実力です。
自身のX(旧Twitter)やインスタグラムでも、ご自身が作った料理の写真を投稿したり、YouTubeチャンネル「私立松ヶ瀬学園」の"調理実習"では、松ヶ瀬プロの特製レシピを公開したり、
料理ライブ配信"TAKAYA`S KITCHEN 漢の勝負飯 Mリーガーの晩御飯"を行ったり、
麻雀界一と言っても過言ではない料理の腕前を持っています。
魚をさばいて調理するのが好きと話しており、鮭をさばいて自家製のいくら醤油漬けを作成することができ、このいくらを食べた高宮まりプロや勝又健志がMリーグでトップをとったので、縁起が良いと話題になりました。
新橋の雀荘・麻雀ベルバード新橋にて私立松ヶ瀬学園出張版として、『超開運いくら祭り』というイベントを開催、松ヶ瀬プロ特製のいくら丼をファンに振舞ました。
ライバル・多井隆晴プロ
RMUの代表であり、同団体の大看板でもある、麻雀界のスターとも言える多井隆晴プロは、後輩である松ヶ瀬隆弥プロのことを以前から高く評価しています。『麻雀駅伝2018』予選会の際には、RMU代表チームの大将に松ヶ瀬プロに指名しました。当然多井プロが大将になると誰もが思っていましたが、あえて松ヶ瀬プロを大将にし、勝っても負けても松ヶ瀬の名が売れればそれでいい、という想いで、多井プロは松ヶ瀬プロを大将に指名したそうです。
その想いに応え、予選会を勝ち抜き本選に進出しましたが、惜しくも優勝は逃す結果となりましたが、試合後、多井プロは「松ヶ瀬は近い将来、私を越えてうちの看板になる選手です。彼が強い事を皆さんに伝えられてうれしいです。」とコメント、松ヶ瀬プロの存在を強くアピールしました。
そして多井プロは、次にRMUからMリーガーが出るとしたら松ヶ瀬プロになるだろうと思っていたそうです。
松ヶ瀬プロにとって、多井プロは恩人でもあり、所属団体の代表でもあり、大先輩でもあり尊敬する人物ですが、だからこそ多井プロは越えなければいけない壁だと思っているようです。(YouTubeチャンネル「麻雀遊戯王」より)
松ヶ瀬プロがMリーグに参戦した時も、多井プロと対戦するのが一番楽しみで、RMUの多井隆晴じゃなくて渋谷ABEMASの多井隆晴を感じてみたい、と語っていました。2021年10月14日の第2試合で松ヶ瀬プロと多井プロが初めて同卓、松ヶ瀬プロは4万700点で一着、多井プロは1万2400点の三着という結果に終わり、見事松ヶ瀬プロの勝利となりました。
Mリーグ、誤ロン事件
5月2日のMリーグ2022-23のセミファイナルシリーズ、東2局1本場で事件は起こりました。
松ヶ瀬プロは、4・7索待ちのテンパイとなりましたが、その後、6筒を引き6筒の単騎待ちへと変化させました。その次々巡、瀬戸熊から7索が捨てられ、思わず「ロン」と発声、しかしすぐにそれが誤ロンだと気づきます。
この時、倒牌しなかったので、アガリ放棄のペナルティのみとなり、試合は続行となりました。もし、倒牌してしまった場合、チョンボとなり試合終了後に-20ポイントとなります。
しかし凄いのは、この誤発声を引きずることなく、その後きちんと立て直し松ヶ瀬プロはトップを取ります。試合後のインタビューでは、気負いすぎちゃった部分が出てしまった、人生で初めてのことで飛びそうになった。とりあえずなかったことにして、目の前のことに集中して考えるようにした、と語っています。
やはり、こういったことが事件が起こるほど、Mリーグというのはプレッシャーのかかる舞台なのだと思います。
料理人から麻雀プロになった松ヶ瀬プロの経歴
元料理人という異色の経歴を持ち、Mリーガーとなった松ヶ瀨隆弥プロの経歴についてご紹介します。
地元北海道で29歳まで飲食関係の仕事に就く
麻雀と出会ったのは、小学校4年生、10歳の時に友達の家で入門書を読みながら覚え、中学校の頃まで友達同士でこの麻雀ブームは続き、近代麻雀も読んでいたそうです。高校生になると部活が忙しくなり、麻雀から少し離れることになります。
麻雀以外には、小学校の頃は野球と柔道をやっていて、柔道の方は高校を卒業するまで続けました。
