園田賢 卓上の魔術師の波乱万丈な経歴
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園田賢 卓上の魔術師の波乱万丈な経歴

園田賢プロは、最高位線日本プロ麻雀協会に所属する麻雀プロで、Mリーグでは「赤坂ドリブンズ」に所属し、Mリーグ立ち上げ当時から活躍する人気Mリーガーです。慶應義塾大学卒業のインテリで、変幻自在の鳴きで相手を惑わすことから、麻雀賢者、卓上の魔術師といった、二つ名で知られています。実力者ながら、どこか不運で、そして面白いコメントを残す園田賢プロの魅力についてご紹介します。

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麻雀賢者と呼ばれる”そのけん”について

プロフィール

  • 名前:園田賢(そのだ けん)
  • 生年月日:1980年11月25日
  • 出身:兵庫県神戸市
  • 血液型:A型
  • 趣味:カラオケ、お酒
  • 学歴:慶應義塾大学環境情報学部卒業
  • 所属団体:最高位戦日本プロ麻雀協会(第28期後期)
  • Mリーグチーム:赤坂ドリブンズ
  • X:@sonodaken

園田賢プロは、今は麻雀プロ一本ですが、長らくサラリーマンと麻雀プロに二足の草鞋で活動し、Mリーグ参戦前は知る人ぞ知る実力者として知られていました。

Mリーグ発足当時から赤坂ドリブンズに所属し、試合後のインタビューは、ユーモアを交えながら長尺で自身の打ち筋を解説することから「独演会」と称されるなど、親しみやすいキャラクターもあり、一気に人気と知名度が上がりました。

"できることは全部やる"という言葉を座右の銘にしており、これは何度かの転職、サラリーマンとの二足の草鞋の生活といったプライベートや、どんな時も諦めない麻雀の打ち方にも表れている気がします。

雀風について

園田賢プロは、麻雀賢者や卓上の魔術師と呼ばれることからわかるように、変幻自在な鳴き、多彩な打ち筋が持ち味です。近代麻雀の選手名鑑では、冷静さとスピードにおいて5点満点中5点という評価が与えられています。園田賢プロは自身の打ち方の特徴について、「飽きない麻雀をお見せ出来ると思います」とインタビューで答えており、引き出しの多さについては自信を持っており、「とくに河の作り方。ストレートにアガリに向かうのではなく、河を作って相手が真っ直ぐ打てないような状況にしてからアガリに向かった方が得な場面もあるんです」とやはり魔術師と呼ばれるのも納得な、理論的なスタイルです。

最速最強がキャッチフレーズのRMU代表の多井隆晴プロは、園田賢プロの予想できない打ち筋について真似できないとコメントしています。

試合後のインタビューが長くなりがちなのも、自身の打ち筋を理論的に説明したいというサービス精神の表れであり、理論派で面白いそれが園田賢プロの魅力の一つだと思います。

著書「麻雀のネクストレベルの扉を開く 魔術の麻雀」

園田賢プロは麻雀の戦略本「麻雀のネクストレベルの扉を開く 魔術の麻雀」を2021年12月に出版しています。

この本は、麻雀のルールを一から解説するような初心者向けの麻雀本ではなく、実践譜をもとに自信のメソッドを解説する内容となっており、中級者から上級者向けの戦略本と言える内容です。しかし、難しい本になっているかというとそうではなく、Amazonのレビューでも、「言葉選びも丁寧でユーモアがあっておもしろい」や、「初心者でもなるほどと思える、楽しい本」という感想も寄せられており、カスタマーレビューも4.6と高い評価を得ています。

どこか不運な園田プロ -「なんなん」-

園田賢プロは、NHKのドキュメンタリー番組『ドキュメント20min.』で取り上げられ、Mリーガーの代表格で、人気麻雀プロといえる存在ですが、この番組の中でもフォーカスされたのが、運のなさ。

もはやMリーグ界隈の流行語となっているのが、園田賢プロがつぶやいた「なんなん」という言葉。最初は佐々木寿人プロと同卓したMリーグの試合で、佐々木寿人プロが親のダブ東を暗槓してリーチ、ツモって12,000オールと高い打点をたたき出し、その後も園田賢プロは何もできず箱下に終わってしまい、試合後にX(当時はTwitter)でつぶやいてバズったのがきっかけでした。

