
シンガポール副首相、IRの効果と日本カジノへの協力を語る
シンガポール副首相が日本のIR産業についてコメント
シンガポールのローレンス・ウォン(Lawrence Wong)副首相は、2010年に開業した2つの統合型リゾートが、シンガポールを国際的な観光地として認知させるとともに、大きな経済効果をもたらしたと称賛しました。
また、ウォン副首相は、日本の統合型リゾートとカジノ産業の開発を約束し、2つの地域がお互いの経験から学ぶことが出来ることを示唆しました。
このウォン副首相のコメントは、5月26日に行われた日経フォーラム「第28回 アジアの未来:アジアの力を活かして世界の課題に挑む」のQ&Aセッションでのもので、ウォン副首相は、アジアにおける政治的な脅威と課題、ASEAN諸国間のさらなる協力の可能性、経済的繁栄を確保することの重要性について議論しました。
先月、大阪とパートナーであるMGMリゾートとオリックスが大阪での100億ドルともいわれる統合型リゾート開発が、日本政府より認証され、日本のカジノ開発についてアドバイスできることがあるかという質問に対し、ウォン副首相は、「我々がシンガポールのカジノを統合型リゾートと呼ぶのは、それがカジノのみの施設では決してないからです。それは何か特別な場所で、何か他とは違う、カジノがなければ様々なサービスを提供できない、統合型リゾートなのです、その結果、シンガポール国内で多くの雇用を生み出しました。そして、我々は統合型リゾートから生み出された配当を収めています。」
「我々はマリーナベイ・サンズとリゾート・ワールド・セントーサという二つの統合型リゾートを作りました。我々は、この2つのリゾート施設から経済的な利益て、雇用を生み出し、ポジティブな結果を得ることが出来ました。そして、シンガポールをワールドクラスのエンターテイメントやライフスタイルを提供することが出来る場所として、シンガポールを世界地図に乗せることが出来たのです。つまり、統合型リゾートはポジティブな影響を与えました。」と統合型リゾートがシンガポールに与えた影響をポジティブに語りました。
ギャンブル依存症対策に成功したシンガポール
また、依存症などギャンブルが引き起こす問題について、ウォン副首相はそういった問題が起こる可能性は常にあるが、いくつかのセーフガードを設けていると語りました。
「我々は規制当局を設置し、カジノが依存症やギャンブル問題の原因にならないための対策を設けています。そして、今に至るまでその効果が出ています。」と語りました。
シンガポールでは政府が主導しのギャンブル依存症対策の専門機関を設置し、カジノ規制庁の設立、オンラインでの相談窓口の設立、啓蒙活動、ギャンブル関連の広告の制限など、カジノ導入時にギャンブル依存対策を強化しています。そしてカジノ導入・規制プログラムを導入、自国民に対し1日100シンガポールドル(約10,000円)、年間2,000シンガポールドル(約200,000円)の入場料を徴収し、更にカジノへの入場禁止措置や入場回数制限が、本人か家族からの申請が出来るようになっています。このような対策を取り、IR導入後、シンガポールではギャンブル依存症患者が減少しました。
「我々は日本、大阪で新たな試みが起きることを知っています。そして我々は、互いの経験から学び続け、情報を交換できるようになれば幸いです。」とウィン副首相は語ります。
大阪のIRが認証された今、業界では、カジノ・オーストリアによる第二の開発として、長崎IRの開発が政府から認証されるのを待ち望んでいます。
その間シンガポールでは、国内のIR産業拡大の最中で、マリーナベイ・サンズとリゾート・ワールド・セントーサの拡張プロジェクトの初期段階で、その計画に33億ドルの資金が費やされています。
まとめ
10年前に2つのIRがオープンしたシンガポールでは、IRの経済的な効果は大きく、そしてギャンブル依存症対策もうまくいっています。大阪IRについても、期待している経済効果があるか、ギャンブル依存症の対策は出来るのか、ということについて議論されていますが、シンガポールのような成功例もあることは、日本のIR導入にとって希望となるかもしれません。
参考元:Inside Asian Gaming