高校を卒業すると、調理師の専門学校に進学。専門学校時代に、雀荘で麻雀を打つようになります。卒業後は、札幌市内のホテルの料亭で働くようになりますが、あまり長くは勤めず、その後、居酒屋チェーン店(株式会社モンテローザ)に就職、そこでは約10年間勤めました。居酒屋チェーン店で働いている時は、意外にも調理の仕事よりも、経営の仕事をしていた期間の方が長く、店舗運営がメインで、人材確保、シフト管理、在庫の発注などの仕事をしていました。
大規模のお店の立ち上げなども任されたりしたそうですが、楽しいと思ったことはなく、調理の仕事をしたかったはずなのに、キッチンではなく、店の中にいて事務的な仕事が多く、そういった仕事の環境も好きではなかったそうです。仕事をするようになってからは忙しく、雀荘にはたまにしか行く事が出来ず、麻雀を打つ機会も減ってしまいます。
近代麻雀はずっと読んでおり、この頃、後にチームメイトとなる二階堂亜樹プロ、二階堂瑠美プロの活躍をよく目にしていたそうです。
29歳頃に久しぶりに麻雀をやると、麻雀熱に再び火がつき、仕事を辞めて麻雀プロになることを決意します。そして、麻雀プロになるために上京、各麻雀プロ団体のプロテストの日程を片っ端から調べ、一番日程が近かった日本プロ麻雀協会の試験を受けます。しかし、結果は不合格、その次に日程が近かったRMUのプロテストを受けます。
この当時、松ヶ瀬プロは麻雀界との関りはなく、プロ団体の違いもあまり知らず、知ってる麻雀プロもおらず、知っているプロと言えば、小島武夫プロ、安藤満プロ、土田浩翔プロといった、有名プロ雀士しか知らなかったようで、麻雀プロになるならどの団体でも構わないという考えでした。
上京しRMUに入会、麻雀プロに
RMUの試験で多井隆晴プロの面接を受け、その場で多井プロから「明日からリーグ戦出れる?」と聞かれ、翌日北海道に帰る予定だったが飛行機をキャンセル、リーグ戦に出場し、そうしてRMUに入ることになります。
東京に拠点を移し、別の仕事との兼業はせず、麻雀の腕を磨くために雀荘で働くようになります。この当時、日本プロ麻雀協会所属で、Mリーグ・KADOKAWAサクラナイツ所属の堀慎吾プロと同じ店で働いていました。長い付き合いの堀プロは、松ヶ瀬プロのことを"お松"という不思議なニックネームで呼んでいます。
松ヶ瀬プロの当時の堀プロの印象はというと、店員としては先輩だけど4つ下で、プロではかったのに、小さくて態度がでかい生意気な奴、と思っていたそうです。ホリプロは、松ヶ瀬プロは多井プロをとてもリスペクトしており、「じゃあそいつを連れてこい、世の中広いということを教えてやる」とそんな話ばかりしていたと、当時の思い出を振り返っています。また、日本プロ麻雀連盟所属でMリーグ・渋谷ABEMAS所属の白鳥翔プロも、よくその店に通っていたそうです。(YouTubeチャンネル「サクラナイツ切り取りCHより」)
一番多い月で600~700半荘、起きている時間はずっと麻雀を打っているような生活を過ごし、プロになって3年で当時のRMU最高峰リーグであるR1リーグ(現在の令昭位戦B1リーグ)まで昇格し、2011年にクライマックスシリーズで優勝、RMUの規定により、この結果によってプロライセンスが発行され、B級ライセンス取得の麻雀プロとなります。この時の気持ちを「プロとしてのスタート地点に立てたという感じ」だったと松ヶ瀬プロは語っています。
そして2012年に他団体プロも参加する最高位戦のタイトル「第7期最高位戦Classic」で優勝、RMUの外のタイトルを始めて獲得します。
RMU内では、2014、2016後期、2017後期のクライマックスシリーズで優勝、2018年には最高峰タイトルである第9期RMUリーグ(現在の令昭位戦)で優勝します。そしてA級ライセンス取得します。
2019年にはRMUのライセンス規定変更によって、S級ライセンスを取得します。
オーディションに勝ち残りMリーガーに
