五筒開花は花に見立てたローカル役!
五筒開花(ウーピンカイホウ)とは、ローカル役の一種です。そんなに知名度も高くないし、採用されることも滅多にありません。もはや忘れられつつある、影の薄いローカル役ですが、再びそんなローカル役にスポットを当てるべく、このページでは五筒開花を含めたいくつかのローカル役を紹介したいと思います。
1.五筒開花(ウーピンカイホウ)とは
五筒開花と書いて、ウーピンカイホウと読みます。見慣れない名前の役ですが、そう、なぜなら、それはローカル役だからです。プロ競技麻雀団体のルールでも採用されることもなく、オンラインゲームでも採用されることもない、日陰の存在、それが五筒開花です。
ローカル役
ローカル役とは公式に採用されている37個以外の非公式なアガり役のことです。一部地域、限られた土地や場所、仲間内のみで採用されています。それらの役は、中国麻雀で採用されているものにアレンジを加えたものや、時代が立ち忘れられてしまった役、アメリカ発祥の役、勝手に作られたユニークな役など、発祥の由来は様々です。そして中国麻雀から由来しているものを古役(コヤク)と呼びます。
五筒開花は一般的には古役と言われています。が、現在一般的に中国麻雀で使用される役のなかに、五筒開花にあたる役はありません。想像するに、中国麻雀でもローカルな存在だった五筒開花が、昔々に日本に麻雀が伝えれたときに一部の人は知っていて使用していたけれど、あまり知名度も高くなく、なんとなく存在が薄くなっていったのではないでしょうか。しかし、それも麻雀の魅力の一つ、忘れられしローカル役をもっと知ってみましょう。
成立の条件
五筒開花はカンをしたときに、嶺上牌からツモったきた牌が五筒、つまり筒子の5だった時に、それが当たり牌だったときに成立します。
つまり、嶺上開花(リンシャンカイホウ)でアガったときに、その当たり牌が五筒だった時に五筒開花が成立するのです。
嶺上開花自体が意図的に出すことの出来ない役ですが、さらに偶然性が高いのが五筒開花です。だって、嶺上牌から五筒を意図的にツモるなんて出来ないですもの。
嶺上開花がピンときていない人は後程説明するので安心してください。
気になるその翻数
まず、五筒開花は嶺上開花の上位役という扱いなので、複合しません。そう、一盃口と二盃口の関係性と同じだと思っていただければ大丈夫です。
忘れてはいけないのは、五筒開花というのはローカル役です。なので、翻数については揺らぎがあります。
- 二翻
- 満貫
- 役満
といったように、諸説あるのがローカル役の宿命。
本来、昔の中国麻雀では五筒開花は満貫だった、という話を聞いたことがあります。それで満貫とする場合があります。
しかし、かつては役満はなく、昔の満貫は今の役満に相当するため、五筒開花を役満として扱う、という場合もあります。
しかししかし、満貫にしても役満にしても、いくらなんでも高すぎるんじゃないか、ということで、ダブルリーチのように、嶺上開花の上位役で二翻、とする場合もあります。いずれにせよ、理にかなった考えでしょうか。翻数についてはどれが正しいということはないので、五筒開花を取り入れるときには、その場にいる4人が納得いく翻数にしましょう。
名前の由来。なぜ五筒?
なぜ、五筒をツモって役になるのか。理由を聞かないとピンとこないと思います。もちろん理由がちゃんとあります。
それは、五筒を花に見立てているからです!
さぁ、言われてみれば花に見えないでしょうか?少々厳しいでしょうか?が、しかし、花なのです。
嶺上開花という役は嶺の上に花が咲く姿を見立てた役なので、さらに花に見立てた五筒をツモってアガってめでてぇな、といった役なのです。
2.ちょっとおさらい嶺上開花
漫画の「咲 -Saki-」の主人公・咲の得意技として地味な存在だったけれど、一躍知名度がアップしたのが嶺上開花。でもどういう役だったけ、という人のためにおさらい。
嶺上開花とは、一言でいえば、テンパイ時にカンをした際に、王牌(ワンパイ)から引く嶺上牌(リンシャンハイ)でアガると1翻、といった役です。
条件としてはわかりやすいが、よくわからない言葉がたくさん出てくるのが、嶺上開花の泣かせどころ。順を追って嶺上開花を整理しましょう。
ステップ1.カンとは?
カンというのは四枚一組の組み合わせで、鳴きの一つです。カンには三種類あります。
●暗槓(アンカン)
配牌時、または自分がツモをして手牌の中で四枚一組の組み合わせが出来てカンと宣言すると成立するカン。要は自力でカンをするもの、と覚えておけば大丈夫です。
●大明槓(ダイミンカン)
自分の手牌の中に事前に三枚の同種の牌がある状態で、誰かが同じものを捨て、カンと宣言して成立するカン。要するに、三枚持っている状態で、4枚目を誰かが捨てたときに宣言するカンと覚えておけば大丈夫です。
●加槓(カカン) / 小明槓(ショウミンカン)
既に鳴いて(=ポンをして)いる状態で、同じ牌をツモってきたときに、カンを宣言して成立するカン。つまり、ポンをしている状態からツモって加えるカン。
ステップ2.王牌(ワンパイ)とは?
