和歌山カジノ構想

和歌山カジノ構想

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プロジェクトチーム研究レポート 統合型リゾート (IR)。熊野古道や高野山、小説「枯木灘」の舞台としても有名な和歌山県。その和歌山がカジノ誘致で急先鋒となっています!IR推進法案が通った今、熱い誘致合戦が全国的に行われています。和歌山は東京・お台場や横浜、大阪などに引けを取らない候補地となっています!そんな和歌山のIR誘致に関してご紹介いたします!

和歌山県では、平成14年5月からIRについての議論が行われています。

  • 平成14年5月 : 「和歌山県型経済特区の創設について」(平成15年度国の施策並びに予算に関する提案)の中で、レジャー特区の創設を提案

(和歌山県HPより)

かなり古くからIRについて研究・議論を行ってきました。そして今年5月に候補地を和歌山市南部の人工島「和歌山マリーナシティ」に一本化することを表明しました。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を掲げる和歌山県の仁坂吉伸知事は9日の定例会見で、誘致の候補地を和歌山市南部の人工島「和歌山マリーナシティ」に一本化すると表明した。関西国際空港からの交通アクセスの良さが決め手になったという。

 マリーナシティは平成6年に開催された世界リゾート博の会場で、現在は欧州の風景を模したテーマパークなどが設置されている。

 県はこれまで、候補地にマリーナシティのほか、関空建設時の土砂採取場跡地「コスモパーク加太(かだ)」や同県白浜町も検討してきた。しかし、海外のIR事業者と折衝する中で、マリーナシティを評価する声が高かったため、今後はマリーナシティに絞って誘致活動を推進することを決めた。

 仁坂知事は「マリーナシティは関空に近い、有数のリゾートだということをアピールしたい」と話した。
(産経WEST2017.5.9 より http://www.sankei.com/west/news/170509/wst1705090029-n1.html

1. 統合型リゾート(IR)概要

2016年12月15日に「カジノ法案」正式には「IR推進法案」が衆院本会議で自民党や日本維新の会などの賛成多数で可決され成立しました。法案成立後、約1年以内、2017年12月までに依存症対策などの具体的な制度設計を盛り込んだ「IR実施法案」が国会に提出される予定です。「推進法案」は、あくまで「実施法案」のアウトラインで、具体案は実施法案に盛り込まれます。
2017/8/16 現在、IR実施法案の提出&成立、そして、建設候補地の調整や施設のIR建設に向けて動いています。

名称の確認

  • カジノ法案 = IR推進法案
    2016年12月に衆院本会議で成立
  • IR実施法案
    2017年12月までに国会への提出を予定
  • IR推進法案
    (正式名称:特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(平成28年法律第115号))
  • IR推進本部
    (正式名称:特定複合観光施設区域整備推進本部)
  • IR推進会議
    (正式名称:特定複合観光施設区域整備推進会議)
※MICE(マイス)は造語
M は Meeting(会議・研修)、
I は Incentive(招待旅行)、
C は Conference(国際会議・学術会議)、
E は Exhibition(展示会)または Event、
これら4つの頭文字を合わせた言葉です。

このIRの基本情報を踏まえた上で和歌山市の掲げる「プロジェクトチーム研究レポート 統合型リゾート (IR)」を見ていきましょう。

和歌山市の立地と候補地

先ほどみたように和歌山県ではIRの候補地を「和歌山マリーナシティ」に一本化することが発表されました。
まずは和歌山の立地と候補地をみてみましょう。


(プロジェクトチーム研究レポート 統合型リゾート (IR)より転載)

和歌山マリーナシティは、関西国際空港まで約45分、大阪市内までも約70分圏内にあり、交通の便がいいですね!外国からのお客さんを呼びことが大切になってくるので、空港や市街地に近いという事は大きな利点となるでしょう!

和歌山マリーナシティ

和歌山マリーナシティは、アミューズメントパーク、リゾートホテル、温泉、フィッシャーマンズワーフ、ヨットハーバーなどが揃う人工島です。
また、日本で唯一、セーリング競技のナショナルトレーニングセンターを擁し、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた選手・スタッフ育成の場として利用されているほか、セーリング世界選手権大会の開催地にも選定されています。
アクセス面では、関西国際空港から車で約45分と利便性が非常に高く、空港から高速船の就航も可能となっています。
(和歌山県IR誘致パンフレット(日本語)より転載)

竣工1994年(全域整地造成済)
敷地面積約40ha
活用部分 15ha
拡張可能部分 11ha
ヨットハーバースペック契約バース 最大80ftの船舶まで停泊可
ビジターバース 最大130ftの船舶まで停泊可
交通アクセス関西国際空港から車で約45分
大阪市内から車で約70分(海南ICから約10分)
最寄駅(JR海南駅)から車で約10分

土地の確保や交通の利便性など「和歌山マリーナシティ」が候補になってことも納得できる内容ですね!