そして、「なんなん」が更に有名になったのは2021年シーズンの2021年10月28日の第一試合、為す術もなくラスとなってしまったこの試合の後のインタビューの第一声が「なんなん」、これがYahoo!ニュースになり、上位検索ワードに「園田賢 なんなん」が入るなど、大きな話題となりました。高学歴で麻雀賢者と称される実力派である園田賢プロですが、どこか不運で、だけど思わず「なんなん」とつぶやいてしまう面白いお人柄に、麻雀ファンはどんどん魅了されていきます。

また幾度となく、トップから劇的な逆転を許してしまうことから「マクラーレン」と呼ばれることも

そして、Mリーグ参入一年目のU-NEXT Pirates・仲林圭プロが裏ドラを三枚乗せてあがった試合で、プレイヤー解説を務めていた園田賢プロは「自分は(裏ドラが乗った事が)五年間で一回もない」と語り、視聴者の笑いを誘いました。

どこか不運な園田プロですが、ご本人は自虐的にユーモアを交えて運のなさを口にしますが、決して自分を不運だと思っているわけではなく、運の有無は“過去の事象”に対して使うべきだと思っており、“運がない人”ではなく、オーラスや裏ドラに関しては“運がなかった人”だと、話しています。

また、絶対に負けられない試合で結果を残し、あまり知名度が高くない段階でMリーグに入ったり、NHKのドキュメンタリー番組に取り上げられるなど、自分は運がいい方だと思うと話しています。園田賢プロは不運な男と称される方ですが、本当は誰よりも幸運なMリーガーなのかもしれません。

YouTubeチャンネル「その研 -園田賢の麻雀研究所-」

園田賢プロは、「その研 -園田賢の麻雀研究所-」という名前のYouTubeチャンネルを持っており、最高位戦日本プロ麻雀協会所属の鈴木聡一郎プロを相方に、自身が出場したMリーグの試合を振り返り、解説しています。また編集として、同じく最高位戦日本プロ麻雀協会所属の小西雅プロが参加しています。

Mリーグの試合を振り返って、どうしてそういう選択をしたのか、このときどう考えていたか、という牌譜検討を行う配信が中心なのですが、時々、園田プロが好きなコスプレイヤー「かれしちゃん」の話題や、なか卯の話になったり、なか卯食べたり、面白い脱線をするのも魅力の一つです。

麻雀関連以外にも、伊達朱里紗プロのファンクラブイベントに出演した時の動画や、園田賢プロと鈴木総一郎プロ、そして友添敏之をゲストに八丈島へ夏休みに行く、といった動画もあり、バラエティに富んだチャンネルとなっています。

人気Mリーガーになるまでの経歴

有名大学を卒業し、そして会社員として働きながらも麻雀プロとなって、その後も何度かの転職を経験し、紆余曲折ありMリーガーとなり、一躍人気雀士となった、園田賢プロの味のある経歴をご紹介します。

麻雀と出会い、プロになるまで

神戸市出身の園田賢プロは、進学校として有名な灘中学、灘高校に入学しました。この頃は少し麻雀で遊ぶぐらいのことはあったけれど、そこまで熱中するほどではなかったそうです。男子校であったため、外の世界に出会いを求め、マクドナルドでアルバイトをするようになりましたが、そこで出会った先輩の影響でストリートミュージシャンになり、将来はミュージシャンを目指していたそうです。

なんと、日本プロ麻雀協会に所属しているサイコロ太郎プロは高校時代の同級生で、二人とも大学受験に失敗、浪人となり、共に雀荘でアルバイトをするようになります。そこで麻雀にのめり込むことになりました。

大学は慶應義塾大学環境情報学部に入学、東京での暮らしにあこがれていたのですが、環境情報学部は湘南藤沢キャンパスで、少しがっかりしたそうですが、ここでさらに麻雀に打ち込むことになります。

