
MGMリゾーツ、サイバー攻撃の影響で第3四半期の売上に打撃
サイバー攻撃により1億ドルの打撃の見込み
MGMリゾーツ・インターナショナルは、アメリカ中の事業のグループのいくつかのシステムがダウンしたサイバーセキュリティー問題が、9月の調整後EBITDARに約1億ドルのマイナスの影響を与えるとの見通しを発表しました。
また、MGMリゾーツは、2019年より前に取引があった顧客の性別、生年月日、運転免許証や、一部の社会保障番号(ソーシャル・セキュリティー・ナンバー)やパスポート番号が、サイバー攻撃を行った人物が入手してしまったことを認めました。
報道によるとこのサイバー攻撃は、当初MGMのウェブサイトとメールに影響を与えましたが、直ぐに、ラスベガスを始め、アトランティック・シティやオハイオ州も含めたMGMが運営するカジノにある多くのスロットマシンがオフラインとなりました。
また、同様にATMもオフラインとなり、デジタルキーが利用できなくなり宿泊客がホテルの部屋から閉め出されたという報道もありました。MGMネットワークのほとんどの取引は手作業となり、クレジットカードの機会もオフラインであったため、現金のみで取引が行われました。
MGMは、この混乱が2023年の第3四半期、主にラスベガスの事業において、ネガティブな影響を与え、第4四半期には最小限の影響に抑えるとの見方を示しています。
これには9月の調整後EBITDARへの1億ドルの打撃が含まれ、ホテルの稼働率は2022年9月の93%から88%に低下となりました。またMGMは、このサイバー攻撃に関連して、技術コンサルティングサービス、弁護士費用、その他第三者アドバイザーの費用などで、1,000万ドル近い費用が、第3四半期中に発生したと発表しています。
11月には業績回復の見込み
しかしながら、MGMは11月には主にF1がラスベガスで開催されることから記録的な業績が期待でき、第4四半期は好調に推移すると見ています。さらに、ラスベガス・ストリップ・リゾートの10月の稼働率は93%(前年同期は94%)ですが、11月には完全に回復すると予測している。
このデータ漏洩について、MGMは顧客のパスワード、銀行口座番号や支払いカード情報は、取得されていないと考えており、サイバー攻撃の犯人がラスベガスのホテルやカジノのシステムやデータにアクセスしたり、入手したデータを利用しなりすましや口座詐欺などに使用されていないと考えています。
またサイバー攻撃以降、MGMのアメリカ国内の施設の運営は通常に戻り、全ての宿泊システムは復旧しました。そして、引き続き影響を受けたゲスト向けのシステムの復旧に注力し、これらのシステムは数日中に復旧する見込みです。
MGMリゾーツは以前、2019年にサイバー攻撃の被害にあっており、人気ポップシンガーのジャスティンビーバーを含む1000万人以上の個人情報がネット上に公開されました。
信用格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、今回のサイバーセキュリティー事件は、MGMリゾーツにとって信用にとってマイナスになり、事業運営上の重要なリスクを浮き彫りにしたと述べました。
尚、MGMリゾーツの日本法人である日本MGMリゾーツは、このサイバー攻撃の影響について言及しておらず、その影響は出ていないと思われます。
まとめ
先月末には、JMP証券のゲーミングアナリストは、MGMリゾーツは賠償金の支払いと事業の妨害をカバーするサイバー保険契約に加入しているため、保険料は上がることになるが、その損害は最小限に抑えることができる、と述べているという報道もありました。予想されていた通り、サイバー攻撃による金銭的な損害も大きいようですが、別の報道通りであれば、保険でカバーできている部分もあると思われます。
参考元:Inside Asian Gaming