千葉・幕張新都心とカジノ構想

千葉・幕張新都心とカジノ構想

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幕張新都心におけるIR(統合型リゾート)導入可能性調査。統合型リゾート整備推進法(カジノ法)が成立し、いよいよ日本のカジノも現実味を帯びてきました。それに伴い日本各地で誘致合戦が繰り広げられる中、千葉県でもIRを誘致しようとする動きがでてきています。最初に手を挙げた千葉市をはじめ、成田国際空港を擁する成田市なども誘致に積極的といわれています。今回はそんな千葉県千葉市のIR導入可能性調査報告書をもとに千葉のIR事情をご紹介します!

今年度、市では幕張新都心の今後更なる活性化に向け、幕張新都心のアーバンリゾートとしての魅力を高め、多様な楽しみを提供する一つの手法として、幕張新都心におけるIR導入の可能性について調査を実施しました。
調査の結果を市民の皆様へ報告するため開催した、市民報告会の結果について、お知らせします。
(千葉市役所HPより)

1. 幕張新都心基本情報

千葉市では去る7月18日に千葉県経営者協会「幕張新都心でのIR実現へ向けて~地域主導の事業化とコンソーシアム組成~」が開催され、IR実現に向けて地道に着実に議論を深めています。そんな千葉市では幕張新都心にIRを実現しようという動きが以前からありました。
幕張新都心は「「職」、「住」、「学」、「遊」の複合機能の集積した未来型の業務都市実現を標榜」を基本コンセプトとしています。確かに幕張メッセだけでなく大きな会場施設が立ち並ぶ幕張新都心は未来型の業務都市として機能していますね。商業施設や学校、イベント会場や住宅地区まで広大な地域となっています。
さらに東京都心にも成田空港にも30分圏内という立地のよさもあり、IR誘致に積極的な地域です。

また、千葉市は平成27年6月30日付で観光庁が公募したグローバルMICE強化都市に選定されました。

※MICE(マイス)は造語
M は Meeting(会議・研修)、
I は Incentive(招待旅行)、
C は Conference(国際会議・学術会議)、
E は Exhibition(展示会)または Event、
これら4つの頭文字を合わせた言葉です。

「グローバルMICE強化都市」とは
観光庁が平成25年度から始めた制度であり、我が国のMICE誘致競争力をグローバルレベルに引き上げ、さらにはその上を目指す都市を育成することを目的として、誘致ポテンシャルが高く、かつ取組能力や意欲が特に高い都市を選定し支援するもの

ここで千葉県千葉市のIR導入可能性調査報告書をもとに幕張新都心をご紹介します。

計画フレーム

総面積522.2ha
就業人口約150,000人
居住人口約 36,000人

現状

就業者約59,000人
居住者約24,000人
就学者約11,000人
1日当たり来街者約163,000人
年間来街者数約2,830万人(2014年4月)

出典:IR導入可能性調査報告書

計画フレームをみるだけでもその大きさがうかがえます!東京ドーム約100個分!!スケールが違いますね。この幕張新都心に桁違いのIRが実現されるといいですね!

幕張新都心土地利用計画

出典:IR導入可能性調査報告書

幕張新都心は大きく7つの地区に分けることができます。

  • 若葉住宅地区
  • 文教地区
  • タウンセンター地区
  • 業務研究地区
  • 住宅地区(幕張ベイタウン)
  • 公園緑地地区
  • 拡大地区

それぞれの地区に学校や商業施設、会社や住宅、さらに公園や球場まで立ち並ぶ魅力的な地域となっています。

幕張新都心のどこにできるの?

それではIRは幕張新都心のどこに誘致される計画となっているのでしょうか。これほど広大な面積でも好き勝手に設定することはできません。「IR導入可能性調査報告書」によると2つの計画が挙げられています。

  • 既存施設活用型(ヨーロッパ型)
  • 新規開発型(シンガポール型)

つまり、すでに整備・利用されている建物や敷地を利用してIRを導入する計画(スイスのグランド・カジノ・ベルンをイメージ)と、シンガポール型と名付けた、新規に開発をする計画(シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズをイメージ)の2つがあるようです。
そのスイスのグランド・カジノ・ベルンとシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズを少し見てみましょう。

グランド・カジノ・ベルン【Grand Casino Bern】

立地特性世界遺産都市ベルンにおける、観光客と市民の夜の社交場を演出するエリア
運営主体スイス・カジノ・ホールディングス(ゲーミング事業会社)
施設構成<カジノ>
フロア面積:2,364㎡
入場者数:約29万人(2012年)(うち外国人約10万人)
投資額:32.5億円(内装のみ)
従業員:173名(2012年度末)
<ホテル>
4つ星ホテル「ホテル・アレグロ」を併設
客室数171室、レストラン3、バー1で構成
最大1,500名収容の会議場