キラキラしたイメージのあるテニスサークルに入りますが、割と真面目にテニスをするサークルだったので、たった二カ月で辞めることになりますが、そこで出会った先輩たちと麻雀をするようになります。学校内にあった雀卓が園田賢プロの部屋に持ち込まれ、いろんな人が集まり麻雀を打つようになり、そして大学在学中に雀荘でも働くようになり、麻雀に熱狂する日々を過ごすようになります。

麻雀プロとなり、会社員との二足の草鞋に

大学時代は麻雀ばかりしている日々でしたが、就職活動という現実が迫ってきます。園田賢プロは考えて、この麻雀ばかりしていた日々に意味をつけるため、麻雀プロになることを決意します。

そして、2003年に最高位戦日本プロ麻雀協会のプロ雀士となります。最高位戦日本プロ麻雀協会を選んだのは、プロ雀士になろうと思ったときに、試験の日程が一番近かったからという理由で、知っているプロがいたわけでなく、また、各団体の特色もわかっていたわけではなかったそうです。

麻雀プロとなった園田賢プロは、大学在学中に働いていた雀荘を首になってしまいます。というのも、その雀荘は当時は流行っていた、女性と麻雀が打てる雀荘、通称ギャル雀であったため、お店のコンセプトに会わないプロ雀士となってしまい、そのお店を辞めることになります。しかしそれが転機となり、その後、渋谷にある雀荘「Z」で働くようになりました。そこで、石橋伸洋プロ、今村順平プロ、水巻渉プロ、木原浩一プロ、小倉孝プロ、堀慎吾プロといった面々と出会い、麻雀の楽しさを再発見し、腕を磨くことになります。就職活動のためになった麻雀プロですが、就職はせずにZでしばらく働きました。

しかし、雀荘「Z」で3、4年働いているうちに、麻雀が作業のようになってきてしまい、自分の伸びしろを感じなくなり、自分の将来に疑問を覚えるようになってしまったそうです。そこで、28歳ごろの時に、システムエンジニアとして就職しました。1年少し働きましたが、安定した収入を得ることが出来ましたが、単調で大変な仕事で、あまり職場の環境も良くなかったため、転職をします。

社長の三宅浩一氏と知り合いだったつてもあり、麻雀競技サイトなどを取り扱う広告代理店MMネットワークに就職することになります。そして、この頃名前は公表していませんが、麻雀プロの女性と結婚することになります。家庭を持ち将来への不安もあり、より収入の良い仕事を探し、システムエンジニアの経験を活かし、求人サイトのメディア運営会社に再び転職することになります。数年で高収入を得ることになり生活も安定しますが、ブラック企業と言えるような労働環境、休みもなく働き、この頃には麻雀プロとしての活動も休業することになり、生活のために転職をしたはずなのですが、なんと離婚することになってしまいます。そして、再度転職をします。

会社の部下が、アフィリエイトでの収入が増えたので退職するという話を聞き、自分でもできるのではないかと思い退職、アフィリエイトサイトの運営を始めます。1年ほどで軌道に乗り生活は安定しましたが、Googleのアルゴリズムが変更したことがきっかけとなり、収入が激減、ピンチとなりましたが、麻雀の実力でこの危機を脱することになります。

サイバーエージェント・藤田晋が出資する麻雀プロデュース会社「RTD inc.」の立ち上げ記念大会に出場、この大会は1日で勝敗が決まる大会ですが、優勝賞金が100万円と高額、当時収入が減ってしまった園田賢プロは、厳しい予選を勝ち残り見事本大会に出場しますが敗れてしまいます。しかし、この大会の打ち上げで、後にMリーグ「赤坂ドリブンズ」の監督を務めることになる、博報堂の越山剛氏と出会います。この打ち上げで越山氏に誘われ、博報堂の系列の子会社に就職することになります。ブラック企業からフリーランスを挟み、超ホワイト企業で働くことになり、麻雀プロとサラリーマンの二足の草鞋で安定して活動できるようになります。

