麻雀の ありあり とは。喰いタン後付けあり!
麻雀のルールは実に複雑で難解だと思います。中国語なのか、日本で中国風にでっち上げられた言葉なのか、いまいちよくわからない言葉が使われているのが麻雀だったりします。そんなわかりにくい麻雀のルール要素の一つであるありあり。ありありについて何も知らないあなたも、わかっているようであまりわかっていないあなたも、いつも知ったかぶりをして相槌を打っているあなたも、ここでありありについての疑問を解決、ありありというルールの性質をしっかり理解して、さらなる雀力アップを目指しましょう。
「ありあり」ルールとは
ありありという言葉が指すのは2つの「あり」の事です。
- 喰いタンがあり
- 役の後付けがあり
この2つのルールを採用しているものがいわゆる「ありあり」というルールです。現在、一般的に親しまれているルールが「ありあり」になります。大抵の場合、喰いタンは「あり」で、役の後付けは「あり」の事がほとんどです。
この2つを採用していないルールが「なしなし」という事になります。喰いタンが「なし」で、役の後付も「なし」のルールの事を「なしなし」と言います。
喰いタンも役の後付けのルールもわかっている人なら、ここまでの説明でなるほど、となりますが、わからない人がほとんどだと思います。喰いタンと役の後付けについて説明したいと思います。
喰いタン
喰いタンというのは、タンヤオという役を鳴いて成立させることを言います。
まず、タンヤオという役の条件ですが・・・
タンヤオは麻雀のアガり役の中でも初心者が最初に覚えるべきとも言われるぐらいの、ベーシックな役に立つ役です。タンヤオに始まりタンヤオに終わるのが麻雀です。
ポン、チー、カンの事を正式には副露(フーロ)と言い、一般的には「鳴き」と呼びます。「鳴き」というのは、他にも「喰う」と呼ぶこともあり、「喰って作るタンヤオ」なので「喰いタン」と言います。
タンヤオを鳴いて成立することを認めるルールが、ありありの1つ目の「あり」の意味です。
もはやこの喰いタンをありとするルールがあまりにも一般的なので、なぜ喰いタンのありなしを決める必要なのかと疑問に思う方もいるかと思います。
基本的に鳴いた場合、食い下がりといって一翻価値が下がるルールがあります。
例外的に、対々和(トイトイ)や三色同刻(サンショクドウコウ)などの刻子(コーツ=3枚の同一牌で揃えた面子)で構成されている役は食い下がりはないですが、順子(シュンツ=同じ種類の3枚の連続した数字で作る面子)で構成されている役は食い下がりがあります。
鳴いた場合、人の捨てた牌で自分の欲しいものを手に出来るので、上手に使えばよりアガりへ早く近づけることになります。そして、刻子を揃える方が難易度が高いので、刻子系の役は難しいから鳴いても良いけど、順子系の役は刻子系の役と比べて難易度が低いので鳴いた場合得点ダウンにしましょう、というのが食い下がりというルールの背景です。
しかし、タンヤオは順子でも刻子でも2から8の数牌であれば問題ないのですが、一翻役なので、難しい役でもないし、鳴きもありっていうのはズルい、という事もあり、鳴いてしまったら食い下がりで0翻でしょう、というところから、喰いタンのなしという考えが生まれるわけです。
ストイックな麻雀好きの意見を聞くと、自分が大きな手を狙っていて、喰いタンのような小さな手でアガられるとムカつくとか、そんな意見はちらほら聞きます。
しかし、喰いタンありというルールならばルールに則っているので何も問題ないはずです。もし、自分の上司が喰いタンを嫌うとか、自分の恋人が喰いタンでアガる人が嫌いだとか、そんな状況下で麻雀を打つなら別として、周りに気兼ねなく喰いタンありなら喰いタン狙っちゃいましょう!
タンヤオについての詳しい説明はこちらでもしています。→タンヤオを理解して初心者脱出! 誰にもわかるタンヤオのすべて
役の後付け
ありありの2つ目のあり、それが役の後付けがありという取り決めです。
役の後付けとは、言葉通り、後から役を確定することです。つまり、「役に関係ない部分を先に鳴き、後から役を確定させる事」や「テンパイ時に役が確定していない状態でのアガり」や「片アガリ=2つ以上の当たり牌があるときに、どれか1つは役が付かなくアガれない事」、これが役の後付けです。これをありとするのが、ありありの2つ目のありです。
少しこの説明ではわかりにくいかもしれません。実例を出すと、例えば役牌という役があります。
より詳しい説明はこちら→シンプルだけど奥深い「役牌」簡単な手を使ってもっと上のステップへ!
