カジノ法案最新情報2017!カジノは何時何処に誕生するのか?
いよいよ本格的に始動した日本のカジノ法案(正式にはIR推進法案:IR は Integrated Resort 総合型リゾートの略称)。2017/08/16 現在、政府によってリアルタイムで実施法案が練られています。日本の人口は96年ぶりの減少となりました。そんな中、訪日外国人を増やして観光産業を成長させるのは国策として推進されています。その中核の1つを担うのが IR = 総合型リゾートとなります。
2017年版科学技術白書によると、世界的に影響力のある論文のシェアが、この10年で世界4位から10位に低下したとされています。IT や 科学 など、他の産業がおされつつある今、総合型リゾートを日本の観光産業としてどのように発展させられるのでしょうか!?
1. カジノ法案(IR推進法案)について
カジノ法案(IR推進法案)について
2016年12月15日に「カジノ法案」正式には「IR推進法案」が衆院本会議で自民党や日本維新の会などの賛成多数で可決され成立しました。法案成立後、約1年以内、2017年12月までに依存症対策などの具体的な制度設計を盛り込んだ「IR実施法案」が国会に提出される予定です。「推進法案」は、あくまで「実施法案」のアウトラインで、具体案は実施法案に盛り込まれます。
2017/8/16 現在、IR実施法案の提出&成立、そして、建設候補地の調整や施設のIR建設に向けて動いています。
名称の確認をしましょう。
- カジノ法案 = IR推進法案
2016年12月に衆院本会議で成立 - IR実施法案
2017年12月までに国会への提出を予定 - IR推進法案
(正式名称:特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(平成28年法律第115号)) - IR推進本部
(正式名称:特定複合観光施設区域整備推進本部) - IR推進会議
(正式名称:特定複合観光施設区域整備推進会議)
IRって何?
IRとは「Integrated Resorts:総合型リゾート」の略称です。これは、カジノ・映画・劇場・アミューズメント、ミュージアムなどの娯楽施設、国際会議や学術会議などのMICE(マイス)施設、ショッピングモールなどの商業施設、ホテルなどの宿泊施設、レストランなどの飲食施設、スポーツ施設など、様々な施設・設備が集約された総合型の複合観光施設のことです。
M は Meeting(会議・研修)、
I は Incentive(招待旅行)、
C は Conference(国際会議・学術会議)、
E は Exhibition(展示会)または Event、
これら4つの頭文字を合わせた言葉です。
2. カジノ法案(IR推進法案)の最新情報はどうなってる?
IR実施法案 の最新動向は、IR推進本部の下に開催されているIR推進会議の議事録の内容を確認するのが良いでしょう。
2017/8/15までに合計10回開催され、IR実施法案 の内容について議論されています。各会議でどのようなことが議論されたのかご紹介します。
IR推進本部の設置
IR法案の具体的な制度設計構築と実施に向けて、IR推進法案 第14条の規定に基づき、特定複合観光施設区域の整備の推進を総合的かつ集中的に行うため、2017年3月24日、内閣に、総理を本部長とし、全国務大臣を構成員とする「IR推進本部 = 特定複合観光施設区域整備推進本部」が設置されました。
・公式ページ:IR推進本部
IR推進会議の開催
IR推進法案 第21条の規定に基づき、IR推進本部の下、特定複合観光施設区域の整備の推進のために講ぜられる施策に係る重要事項について調査審議するため、「IR推進会議 = 特定複合観光施設区域整備推進会議」を開催されています。
・公式ページ:IR推進会議
IR推進会議で最新の動向を読み取れ!