マリーナ・ベイ・サンズ【MARINA BAY SANDS】

立地特性インバウンドの大幅増のため、世界規模のカジノにコンベンション施設、大型高級ホテル等を加えた新・集客エリア
運営主体マリーナ・ベイ・サンズ(米国ラスベガス・サンズの現地法人)
施設構成<カジノ>
フロア面積:15,000㎡
4フロア、敷地面積の3%以下
<ホテル>
客室数:2,561室、5つ星の最高級ホテル
地上57階、高層ビルを見下ろせる世界有数の屋上プール
<MICE>
多目的展示場・会議施設等を兼ね備えた5層の大型施設
<ショッピングモール>
・延床面積74,000㎡、高級ブティック中心、300店以上(うちレストラン
約45店)
<シアター>
2,000席
<ミュージアム>
延床面積6,000㎡

どちらも非常に有名なカジノですね!
上記2つのカジノをベースにした計画となっています。
それではそれぞれの候補地をみてみましょう。

既存施設活用型(ヨーロッパ型)

コンセプト幕張メッセ、ホテル、商業施設等の既存施設を活用し、大人・夜のエンターテインメントとしてのカジノを新設することで、これまでの幕張新都心に無い魅力づけを行い、集客力向上を図る
施設構想3,000㎡規模のカジノ及び200室程度の客室を有する高級ホテルを新設
延床面積31,000㎡
条件用地(0.5ha以上)の確保
立地可能性のある土地東京ガス隣接地(1.1ha)
※既存施設のリニューアル等による導入可能性あり

現状は上記図のように東京ガス隣接地が候補になっているようです。
幕張メッセにとても近接しています。幕張駅からのアクセスもよいですね!
既存の施設を利用することでコストが大幅に抑えることができるでしょう。

新規開発型(シンガポール型)

コンセプト幕張新都心の集客力を飛躍的に向上させるために、大型で最新機能を有するコンベンション施設、大型高級ホテルに加えて、エンターテインメント性向上を狙いとする大型カジノ、高級ショッピングモール、劇場等を新設する
施設構想カジノ(15,000㎡)
大型高級ホテル(2,500室)
展示場(100,000㎡)、
会議場(20,000㎡)
高級ショッピングモール(74,000㎡)
劇場(2,000名)
延床面積572,300㎡
条件用地(15ha以上)の確保
立地可能性のある土地①幕張メッセ駐車場(16.6ha)
②幕張海浜公園(DEブロックおよびFブロック:42ha)

一方、シンガポール型は新たに用地を設定し開発する計画なので、確保すべき用地が広大になっています。この計画のように広大な土地を確保できれば、カジノだけにとどまらないIRができるのではないでしょうか!ホテルやコンベンション施設、大型カジノ、楽しみが増えますね!

3. 経済効果

  • 既存施設活用型=計1,568億円
  • 新規開発型=計4,793億円
効果項目既存施設活用型新規開発型
開業前開業後開業前開業後
経済波及効果(億円)861,2621,4103,021
直接効果(61)(948)(1,002)(2,255)
一次効果(16)(191)(257)(463)
二次効果(9)(124)(151)(303)
効果項目既存施設活用型新規開発型
開業前開業後開業前開業後
税収効果(億円)02201361
カジノ関連-(212)-(313)
納付金-58-90
入場料-154-223
雇用効果(人)43710,5957,23824,620

※経済効果試算結果内訳(開業前:2020年竣工時点/開業後:2021年時点)
※経済波及効果と雇用効果は、千葉市産業連関表(平成17年)を基に試算

上記のように経済効果が試算されています。

4. まとめ

千葉市、幕張新都心への誘致計画はまだ始まったばかりです。今回ご紹介した「幕張新都心におけるIR(統合型リゾート) 導入可能性調査」だけでなく、最近では、千葉メガフロート構想という計画も検討されています。メガフロート構想とは、幕張新都心の海上に人工浮島(メガフロート)を構築し、そこにIR施設を建設するという計画です!これは実現すればとても面白いですね。新たに用地を確保することは金額的にも負担が大きくなりますが、この案だと負担も抑えることができるとのことです。

また、千葉県では成田国際空港がある成田市も誘致に積極的です。

幕張になるのか!?成田市になるのか。幅広い議論を重ねたうえで、日本初のカジノが誕生することを楽しみにしています!

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