
シンガポールIRの大幅な成長をアナリストが予想
リゾート・ワールド・セントーサがコロナ禍から大きく回復する
シンガポールには、リゾート・ワールド・セントーサとマリナーズ・ベイといった2つの統合型リゾートがあり、大阪IRは、大きな成功を収めているこのシンガポールのIRをモデルにしています。
野村証券によると、大阪IRがモデルとしているIRの一つである、ゲンティン・シンガポールが運営するリゾート・ワールド・セントーサが、2023年通年で3つのゲーミング・セグメントすべてで前年比プラス成長が見込まれます。アナリストのAnalysts Tushar Mohata氏とAlpa Aggarwal氏は、ローリングチップ(VIP客のベット専用チップ)の額が51パーセント増加、大衆向けテーブルで賭けられた額が30パーセント増加、スロットマシンで賭けられた金額が21パーセント増加すると予想しています。
この見通しは、中国からの観光客が徐々に改善していることが根拠になっています。野村證券によると、中国本土からシンガポールに訪れた旅行客の数が、コロナ禍前の2019年7月の81パーセント、8月の76パーセントとなりました。これはシンガポール政府観光局のデータと野村證券の調査に基づいています。
アナリストは、9月にシンガポールに訪れた観光客の総数は、わずか2019年平均の50パーセントだったが、これは他の地域も同じことだと指摘しています。アナリストは、中国からシンガポールに訪れる観光客の数は、第4四半期に増加するだろうと予測しています。
アナリストは、リゾート・ワールド・セントーサのライバルであるマリーナ・ベイ・サンズEBITDAが前四半期比13.7パーセント増の4億9,100万ドル(約537億2,570万円)に達したと指摘しました。純利益は前四半期比9.7パーセント増加の10億2,000万ドル(約1,116億円)となりました。
ゲンティン・シンガポール、2024年までに10億ドルのキャッシュフローを生み出す見込み
アメリカの格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス社は、ゲンティン・シンガポールが2024年12月まで14億シンガポールドル(約1,533億4,000万円)のキャッシュフローを生み出すと予想しています。ムーディーズは、このキャッシュフローはゲンティン・シンガポール社の現金残高と相まって、およそ10億シンガポールドル(約1,095億2,900万円)の資本支出、およそ6億シンガポールドル(約657億1,740万円)の予想配当支払い、最小限の債務返済をカバーすると指摘しています。
アナリストによると、6月30日現在、ゲンティン・シンガポールは強力なネット・キャッシュ(企業が保有する現金や預金)を持っており、約34億シンガポールドル(約3,724億円)の現金残高に対し、リース負債はわずか300万シンガポールドル(約3億2,858万円)と述べています。ゲンティン・シンガポールの発行体格付けがA3であるのは、リゾート・ワールド・セントーサを運営するリゾート・ワールド・アット・セントーサの100%所有権を反映したもので、ゲンティン・シンガポールは同リゾートのキャッシュフローへの完全なアクセスを維持する見込みです。
上半期、ゲンティン・シンガポールは2億7,670万シンガポールドル(約303億円)の純利益を計上しました。ゲーミング売り上げは前年比57パーセント増の7億4690万シンガポールドル(約818億円)、ノンゲーミング売上は82パーセント増の3億3320万シンガポールドル(約365億円)となりました。ゲンティン・シンガポールの連結売上高は63パーセント増の10億8,000万シンガポールドル(約1,182億3,400万円)となりました。
まとめ
シンガポールのIRもコロナ禍の影響を受けていましたが、7月8月頃から回復している傾向にあるようです。中国人観光客が戻ってきていることが、大きな要因となっており、中国政府の方針がIR産業に影響を与えることがわかります。
参考元:Focus Gaming News