IR推進本部事務局、IR推進会議
2017年4月6日 IR推進会議(第1回)
日本型IRのあるべき姿について、ザックリした方向性の意見交換や議論がなされました。
- 日本型のIRを構築を目指す。これは、家族連れで楽しめるエンターテインメント施設や、国際会議場・展示場等と一体的に運営し、日本の伝統・文化・芸術を生かしたコンテンツを導入するなどで差別化を図るものとする。
- IRを訪れる旅行客が全国各地を訪問できるようにし、全国で経済効果をもたらし、地域振興に貢献するものとする。
- シンガポールのような大規模な民間投資が行われ、大きな経済効果・雇用創出効果をもたらすものとする。
- クリーンなカジノを実現するため、世界最高水準のカジノ規制を導入する。
- 様々な懸念事項への対策も必要で制度上の措置の検討し、依存症やマネー・ローンダリング、青少年への影響等、万全の対策を講じる。
2017年5月10日 IR推進会議(第2回)
日本型IRのあるべき姿を整理。事務局が制度設計の重要論点に案を提示しました。
- 「日本型IR」について、観光先進国の実現の観点から、関係省庁より説明を聴取した上で意見交換を行う。
- 特定複合観光施設の制度に関する論点を2つのテーマに分けて、意見交換・議論を行う
-IR制度の根本にかかわる諸原則について
-カジノ規制について - 「特定複合観光施設」を一体として構成すべき中核施設の種類・要件についての意見交換を行う。
- 設置・運営の一体性の原則について
- 特定複合観光施設と区域との対応関係について
2017年5月31日 IR推進会議(第3回)
カジノ規制制度の基本的な考え方についての議論です。
- 諸外国における背面調査の実態等について事業者からヒアリングを行い、カジノ規制制度の基本的な考え方についての議論を行う。
-カジノ事業の参入規制について
-IR事業運営形態について
-株主の規制について
-カジノ関連機器等製造業等の参入規制について
2017年6月13日 IR推進会議(第4回)
カジノ施設、機器の規制、事業活動の規制についての議論です。
- カジノ施設・機器の規制
-カジノ施設の数・規模、カジノ施設の構造・設備に関する規制
-カジノ関連機器等の基準、型式検定、指定試験機関に関する規制に - カジノ事業活動の規制について
-カジノ行為(ゲーミング)に関する規制について
-金融業務の規制について
-カジノ施設内関連業務の制限について
-内部管理体制の整備義務について
-約款の認可について
-業務委託の制限について
-従業者の確認・届出について
2017年6月20日 IR推進会議(第5回)
カジノの懸念事項への対応(依存防止対策、マネーロンダリング対策、反社会勢力排除、青少年保護)についての議論です。
- 懸念への対応について
- 依存防止対策について
- 青少年の健全育成について
- マネー・ローンダリング対策等について
2017年7月4日 IR推進会議(第6回)
カジノ管理委員会の在り方、財政への貢献(カジノ税・納付金)についての議論です。
- カジノ事業者に係る公租公課等について
- カジノを含むIR事業・カジノ事業の監督等について
- カジノ管理委員会について
2017年7月11日 IR推進会議(第7回)
積み残し課題の整理についての議論です。
- IR事業の監督・IR区域整備等について
- その他の諸論点について
- IR事業の事業形態の類型について
- いわゆる「ジャンケット」について
2017年7月25日 IR推進会議(第8回)
刑法における違法性阻却の要件など、についての議論です。
- 公共政策としてのIRについて
- 全体レビューについて
- 刑法の賭博に関する法制との整合性について
2017年7月25日 IR推進会議(第9回)
IR実施法案の素案についての議論です。
- 取りまとめ素案について、委員間で自由な意見交換を行った。
2017年7月31日 IR推進会議(第10回)
「取りまとめ(案)~観光先進国の実現に向けて」
- 「特定複合観光施設区域整備推進会議 取りまとめ(案)~観光先進国の実現に向けて」を提示。IR推進会議は了承した。
今後
- IR推進本部事務局「取りまとめ(案)~観光先進国の実現に向けて」を安倍首相に提出
- 8月 IR推進本部 が IR実施法案 の大枠をまとめ、国民的議論を喚起(パブリックコメントなど)
- 秋の臨時国会 IR実施法案 が国会に提出へ
誰が利用できるの?