Mリーグに参戦、人気雀士の仲間入り

博報堂の子会社で働くようになり、麻雀プロとしての活動も順調になっていきます。2017年に開催された、アマチュアチームや各団体が参加するチーム対抗戦「麻雀駅伝」で、平賀聡彦プロが出場することが出来なくなり、その代わりとして、最高位戦日本プロ麻雀協会代表で出場、優勝を逃しますが園田賢プロの活躍もあり、チームは準優勝となります。また、所属団体である最高位戦日本プロ麻雀協会のリーグ戦の最高位であるAリーグに昇格、そして決勝戦にあたる「最高位決定戦」へ初めて進出、準優勝になります。

その翌年の2018年に、前年優勝を逃してしまった麻雀駅伝に出場、見事最高位戦チームを優勝へと導きます。他にも各団体の垣根を超えチームを結成し、リーグ戦を戦うテレビ対局「The All Star League 2017」に木原浩一プロと愛内よしえプロとチームを組み参加、見事優勝を果たします。ホワイト企業へ転職したことが好成績へと結びついたのか、麻雀プロとしての実績を確実に積み上げていき、記憶に残る活躍を残していきます。

そして、園田賢プロの麻雀プロとしての最大の転機となるMリーグが、2018年に発足します。その第一回のドラフト、50音順で指名が発表されるため、一番最初となる「赤坂ドリブンズ」の1巡指名が園田賢プロ、歴史上初めてMリーガーとして指名されたプロとなります。この時、実力者として知られてはいましたが、獲得タイトルはなく、Mリーガーのなかでも一番知名度の低い存在と言えるプロでしたが、一番最初に名前を呼ばれた麻雀プロとして、麻雀ファンに大きなインパクトを与えました。

Mリーグ1年目、園田賢プロはレギュラーシーズン個人6位、ファイナルシーズン3位の好成績を残し、赤坂ドリブンズは見事初代優勝に輝きます。園田プロの魔術師と呼ばれる変幻全自在な打ち方だけでなく、ユニークなキャラクターもあり、一躍人気麻雀プロとなります。

個人タイトルは獲得していませんが、2017年「麻雀駅伝」、2017年、2018年「The All Star League」、2018年「Mリーグ」と数々の団体戦で優勝、

そして最高位戦のリーグ戦は2018年も二年連続となる準優勝。その後も2021年4位、2022年2位、と最高位決定戦の常連となり、同団体屈指の実力者へと成長しました。

2019年には働いていた会社を退職、長らく会社員との二足のわらじの生活を送っていましたが、麻雀プロの専業になりました。

Mリーグ成績
シーズン個人
スコア
平均
打点
4着
回避率
最高
スコア
半荘数
2022262.1pt6,6530.82868410035
2021-56.7pt6,4030.81486030027
2020-28.7pt6,6920.64295300028
2019-377.6pt5,7560.66674830027
2018123.2pt5,8540.70975240031

動画

卓上の魔術師

そう呼ばれる園田賢プロの実力が垣間見える動画です。

園田賢プロの選択を称賛

最高位戦の先輩でもある解説を務めた土田浩翔プロが称賛。

全米が泣いたそうです

独演会の真骨頂

2022年シーズン

一カ月ぶりのトップに熱い思いを吐き出したようなインタビュー。

おまけ

2019年にハードロックカフェ東京行われた赤坂ドリブンズのディナーショウで披露された、「3年目の浮気」の替え歌で「三元目の浮気」を小林未沙さんとデュエット。ちなみに小林未沙さんがお風呂に入ってる間に思いついたそうです。

まとめ

Mリーグの設立によって、知名度が一気に上がり今や人気麻雀プロとなった、園田賢プロは、魔術師や賢者と呼ばれる、インテリジェンスで理論的な打ち筋ですが、関西出身らしく、ユーモアあふれるキャラクターで多くの麻雀ファンから愛されています。運がないと言われることもありますが、生活のために麻雀以外の仕事をつづけながら、麻雀プロの活動をつづけ、ピンチになっても、できることは何でもやるの精神でその危機を脱し、いくつもの幸運を引き寄せてきました。波乱万丈で味のある経歴を持つからこその魅力が、園田賢プロにはあるように感じます。タイトル獲得の経験がないため、無冠の帝王と呼ばれることもありますが、いつの日かきっと、個人のタイトルも獲得する日がやってくるでしょう。

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