オンラインカジノでの遊戯は、法律で認められた国や地域にて行いましょう。

日本IR、「フォックスウッズ、苫小牧IR入札を検討」を読んで
最終更新:

日本IR、「フォックスウッズ、苫小牧IR入札を検討」を読んで

【写真はFoxwoods Resort Casino HP
米国のコネチカット州のマシャンタケット・ピークォット・リザベーション(居留地)に拠点を置くフォックスウッズ・リゾート・カジノ(Foxwoods Resort Casino)は北海道苫小牧市と提携してIR構築を試みている6つの国際IRオペレータのうちの一社です。

フォックスウッズ

マシャンタケット・ピーコット部族国家は、連邦政府に認識されたコネチカット州にあるアメリカン・インディアンの部族です。
彼らが所有・運営しているフォックスウッズ・リゾート・カジノは、コネチカット州レッドヤード内の彼らの居留地にあります。2018年の時点では、フォックスウッズ・リゾート・カジノは、カジノ・フロアのサイズ、及びスロット・マシンの数で世界最大カジノの1つであり、それは2007年までは米国で最も経済的に成功しました。
2008年の6月末の会計上の数字でありますが、その12か月間で、6300台のスロットへ投入された額が、およそ1兆円以上だったそうです(パチンコ業界の数字の表記と同じ、投入された金額であり、収益ではない)。スロットのホールド(インとアウトの差)がざっくり考えても12%から8%位なので、ここで8%として、1兆円の8%で、つまり800億円の収益がスロットから上がっていることになるか。
言うまでもなく、たった1件のカジノの数字です。2012年には、スロットからの収益が、約50億円まで激落ちくんとなってます。

しかし、その著しい増築などのリゾートの拡大と今までほぼ独占状態に近かったニューイングランド地域の市場の変遷により、2012年までに多額の借金に追われるようになりました。この件については、MGMグループがカジノ以外でのビジネス参入を目指して、ホテルの新館を増築。結局、2社の関係は破局に向かってしまう。ニューヨークを中心としたメトロ・ニューヨークとニュージャージーの巨大な人口を持つ地域の住人たち、また、ボストンなどニューイングランド地方の住人も以前からアトランティック・シティへカジノやその他のエンタメの為に通っていたが、コネチカット州にこのファックスウッズとモヒガンサンが出来てから、その市場がコネチカット州の2つのカジノへも移行しました。その後、またペンシルベニア州に複数のカジノが解禁となり、その隣接する州でも、競馬場などにスロットを許可されたりで、競争が激化。オープン10年以上の間、ファックスウッズを所有経営しているマシャンタケット・ピーコット部族は、裕福な「カジノ経営からの儲け分散」を部族の数で頭割りしていて一人に年間1000万円相当あった分散金が、2012年にはほぼ0円になってしまいました。

マシャンタケット・ピーコット部族

この部族は、連邦政府マシャンタケットピーコット部族として1983年に再認識されたわけですが、1900年に行われた国勢調査では、この部族のメンバーは11人のみ。実証できる直系の子孫を探すためにバハマの島にまで足を運んで部族の血統があるものを連れてきたそうです。

マシャンタケットピーコットの人口は1990年の国勢調査で320人と記録されています。2000年の国勢調査では325人が居留地に住んでいると記録がある。2005年までに、部族のメンバーは、785人まで増加した。1996年には、1900年と1910年の米国の国勢調査に記載されている11人のマシャンタケットピーコットの祖先からの直系の子孫である部族メンバーの家族から生まれた子供を除いて、新規メンバー登録を閉じることにした。これも、カジノ収益の頭割りの為であると考えられます。現在は1080人程度が部族としてメンバー登録されています。

現在のカジノ・リゾートは、1993年にオープン。約84万平方メートルの面積があり、2棟のホテル・タワーのうち、1997年にオリジナルのタワーが建設完成し、2008年に2棟目のMGMグランドとしてのホテルがオープンしたが、訳あって2013年にはフォックス・タワーと名前を変更しました。2棟のホテルには合計2,266客室あります。カジノ・フロアには約250台のテーブルゲームと5,500台以上のスロットマシンが設置。隣接するタンガ―・アウトレットは85店舗入っています。

もともとは1980年代にはビンゴホールとしてスタートしましたが、マレーシア人のビジネスマンで、かの有名で巨大なゲンティング・ワールドのオーナーであった、リム・ゴートン氏(林梧桐)の金融補助の恩恵で立派なカジノとして再スタートできました。

フォックスウッズの日本IR

元はフォックスウッズの社長兼最高経営責任者のフェリックス・ラパポート氏(Felix Rappaport)が日本IRへの参入計画を先導していましたが、6月に急死してしまわれました。その方向性を失っていたが、コネチカット州では暫定社長兼最高経営責任者としてロドニー・バトラー会長(Rodney Butler)が就任しました。日本ではゲーミング・キャピタル・マネジメントの会長である丹治幹雄氏が自らの地域利益を扱い、経営判断の整理を行いました。

AGB Nipponに丹治氏と対談記事がありました。

苫小牧市でのフォックスウッズのプレゼンテーションを行ったのは丹治氏であったが、フォックスウッズの専属代理店になるか、あるいは非公式な顧問の位置が引き続き持続されるにせよ、フォックスウッズとゲーミング・キャピタル・マネジメントとの間の正確な契約関係は今だ未決定である。