麻雀というのは、牌山から牌をツモることによってゲームが進みますよね?しかし、14枚だけ場に残さないといけない決まりがあるのです。その14枚の山を王牌と呼びます。
この王牌から牌はツモれません。が、カンをするとツモることができます。
ステップ3.嶺上牌(リンシャンハイ)
嶺上牌とは、カンをしたときに王牌からツモることのできる牌のことです。カンというのは四枚一組ですが、三枚として考えるため、アガるには一枚足りなくなってしまいます。その補填をするためにカンをした後、王牌から嶺上牌をツモります。
王牌の中の四枚が嶺上牌です↓
拡大するとこんな感じです↓
カンをして、この嶺上牌をツモり、それがアガりだったら嶺上開花という役が付きます。そして、その当たり牌が五筒の時に、五筒開花というローカル役が付くときがあります。
嶺上開花についてはこちらのページでも詳しく説明しています→嶺上開花(リンシャンカホウ)を狙うメリットとデメリット
3.牌を何かに見立てたローカル役
五筒開花以外にも特定の牌を何かに見立てたローカル役が存在します。
ローカル役についてはこちらのページでも紹介しています。↓
忘れられし麻雀アガり役・ローカル役大全集
花鳥風月(カチョウフウゲツ)
五筒を「花」、一索を「鳥」、自風牌もしくは場風牌を「風」、一筒を「月」に見立てた役。翻数は役満として扱われることがほとんどです。
ちなみに花鳥風月とは、美しい自然の風景や、それを重んじる風流を意味する四字熟語です。
風花雪月(フウカセツゲツ)
自風牌もしくは場風牌を「風」、五筒を「花」、白を「雪」、一筒を「月」に見立てた役です。同じく、翻数は役満として扱われることがほとんどです。
ちなみに風花雪月とは、中国語での花鳥風月の意味で、花鳥風月とは違い少しだけ負のニュアンスを帯びている言葉だそうです。
二索槍槓(リャンゾーチャンカン)
他家が加槓をした時に、それが自分の当たり牌の場合ロンアガりできるという槍槓でアガる際に、 が当たり牌だった場合に満貫になる役です。五筒開花と同じように、満貫だったり二翻だったりします。
二索の絵柄を槍に見立てている古役です。これも槍槓の上位役扱いになるため、槍槓との複合はありません。
↑二索。確かに槍に見えますね。
一筒摸月(イーピンモーユエ、イートンモーユエ)
牌山の一番最後の牌でツモアガりする役、海底摸月(ハイテイモーユエ)でアガった時に、 が当たり牌だった時に満貫になる役です。これまた同じように、満貫だったり二翻だったりします。
一筒の絵柄を月に見立てていて、海底に沈んでいる月を掬い取っているという意味の古役です。カッコいいですね。この役も海底摸月との複合はありません。
↑一筒。月に見えないこともないですね。
九筒撈魚(チューピンラオユイ)
最後の場に捨てられた牌をロンしてアガりする役、河底撈魚(ホーテイラオユイ)でアガった時に、 が当たり牌だった時に満貫になる役です。お察しの通り、満貫だったり二翻だったりします。
九筒を魚の群れに見立てていて、河の底にいる魚の群れを掬い取るという意味の古役です。ちょっと無理がありますが、カッコいいですね。この役も同じく河底撈魚との複合はありません。
↑九筒。魚の群れ・・・。言われてみれば見えないこともないですね。
古役と「咲-Saki-」
麻雀漫画の中でも飛ぶ鳥を落とす勢いの人気漫画、「咲-Saki-」。萌え系漫画としての面がフィーチャーされることが多いかもしれないですが、やはりあくまでも麻雀漫画。超能力的な派手な演出もありますが、さりげなく古役が隠されていることがあります。
偶然か、意図的か、五筒開花の形で主人公・咲がアガるシーンがあります。それは長野県予選の決勝、大将戦の南四局、オーラス、咲が三連続カンをして数え役満での逆転優勝を決める場面ですが、そのアガり牌が五筒なのです。
地区予選の優勝を決める最後のアガりが、主人公・咲の得意技の嶺上開花、そしてアガり牌が五筒。劇中ではそれが五筒開花にあたるとかどうとかという言及はないのですが、わかる人にわかればいいというさりげない演出ではないでしょうか。
その試合にはいくつか古役が登場していたりします。そんな自分も「咲-Saki-」を普通に見ていても気づきませんでした。実はそれを発見した人のブログをたまたま読んだだけです。もしよかったら見てみてください。→http://d.hatena.ne.jp/sevas/20090812/1250005402
4.まとめ
どうやら、五筒は昔から花に見立てられていたようですね。五筒開花以外にも花に見立てたローカル役があるのです。他にも二索を槍、一筒を月、九筒を魚の群れ、といったように何かに見立てたローカル役がいくつかあります。昔の人はロマンチストというか、詩人というか、こじつけというかなんというか、いろいろ考えたもだなぁ~、と感心してしまいます。それらのローカル役は今や忘れられし存在なのですが、もしよければ仲間内で取り入れてみてはいかがでしょうか?そのときにはちゃんと定義を決めてトラブルのないように気を付けましょう。
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