和歌山県IR誘致パンフレット(日本語)によると、上図人工島の赤い部分を活用するようです。
また、移動手段として関西国際空港から高速船の就航も検討されているようです。


(プロジェクトチーム研究レポート 統合型リゾート (IR)より転載)

やはり移動・交通手段の確保はとても大切な事項となってきます。車での移動経路だけでなく高速船を通すことによって、さらに利便性が高まりますね!

海外のIR事例としてマリーナ・ベイ・サンズ【MARINA BAY SANDS】とリゾート・ワールド・セントーサ【Resorts World Sentosa】が挙げられています。冒頭で見たMICEを基準として分析がなされています。マリーナ・ベイ・サンズはMとI、リゾート・ワールド・セントーサはCとEがより充実しているようです。レジャー客やファミリー層をターゲットにするか、見本市などビジネス層をターゲットにするかで大きな違いが出てくるようです。

リゾート・ワールド・セントーサ【Resorts World Sentosa】

敷地面積約49ha
主な施設○ ホテル(約1,500室)
○ カジノ
○ ユニバーサル・スタジオ
○ 水族館
○ ショッピングモール
○ 劇場
直接雇用約13,000人
カジノ売上約17億ドル
・アミューズメント施設等が充実したリゾート型のIR
・MICEはM(企業ミーティング等)I(企業研修等)の機能が充実
・ユニバーサル・スタジオ・シンガポール(東南アジア初)や世界最大級の水族館を有しており、
ファミリー客やレジャー客をメインターゲットにしている

マリーナ・ベイ・サンズ【MARINA BAY SANDS】

敷地面積約15ha
主な施設○ ホテル(約2,600室)
○ カジノ
○ 会議場・展示場(約120,000㎡)
○ ショッピングモール
○ 劇場(2施設 約4,000人収容)
○ 屋上プール
直接雇用約9,000人
カジノ売上約24億ドル
・MICE、特にC(コンベンション)E(展示会、見本市)の機能が充実したIR
・リゾートだけではなく、国際会議や展示会などを開催できるMICE機能を充実させることで、
平日の集客も図っている

上記2つのIRはシンガポールにあります。そのシンガポールの観光客推移を見てみると、2カ所のIRがオープンしてから約1.5倍(600万人増加)したようです。もともと観光地として有名なシンガポールで1.5倍の増加がありました。

和歌山市の観光客推移

  • 1 IR運営に伴う経済効果=IR開業後に毎年発生する経済効果
  • 2 IR建設に伴う経済効果=IR建設や周辺のホテル開発等に伴う一時的な経済効果

観光客の推移として持続する効果と一時的な効果の2つに分けて検討されています。


(プロジェクトチーム研究レポート 統合型リゾート (IR)より転載)

  • 外国人=約18倍
  • 日本人=約1.4倍

と試算されています。
まだ細かい数字までの検討がなされていないと思いますが、国内外問わず観光客が増えることはいいことですね!

3. 経済効果

観光消費は、ホテル運営等にかかる経費の支出増加により、市内の事業者への売上として波及し、
さらに給与支出を通じて従業員や家族の消費に波及する

「プロジェクトチーム研究レポート 統合型リゾート (IR)」では、上記内容を元に経済効果を検討しています。

生産誘発効果 (ホテルの例)を1次波及効果と2次波及効果に分けています。

1次波及効果
ホテル運営にかかる経費による波及効果

  • 食材・飲料
  • アメニティグッズ
  • クリーニング
  • 電気・ガス
  • 通信費 など

2次波及効果
雇用者所得の増加による波及効果

  • 食費
  • 家賃
  • 衣服
  • 電気・ガス
  • 旅行・娯楽 など

総合型リゾート(IR)が完成し運営することにより、観光客の消費だけでなく、IRを支える従業員やその家族、周辺住民などの消費も効果的に上がっていくと試算されています。

来場者と経済・雇用効果の関係

  • 和歌山県産業連関表によるIR来場者数と市全体の観光消費の拡大による経済効果、雇用効果の関係は以下のとおり想定される
  • これに加え、IR建設や周辺のホテル開発等に伴う一時的な経済効果が考えられる


(プロジェクトチーム研究レポート 統合型リゾート (IR)より転載)

上記のように想定されています。
まだ細かい数字の算出などは行われていないようですが、和歌山県の経済にとても有効な手段となりうるでしょう。

4. まとめ

和歌山県のカジノ構想をみてきました。
和歌山マリーナシティやコスモパーク加太だけでなく、別の候補地もしっかりと検討されていました。どの地域もIRを誘致することによって、地元の経済を活性化できるといいですね!お台場や横浜にくらべてやや研究がなされていない感じはありましたが、候補地の急先鋒としてぜひ積極的に議論・検討してもらいたいと思います!

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