役牌は役の付く字牌を刻子で揃えていれば役の付く、お得なアガリ役です。
例えばこのような状況
誰かが を捨てたので、ポン!
このように役牌へテンパイ(アガりの一歩手前)を迎えました。後は を手にしたらアガりです。この時点では役は確定していないですよね。
そして、誰かが を捨てたので、ロン!
といった過程でアガりました。
を鳴いた時には役牌は確定しておらず、その時点では をいずれ手にできるだろうという可能性しかなかったですよね。そして、最終的に をロンしてアガりました。つまり、最終的に役が後からついてきたので、この状況でアガったことを役の後付けと呼べます。
役の後付けがありの場合、このケースはアガれます。後付けがなしの場合、残念ながらこのケースはアガれません。
役の後付けは喰いタンと同じように今となっては一般的なルールです。しかし、もし知らない人と麻雀を打つ時や、久しぶりに再会した友人と麻雀を打つ際に、変な言いがかりをつけられないためにも事前に後付けがありかなしかを確認した方が良いでしょう。
ありありルールまとめ
ありありの2つのありは1つ目が喰いタンがありかなしか・2つ目が役の後付けがありかなしかを指します。
つまりは、
- ありあり→喰いタンあり/役の後付けあり
- ありなし→喰いタンあり/役の後付けなし
- なしあり→喰いタンなし/役の後付けあり
- なしなし→喰いタンなし/役の後付けなし
といった意味合いになります
ここで覚えていてほしいのは、一番一般的で親しみやすい縛りの少ないルールが、ありありです。もし、麻雀のルールを覚えたてでいろいろ不安な方はありありのルールを選択するのが一番無難です。
「ありあり」の戦略
既に説明したように、ありあり=喰いタンあり/役の後付けありのルールです。ということはどういうことかというと、ざっくりと言えば、大体のことは許されている懐の深いルールです。なしなしの場合と比較すると、なしなしは役の後付けを認めないという、やっかいなルールが大前提として初心者の壁となり立ちふさがり、初心者の優しい味方喰いタンを認めないわけですから、ありありに比べ、なしなしは縛りがより強いストイックなルールと言えます。
このありありというルールを生かした打ち方、それはすなわちスピード重視ということになります。
後付けありを生かす術
何をもってスピード重視かというと、アガりの基本である、4面子と1雀頭を揃える、という事を念頭に入れてより早くアガるということです。大きな手を狙わずに、より早くアガる、ということがありありのルールで打つ限り重要となっていきます。
後付けがなしの場合、テンパイ時で役が確定していないとアガりにならない厄介な壁がありますよね。これはやっかいです。
例えばこういう状況
この場合、当たり牌が5種類に分類されます。 の場合は平和、・ の場合はタンヤオ、そしてさらに ・ は平和+タンヤオといった具合にテンパイ時にアガり方が3種類に分類され、アガり役が確定していないので、このような多面張でもなしなしの場合はアガることは出来ないのです。
が、しかしです、ありありのルールの場合、この例のようなテンパイの形はおいしい状況です。タンヤオがつかなくてもピンフがあり、さらに多面待ちの状況が有利となります。
ここがありありとなしなしのルールの違いが顕著に表れる点です。ありありの場合だと、いかなる形でもテンパイに持ち込むことが勝利へのキーポイントになります。なしなしの場合は、じっくりと手作りをしてアガることが最優先になります。
上の例を考えると、5面待ちのメンゼン。リーチをかければ1翻プラス、裏ドラが乗ればさらに1翻、アガる確率も高い、得点も上がる可能性を秘めているテンパイ状況です。より早くこういう形にもっていくのが効率のいい戦略です。なしなしの場合、こういったテンパイを迎えたとしたら、ピンフやタンヤオが定まっていないので、悪い手の進め方と言えるでしょう。
現代の麻雀がスピード重視とよく言われますが、ありありが主流であることも一つの要因になっています。手っ取り早くアガる、良型のテンパイを目指す、これがありありで優先される事です。
喰いタンのありを生かす術
そして、もう1つのあり、喰いタンをより生かすことが重要になります。
