
長崎IRの現状と今後の見通しについて、G2Eアジアで語られる
ゲーミング法制協議会理事長、美原教授が長崎IRについて説明
長崎で統合型リゾート開業を目指している投資家コンソーシアムは、数か月以内に日本政府から認証を得ることができなければ、破綻する可能性があると、美原融(みはら とおる)教授は、長崎IRの状況と今後の可能性について語りました。
ゲーミング法制に関する協議会会長の美原融教授は、G2Eアジアで開かれた日本とタイのゲーミング市場についてのパネルディスカッションで、長崎についての議論が遅れ結論が出ていないことについて語り、政府からの詳細な情報提供の要求に対して、「ボールは既に長崎県の手にあり、それを返答するかしないかだ」と現在の公式見解について説明しました。
日本政府はMGMリゾートとオリックスがパートナーとして請け負う大阪IR計画を認証しましたが、長崎県については認証せず、提案についてさらなる詳細を求めました。特に、長崎県のIR計画のコンソーシアムを主導するカジノ・オーストリアの他にどこが投資するのか詳細を求めました。
「この長崎県に科された課題に返答するには数か月かかることになるかもしれない」と美原教授は政府関係者と何度か話し合ったことを明かし、こう語りました。「長崎のIR計画案は、資金調達面が不安定であり、問題がありました。例えば、現在提出されたドキュメントでは、我々はスポンサーがどこかわかりませんし、どこから資金を借りるかもわかりません。政府への説明が準備不十分で、政府はどこが本当の投資家なのか、どこか本当の責務者なのか、といったことが理解できませんでした。」
「長崎は政府と議論が出来ていません、なので情報開示をしていません。そのため、市場の間では、長崎は開業するまでに何かつまずきがあるのではないかと、ある種の不安を抱いています。」
政府への返答が遅れると悪影響になる可能性あり
美原教授の話の中で特に注目される点は、2022年4月に長崎が政府に提出したIRに関する整備計画の認証が遅れると、投資家にとって時間切れになる可能性があると語ったことでした。
「もし、出資について長崎県から返答がなければ、"政府はただ待ち続ける"と言うことになるでしょう。」と美原教授は語りました。
「返答には数か月かかることになるかもしてません。認証も得ることが出来る可能性もあります。長崎にとってはそれでよいでしょうが、もしこの状況が数か月続くことになれば、長崎のコンソーシアムは崩壊することになるかもしれません。
「これは政府が気にすることでもないですし、政府にとって賢い方法は、責任を持つ長崎県にボールを預ける事です。」
「長崎県のIR計画が認証されるかどうかはわかりませんが、この状況はしばらく続くことになると思います。」と美原教授は話しました。
また、美原教授は、日本にとって合法的なカジノ産業を実現するための、より広範なタイムラインの問題にも言及し、地方自治体がまず独自のプロセスを経てパートナーを選定し、最終的に中央政府の承認を得る「デュアルライセンス」制度が、「長い手続きと意図しない結果」、「誰もタイムラインを守ることに責任を持たない」状況を生み出していると指摘しました。
同様に、国民の賛同を得るのが難しいためカジノが政治的に扱われたこともあり、行政手続きを急がないという官僚の姿勢につながり、手続きを遅らせることになりましたと、美原教授は語りました。
まとめ
大阪IRは政府からの認証を得ましたが、長崎IRについては今だ政府による審査が続いている状況です。カジノ立法案推進を支援し、政府とのつながりも深い美原教授がG2Eアジアのパネルディスカッションで語った内容から、長崎IRは資金調達面について不安視され、政府への説明も不十分だったようです。長崎県のIR誘致はまだ続いていますが、政府への早期の返答が鍵となっているようです。
参考元:Inside Asian Gaming