
オーストラリア、ギャンブル広告禁止の声高まる、日本の場合は?
オーストラリア政府へギャンブル広告禁止の働き
反ギャンブル派と公衆衛生専門家たちがオーストラリア政府にギャンブル関連の広告の禁止を求めました。
オーストラリア政府へ、ギャンブルの広告の禁止やさらなる制限を求める声が高まっています。この働きは、オンラインギャンブルとギャンブル依存の人々への影響の調査結果が、近日中に出ることに関連しています。
労働党のペータ・マーフィー議員を筆頭に行われた調査で、ギャンブル広告が悪影響を与えるという証拠がすでに報告されています。アナリストによると、スポーツ中継の前後に映る、ギャンブル広告についての規制強化が提唱されており、そのアイディアは政府、野党共に支持されています。
しかし完全な広告の禁止は現実的ではなく、ギャンブル革命同盟(the Alliance for Gambling Reform)の代表であるティム・コステロ氏は、ギャンブル広告で飽和している状態からの脱却をするため、政府と野党の協力の可能性を強調します。
タバコ広告の禁止を例にとり、コステロ氏はギャンブル広告の禁止が最終的なゴールになるべきだと主張しています。
ギャンブルに関する研究者であるチャールズ・リビングストン氏は、調査委員会に出廷し、スポーツ関連団体や放送局への懸念を解消するため、金銭的なサポートを行い、段階的に広告を減らしていくことを提唱しています。また、リビングストン氏は、掛け金の上限を任意ではなく義務にすべきだと求めました。
ギャンブルと健康の研究者であるサマンサ・トーマス教授は、政府にギャンブルを公衆衛生問題としてとらえ、保健省の関与を強めるよう求めています。若者をギャンブル問題から効果的に守るため、トーマス教授は広範囲なマーケティングの禁止を主張しました。
アルバニージー政権は一期目に、オンラインギャンブルのクレジットカードの使用を禁止し、広告内の警告スローガンを「責任を持ってギャンブルをしよう」という言葉に入れ替えアップデートを行いました。
日本のギャンブル関連の広告規制は?
オーストラリアでは広告の規制が議論されていますが、では日本はというと、まず競馬や宝くじなどの公営ギャンブルですが、これらの広告を制限する法律はなく、メディア業界団体が定める自主規制があるのみです。
この自主規制は「投票券購入を想起させる表現、高額的中がある旨の表現、ゴール映像等を用いないなど射幸心をあおる内容にならないよう」と定められているのみなので、広告自体を制限するものはありません。競馬、競輪、宝くじなどのコマーシャルや広告をよく目にすることも多いと思います。
では、IRについての宣伝はどうなっているかというと、内容については「虚偽・誇大な表示」「客観的事実であることを証明することができない表示」「風俗環境を害するおそれのある表示」といったことが禁止されています。また、20歳未満がカジノに入場できない、ギャンブル依存に対する注意、といった点を入れることが決まっています。また、広告が出せる場所としては、IRの地域内、そして国際線旅客ターミナル施設内だけ、屋外広告物の表示が許されています。
そして、オンラインギャンブルについてですが、賭博そのものは法律で禁止されていますが、海外のライセンスを取得し海外で運営されているサイトであれば、明確にそれを禁止する法律がなく、グレーな状態です。しかしグレーな状態でありながらも、テレビ、ラジオなどで有名芸能人やスポーツ選手が出演する宣伝を見かけることがあります。例えばベラジョンカジノのCMは、無料プレイ部分を別サービスとして切り取り、"無料版の宣伝"として行っているため、問題がないようです。
まとめ
オーストラリアではギャンブル広告が至る所にあふれているという論調があり、さらなる宣伝規制を行う運動が行われているようです。日本については、公営ギャンブルについての宣伝は、強く制限されておらず、今後開業される予定のカジノについても、あまり強い規制がされていません。IRの導入がきっかけに、オーストラリアのようにギャンブル関連の広告の規制強化の声が高まるかもしれません。