喰いタンの最大の魅力、それはアガりまでのスピードアップ、それが喰いタンのメリットなのです。
タンヤオはアガり役の中でも1,2を争うぐらい難易度が低い役です。2から8までの数牌で4面子1雀頭を揃える、それだけが条件なので、わかりやすいし、アガりやすい。尚且つ、鳴いたら尚更アガりやすい。
例えば、他家の親を流したい時、自分の親を連荘したい時、喰いタン狙いでスピードアップ、これはありありのルールでしか出来ません。
そして、ドラを2つ3つ持っている時、喰いタンでより早くアガることを目指すのも一つの手です。喰いタンはメンゼンを崩しているため、リーチをかけられません。なので、どうしても打点の弱い手になりがちですが、ドラが2つ3つもあれば強力な手になります。ここぞの時のスピードアップ、喰いタンですね。
喰いタンの弱点としては、守備力が落ちてしまうことです。喰いタン狙いで鳴いてしまうと、危険牌になる可能性の高い2から8の数牌を抱えてる上、自由に動かせる手牌が少ない状態になってしまうので、振り込む可能性が高くなってしまいます。
もちろん、喰いタンに限ったことではないですが、きちんと計画性を持ったうえで鳴く、という事が大切になっていきます。むやみやたらに鳴くのはみっともないです。ましてや、3つも鳴いたらかなり危険です。せいぜい、鳴きは2つまでに抑えておくと良いでしょう。
その他の細かい「あり」
厄介なことに、ありあり、なしなし、と言っても、他にもいろいろとありかなしかという取り決めがあります。その中の代表的な覚えておくと便利なありなしを紹介したいと思います。
- ピンヅモのありなし
- 赤牌のありなし
- 喰い替えのありなし
ピンヅモのありなし
ピンヅモとはピンフとメンゼンツモという2つの役の事を指しています。
この2つの役の複合を認めるか認めないか、という事がピンヅモがありかなしか、という事です。
知らない人にはなんのこっちゃですし、ピンヅモのありなしのルールを知らない人からしたらそりゃ複合するでしょ、という話ですが、詳しく説明すると、ピンフという役の成り立ちに由来があります。
ピンフという役のもともと前提として、符が付かない役、という決まりがあります。だから、平和=平らな和了、という意味なのです。
そして、符計算上、ツモでアガると2符加点されます。なので、ピンフの条件と矛盾するため、ピンフのツモアガりを認めない、というルールが主に関西を中心に存在します。つまりピンフは符が付かない役なのでツモアガりを認めない=ピンヅモのありなしという事になります。
ピンヅモがなしの場合、ピンフとメンゼンツモは複合せず、ピンフの形でツモアガりをするとメンゼンツモの1翻のみ、という計算になります。ピンヅモがありの場合、符計算は20符スタートになりますが、ピンヅモなしの場合は30符スタートで計算し、ピンフ形のツモアガりは1翻30符という得点になります。
関東では一般的にピンヅモありの場合がほとんどです。近年では関西でもピンヅモありのルールの方が普及していると聞きます。
しかい、このピンヅモのありなしも事前に確認していないとトラブルのもとになりかねません。ピンフはツモでアガれないのが常識だと主張する一派も存在します。楽しく麻雀を打つためにピンヅモのありなしも確認しましょう。
赤牌のありなし
赤牌というのは、このように 赤い色をした牌の事を赤牌と呼びます。別名・赤ドラと呼びます。この赤牌は持っているだけで一翻プラスになるので、赤ドラと呼ばれています。
ドラについての説明はこちらで→ドラ・ドラ・ドラ!ドラを使っての麻雀攻略法。
例えば一盃口のみでアガったとしても赤牌が一枚入っているのでプラス1翻追加されます。
普通のドラの場合はドラ表示牌の次の順番のもの(例えば1の次は2、東の次が南)がドラになりますが、赤牌は赤牌そのものがドラになります。また、局ごとにドラは変更されますが、赤牌はずっとドラのままです。
赤牌を全体で何枚入れるか、というのは特に決まりはないです。1枚だけ入れることもありますし、4枚入れることもあります。ちなみに、セガから出ている麻雀ゲームのMJは5萬、5索、5筒の3つの赤ドラが入っているルールです。MJの場合、赤牌が入っているのは決まりですが、ゲームによっては赤牌のありなしが選択することが出来るものもあります。