2021年、Mリーグ・EX風林火山は所属選手を3名から4名に増やすため、「ドラフト会議指名選手オーディション」を行います。169人の選手が参加するなか、松ヶ瀬プロは2次予選最終戦に四暗刻を出しており、また、決勝戦でも起死回生となる四暗刻をアガるなど、後に"繊細な超巨砲"の二つ名を授かるにふさわしく、緻密な守備と役満をアガれる強運で見事勝ち残り、自らの実力でMリーガーの座を勝ち取りました。
松ヶ瀬プロは、Mリーグに出られなかった三年間を悔しい想いで見ていたと語っています。しかし、ドラフト指名でMリーガーになれる可能性は低いと思っていたところに、勝てばMリーガーになれるチャンスが巡ってきたので、最後のチャンスだと思い、オーディションに参加しました。
2022年には、RMUのSS級ライセンスを取得、名実ともにRMUを代表する存在となります。そして自身のYouTubeチャンネル「私立松ヶ瀬学園」を開始し、麻雀以外にも多趣味な面を披露し、活動の幅を広げます。
2023年はトーナメント形式で行われるRMUの大会「第六期RMUグランプリ」で優勝、新たなタイトルを獲得します。
RMUの実力者として知られていましたが、RMUから二人目となるMリーガーとなり、知名度も上がり、多井隆晴プロに次ぐナンバー2と呼ばれる存在になりました。
シーズン | 個人 スコア | 平均 打点 | 4着 回避率 | 最高 スコア | 半荘数 |
---|---|---|---|---|---|
2022 | 212.2pt | 7,294 | 0.7778 | 51900 | 27 |
2021 | 213.7pt | 6,994 | 0.7500 | 62300 | 28 |
獲得タイトル
- 第7期最高位戦Classic
- 第9期令昭位
- クライマックスリーグ優勝(2011、2014、2016後期、2017後期)
- 第6期 RMUグランプリ
松ヶ瀬隆弥プロの対局動画
配牌では七対子には見えませんが…
麻雀最強戦2023Mリーグスペシャルマッチでの一局。
超巨砲の名にふさわしい一撃
松ヶ瀬プロの選択
解説の内川幸太郎プロも素晴らしいと評価しています。
凄い展開に…
ラス目の親番でテンパイを取らず、更なる高打点を目指した結果。
どちらが勝つか目が離せない展開
麻雀最強戦2023、EX風林火山の選手同士の戦い。松ヶ瀬プロのリーチと瑠美プロの高打点のテンパイ。
YouTubeチャンネル「私立松ヶ瀬学園」
松ヶ瀬プロは2022年7月より自身のYouTubeチャンネル「私立松ヶ瀬学園」を開始しました。料理はもちろん、ゲーム配信、ガンプラやミニ四駆の制作や、仲の良い麻雀プロをゲストに呼んでの配信など、多趣味な松ヶ瀬プロらしいチャンネルとなっています。
最近人気の「スイカゲーム」のゲーム実況や、
同じくガンプラ作りが趣味な日向藍子プロとコラボして、一緒にガンプラを作ったり、
他には"松ヶ瀬食堂"では、勝又健志プロと園田賢プロ、岡田紗佳プロとMリーグ公式インタビュアーの松本圭世さん、滝沢和典プロと日吉辰哉プロ、などなどのゲストを読んで、一緒に松ヶ瀬プロの料理を食べて、時々お酒を飲みながら、ここでしか聞けない話を聞くことが出来ます。
2023年5月から6月の期間限定受注販売で私立松ヶ瀬学園とヴィレッジヴァンガードのコラボ商品が販売されたこともありました。包丁を持った松ヶ瀬プロのデフォルメされたイラストの入った、Tシャツやマグカップなどのお馴染みな物や、エプロンやランチョンマットといった松ヶ瀬プロらしい物もありました。
まとめ
松ヶ瀬隆弥プロは、約10年間飲食店で働いていましたが、29歳の頃心機一転、地元札幌を離れて上京し、麻雀プロとなりました。RMUの実力者として一部の麻雀ファンの間では知る人ぞ知る存在でしたが、EX風林火山のオーディションで自らの手でMリーガーの座を勝ち取り、念願のMリーガーとなり知名度が大きくアップしました。強面のルックスで、喋り方も不愛想、ちょっと怖そうな雰囲気な方ですが、料理上手で多趣味、話せば面白い方で、そのギャップがファンに愛されています。今や多井プロに次ぐ、RMUのナンバー2、RMUの若頭といったような存在と言えるでしょう。
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