いずれにせよ、丹治氏はフォックスウッズが近いうちに日本内に小規模な存在を確立させる可能性が高いと示唆している。
フォックスウッズは地域IRにのみ関心があり、特に苫小牧市はその中でも特に注目されている。

丹治氏は自然環境や地方の政治構造の両方を含めて「苫小牧は環境面でコネチカット州に非常に近い」と述べており、ゆえに苫小牧市が最適だと感じている模様。
丹治氏はまた地方の主要なリゾート地であるフォックスウッズはIRを地域経済の発展のための手段として認知し、より多様な社会の創造を誘発するという日本政府の考えと通ずるものがあると指摘。その反面、丹治氏は苫小牧市との一件が確実なものではないことも認めている。

来年春の選挙にて高橋はるみ氏が再選の道を選ばず、野党が知事としての役職あるいは北海道議会のどちらかを捉えることが出来た際には北海道が突如IR競争から脱落する可能性があると述べた。またIR実施法の詳細が明らかにされた際に政府が課すことが予想される特定の要件についても懸念を示した。

フォックスウッズは苫小牧市以外に長崎県関係者ともコミュニケーションを取ってはいるものの、フォックスウッズが既にコネチカット州で運営している種の事業にはあまり適していない模様。

現時点ではフォックスウッズは日本での今後の進展を見守っている状態であり、仮に興味をひかれるものが出てきたならば苫小牧市を第一に来年あたりに入札が行われる可能性がある。

苫小牧は環境面でコネチカット州に非常に近い?!

苫小牧とニューロンドンで環境が似ているとありますが、本当にそうなのでしょうか?街の南に海がある点では似ています。都会から1時間半程の距離にある点も同じです。コネチカット州はニューヨークよりも北にあるので、確かに寒いです。ですが、雪がそこまで多くはないです。年間の積雪量も平均で27インチ(67センチ)です。苫小牧は近年の平均で年間積雪量が約120センチ程であるようです。苫小牧の人口は17万5千人程度で、車で1時間30分程の札幌には200万人程の人口があります。
一方のフォックスウッズのあるニューロンドン周辺で、車で2時間以内の都市の人口を比べてみよう。
以前、松阪選手がレッドソックスでプレイしていたボストンには車で1時間30分強で行けるが、ボストンのメトロエリアは470万人いる。もっと近いハートフォードは120万人、ニューヘーブンには87万人、ブリッジポートには100万人、スタムフォードにも100万人あります。これらの合計がざっくりと計算して、約867万人。札幌近辺の4倍以上である。少し足を延ばして車で3時間30分、ニューヨーク・シティのメトロエリアまで行けば、2000万人です。3時間30分もかけて来るまで来るのか?といった意見もあるかと思います。


ですが、カジノから出ているシャトルバス(有料もあるがりべート付き)がニューヨークシティとの往復でじゃんじゃん稼働しています。飛行機で乗り込んでくる観光客としても、苫小牧近辺にいくつの国際空港があるだろうか?上記のフォックスウッズ近辺の車で2時間以内には少なくとも5個の国際空港があります。この地域にカジノが2件しかなかったわけです。これでも「同じような環境」と言うのは、少々難があるかと感じますが。

このフォックスウッズを経営しているマシャンタケット・ピークォット部族は、自治権のあるひとつの「国」となっています。役所もあれば、警察、消防、学校もすべて部族が直接運営しています。他のアメリカ先住民カジノと同様、カジノ関係の法律や規定も全て部族ごとに委員会があり、部族から選出された者が委員会を運営している。そのカジノで使用されるスロットマシンでさえも、その部族のカジノ委員会の標準検査を合格しないと設置できない仕組みであります。一般の商業カジノのそれに極似していますが、別の認識となっています。スロットマシンの検査機関で民間会社であるGaming Laboratory International(略してGLIと呼ばれる)が各州ごとの自治体から委託されて機械を調べていますが、先住民のカジノはそのカジノ独特の標準的基準を設けて、GLIで検査をしています。私の会社がカジノへ販売しようとしていたゲーム機器もマシャンタケット・ピークォット仕様の標準検査に合格したものであったのを覚えています。まさしく、フォックスウッズ専用機として監査を受けたと言う訳です。



上記の↑ウェブサイトをご覧になってもわかるように、フォックスウッズもMICEに力を入れているのがわかる。アメリカ合衆国でのエクスポやコンベンションのサイズは半端ではない。大会社の全国大会ともなると、何千人単位で一か所に集結します。世界大会ともなると4~5千人単位です。
以前働いていたラスベガスのカジノ・ホテルでも、ネットでのウィルス対策の大企業であるシマンテック社が世界大会を開催しました。全部で4000室以上あったがその殆どをシマンテック社の従業員が占領していていました。スイートルームもペントハウスもそうです。レストランもどこへ行っても満員御礼。ナイトクラブも貸し切りでプライベートのパーティを催していました。聞くところによると、5億円相当を部屋代以外で使うという約束があったそうです。

このような規模のMICEを日本のIRで実現できるかどうかは、誰の手腕にかかっているのか疑問です?

ここでご紹介している内容は作品の副次的な視点提供を目的として引用しています。
著作権は作者及び出版社に帰属しています。

関連タグ