この赤牌を嫌う人もいて、持っているだけで1翻プラスになるので、得点のインフレに繋がりますし、ただでさえ運要素の強いゲームである麻雀が、より運要素の強いゲームになります。
最近では赤牌ありのルールも一般的になりましたが、それは最近の話です。オールドスタイルのストイックな麻雀好きの人は赤牌を嫌う人もいるかと思います。赤牌を嫌ってる素振りをした人と一緒に打つときは、そっと赤牌なしにしましょうと提案してみましょう。
喰い替えのありなし
喰い替えというのは鳴きに関するルールです。
例えば、
と手牌の中にあって、 をチーをして、 を捨てる行為。
と手牌の中にあって、 をポンをして、 を捨てる行為。
と手牌の中にあって、 をチーをして、 を捨てる行為。
これを喰い替えと言います。
競技麻雀では特に禁止されていないことが多いですが、一般的なルールで禁止とされることも多々あります。理由として、特に深いものはないのですが、意味のない行為はマナー違反なので禁止、という事から喰い替えのありなしという事が存在するようです。
麻雀のゲームだと喰い替えに当たる牌を捨てようとしても捨てられない、という仕様になっていることもあります。
まとめ
「ありあり」と呼ばれる麻雀ルールについて説明しましたが、現在の一般的な麻雀ルールは「喰いタンあり」の「役の後付けあり」です。他にも赤牌がありだのなしだの、ピンズモがありだのなしだの、喰い替えがありだのなしだの、いろいろなありなしが麻雀のルールには存在します。ここで挙げたありなしはほんのごく一部です。取り上げるときりがないぐらいのありなしがあります。しかし、そんな複雑で細かい部分も含めて麻雀の醍醐味の一つです。とりあえず、「ありあり」についてはもう理解したはずです。初心者でも安心して打てるのがありありなので、困ったらありありルールで麻雀をやりましょう。
皆さまからのコメントと麻雀豆腐編集部からの返信!
誤字報告です。
>食い下がりで0翻でしょう、というとこから
→というとこ【ろ】から
>ルールならばルールに乗っ取っているので何も問題
→則(のっと)って
>喰いタン狙っちゃいましょう
→喰いタン狙っちゃいましょう【!】
>ここで覚えていて欲しいのは
→【ほ】しい
>ざっくばらんに言えば、大体のことは許されている懐の深いルール
→ざっくりと言えば? 大まかに言えばというニュアンスならこちらかと
ざっくばらん=さっぱりと遠慮がないさま。
>当たり牌が3種類に分類されます。
→当たり牌が【5】種類に分類されます。(1.3.4.6.7の萬子なので)
→【上がり方】が3種類に分類されます。(平和・タンヤオ・平和+タンヤオ)
>多面張でもなしなしの場合はアガることは出来ないです
→多面張でもなしなしの場合はアガることは出来ない【の】です
>メンゼンを崩しているため、リーチをかけれないです
→リーチをかけ【られません】
>スピードアップ、喰いタンですね
→句点追加
>一翻プラスになるいるので、赤ドラと呼ばれています
→一翻プラスになる【】ので
麻雀豆腐編集部です。
麻雀豆腐サイトのご利用誠にありがとうございます!
>誤字報告です。
申し訳ありません、該当箇所を修正致しました。
いつも誠にありがとうございます!m(__)m
コンテンツに間違いないようより一層の注意を払い、ご利用していただけるユーザー様と共に麻雀豆腐も成長していけるように努力致します。
今後とも麻雀豆腐を宜しくお願い致します。
後付ありを活かす術のところ、
1で平和
36でタンヤオ
47でタンヤオ平和で(147の平和の3面張、36のノベタン)
2は違うと思うのですがどうでしょうか。
駄文失礼いたしました。
麻雀豆腐編集部です。
麻雀豆腐サイトのご利用誠にありがとうございます!
>2は違うと思うのですがどうでしょうか。
ご指摘いただいた通り、説明に誤りがあり修正致しました。申し訳ございません。
仰る通り、平和の1・4・7の3面張+3・6のノベタン待ちでした。ご指摘ありがとうございます!
コンテンツに間違いないよう
より一層の注意を払いたいと思います。
今後とも麻雀豆腐を宜しくお願い致します。