基本的には訪日外国人がメインの顧客になる予定です。総合型リゾート施設は観光産業の中核的存在にするのが目標となっています。インバウンド消費を喚起させることで、観光客1人あたりの支出額を上げたいという思惑もあります。なぜなら、今の日本の「観光客1人あたり支出額」は、世界で第46位です。中国の第13位、タイの第26位、アメリカの第6位、インドの第7位、と思ったより大分低い位置です。
また、日本は高級ホテルの少なさも指摘されています。「観光客1人あたり支出額」を上昇させるには富裕層を誘致できる高級ホテルは欠かせません。「Five Star Alliance」という「5つ星ホテル」紹介のウェブサイトによると、全世界139カ国に3236軒の「5つ星ホテル」があり、タイ110軒、メキシコ93軒、バリ島42軒、日本はというと28軒です。
また、高級旅館は利益率で海外の高級ホテルに及びません。(海外の高級ホテルは営業利益率2桁と10%以上、日本の高級旅館は5%程度と1桁)
そこで、カジノ法案を実施して、IR=総合型リゾートの開発が期待されています。
入場規制で日本人も利用可能
利用客の主体は訪日外国人であることには変わりませんが、日本人や国内居住の外国人が利用できないかというとそうではありません。ただ、入場規制が設けられるようです。
IR推進会議第1回(2017年4月6日)の議論で日本人の入場規制についてある程度意見が出ています。
- 【「自己排除、家族排除プログラムの導入、入場料の徴収等、諸外国におけるカジノ入場規制の在り方やその実効性等を十分考慮」し、「清廉なカジノ運営に資する法制上の措置を講ずること」】
- 【入場規制に当たっての、いわゆる「個人番号カード」の活用を検討する】
- 【入場規制について諸外国でどのような例があるので参考にする】
- 【当面は原則日本人はだめということでやって、それから徐々に入場規制を緩めていったらいいのではないか】
- 【相当厳格な入場規制を日本人にはかけるべきだと思う。】
第5回(2017年6月20日)の議論では日本人の入場に関して具体的な意見が出ていました。
- 【マイナンバーカードなどによって厳格に入場回数制限を行う】
- 【1カ月程度の長期間における回数制限を設けた上で、それに加えて集中的な利用を制限するために、1週間程度の短期間における回数制限を組み合わせる】
- 【1度の入場から24時間以内を1回として数える】
- 【カジノ管理委員会が入場回数を一元的に把握し、個々の事業者からの入場の可否の照会する】
入場料
また、日本人の利用に際して、施設入場料についても第5回、第6回で活発に議論されていました。
入場料を徴収するのか、入場料の賦課について、入場料が依存抑止に繋がるのか、入場料を幾らにするのか、について議論されています。
シンガポールでは100シンガポールドル、日本円にして7,000~8000円を徴収しており、この水準を参考にするようです。徴収した入場料は、地域活性化などの公益目的に活用することを義務付け、周辺住民の理解を促す。などです。
4. いつ、どこに、カジノができる?
何処にカジノは出来るの?
誘致に立候補しているのは、北海道、東京都、千葉県、神奈川県、大阪府、長崎県、宮崎県、沖縄県
推進会議の第1回目で、IRの設置場所について、まず大都市から2、3か所でスタートし、それ以降徐々に増やし、地方都市でも展開する。などと話しています。
また、各地域がカジノの誘致に候補地しています。カジノ誘致の候補地として立候補しているのは、北海道、東京都、千葉県、神奈川県、大阪府、長崎県、宮崎県、沖縄県です。
- 北海道:小樽や苫小牧、釧路市を誘致表明しています。
- 千葉:幕張沖に人工浮島「メガフロート」案も出ています。
- 東京:ホテルや会議場がある台場・青海地区が候補です。
- 神奈川:横浜市が整備に向けた検討会を4月に立ち上げました。
- 大阪:臨海部の人工島「夢洲」が候補です。
- 宮崎:リゾート施設「シーガイア」周辺に誘致しています。
- 長崎:ハウステンボス周辺に誘致しています。
- 沖縄:施設構想に向けて調査費を予算計上しています。
参考資料 7月26日、日本経済新聞より
何時カジノは出来るの?
2023年~2025年
「IR推進法案」が可決し、約1年以内(2017年12月頃まで)に「IR実施法案」が国会に提出される予定です。順調に進めば、2018年に「IR実施法案」が成立します。次に、約1年程度の法整備の調整期間があり、その後、基本計画の立案、建設候補地の選定、建設地域との合意形成、環境アセスメントの調整など、諸々2、3年を要するでしょう。その後初めて、建設業者の選定、施設の建設となります。
また、総合型リゾートは、劇場、ショッピングモール、アミューズメント施設、レストラン、国際会議場など、カジノ施設以外に様々なものを建設するので、工期に2年~3年は掛かると言われています。
このようなスケジュールから大よそ、早くとも2023年から遅くとも2025年までには第1号の開設となるのでは、と関係者は見ています。
5. カジノ法案の今後の流れは?
- IR推進本部事務局「取りまとめ(案)~観光先進国の実現に向けて」を安倍首相に提出
- 2017年8月:IR推進本部 が IR実施法案 の大枠をまとめ、国民的議論を喚起(パブリックコメントなど)
- 2017年12月:秋の臨時国会 IR実施法案 が国会に提出へ
- 2018年:IR実施法案の可決
- 2018年-2019年:法整備
- 2021年-2022年:基本計画の立案、建設候補地の選定、建設地域との合意形成、環境アセスメントの調整
- 2023年-2025年:建設業者の選定、施設の建設
6. まとめ
2017年8月現在ではカジノ法案=IR推進法案が可決してスタートラインに立ったばかりです。今後、IR実施法案の国会提出、法整備、候補地の選定、施設の建設と、まだまだやることが山積状態ですね。観光産業を伸ばしたい日本としては、是非円滑に進めてもらいたいと思います。世界に誇れる IR=総合型リゾートの開発を望みます。