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パチンコ業界を数字で掘り下げる
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パチンコ業界を数字で掘り下げる

【画像はagb nippon公式HPより】
今日のカジノのニュースで、パチンコ・ホールの最大手であるマルハンさんがギャンブル依存症とそれに対処する責任への理解を深めるため、認定NPO法人リカバリーサポート・ネットワークの西村直之代表理事を講義のために招き、8月28日にイベントを開催、500人が集まったとあった。日本のカジノ実現に向けて、ギャンブル依存症が一番のトピックとなり、パチンコ業界からすれば大きな迷惑と感じているだろう。
日本のIR情報が毎日のようにカジノ業界のニュースレターとして、アメリカのカジノ業界にも伝わってくる。その中で、カジノ関係者がよく聞かれることが、パチンコの売上の数字である。24兆円。これが、こちらのカジノ関係者が思い込んでいる日本のパチンコ業界の総合売上である。この数字が出された数年前は、為替で米1ドルが100円前後であったので、24兆円は約$240billionとなる。 久々に良い年となった2017年度のラスベガスのカジノ業界総売り上げ(カジノ、ホテル代、ショウ、レストラン、バーを含む)が、$26billionで、約2兆8600億円である。マカオがこれまで最高の売上があった2013年度マカオ全体のギャンブル収益からの総売り上げが、$45billionで、約4兆9500億円($1=110円計算)であった。
ついでではあるが、下記にラスベガスの2017年度の数字の内訳などを掲載させていただく。

ネバダ州の数字(2017年度)

  • 2017年度ネバダ州ギャンブル売上$11.1billion(約1兆2,210億円)                                       
    これは、カジノ・ホテルの総売上の42.4%であり、ギャンブル以外の収益が57.6%
  • ネバダ州にある、100万ドル以上のギャンブル売上のあるカジノは、272件
    そのグロス売上(ギャンブル、ホテル代、ショウ、レストラン、バーを含む)が$26,174,699,272(約2兆8、600億円)、
    ネット売上が$1,557,358,386(約1,700億円)
  • 州ゲーミング税(州ギャンブル税)と各種手数料が、$852,200,434(約937億円)でギャンブル売上の7.7%
  • 郡別で一番多く売り上げがあるクラーク郡(ラスベガスがある郡)には161件の100万ドル以上のギャンブル売上のあるカジノが存在。
    その161件のグロス売上が$23,472,870,573 (約2兆5,780億円)、ネット売上が$1,326,821,660(約1,460億円)


これらの数字を比較しても、アメリカ人がパチンコ業界の売上にビックリするのは無理はない。パチンコのホールには軽食レストランはあっても、バーや劇場やナイトクラブが備わってないので、ネバダ州のギャンブルのみの売上で比較しても、24兆円 vs. 1兆2210億円で、およそ20倍である。マカオのそれに比べても、パチンコ業界は4.8倍以上である。逆に、アメリカのカジノ関係者の中では、「日本にはパチンコがあるから、カジノは要らないだろう」と言う声も少なくない。
「日本人はどれだけパチンコが好きなんだ?」という事になる。

私も最近やっとこのパチンコの数字が実際の売上(収益)ではないことを勉強させてもらった。なので、是非とも英語でもこのコラムを書いてアメリカのカジノ関係者の誤解を解きたいと思う。

【Nikkan amusement 2015年1月16日発行「パチンコ店は19兆円も儲かっているのか」】より、
1.実際の売上は、もっと多い可能性がある
ダイコク電機さんの調査では19兆円ではなく、24兆円とある。→この数字がアメリカに広まっている感がある。
2.実際の所、粗利益は?
パチンコ業界の売上額→玉やメダルが貸し出される時に払われるお金の総計。
カジノ業界の売上額→プレーヤーがベットした額から払い戻された額を引いたもの。
両者を同じ土俵で比べるのであれば、パチンコで景品などで戻す分を引く必要がある。実際、パチンコの売上から景品でお客様へ戻した分を引いた粗利は15%程度になるため、24兆円の売上は、約2.9兆円程度となる。
3.ネット売上は?
パチンコの粗利益が約2.9兆円程度とあるが、ここから店舗の経費を引くことになる。パチンコ台購入費、販売費、一般管理費などを差っ引いて、マルハンさんの例でいくと、売上と称される数字の約2.7%が利益となっている。ダイナムさんは3%。この他、借入金などの利子+元金返済などを入れれば、純利益はこれよりはるかに減ることになる。結構薄利多売な業界であることがわかる。

パチンコ台の値段は?

    【パチンコ日報 2017年1月30日発行 「新台価格の上限は55万円?」】より、
    「大手メーカーともなると様々な将来予測を行っている。その中に遊技機価格がある。遊技人口の減少に伴い、ホール軒数も減ることが考えられる。そこで、メーカーが試算して、弾き出された将来の遊技機価格が55万円という数字だった」。「現在の40万円からすると30%以上の値上げ、ということになるが、現在よりも20~30%は販売台数が落ち込むことを予測して、55万円になっても買う余力があるホールを加味して算出された金額でもある」。

    2030年までには、この「新台55万円」が実施されるとのことである。因みに、アメリカのメジャーなカジノにあるスロットマシンは新台で90万円以上である。15年程前までは、スロット台を売買するのではなく、メーカーとカジノ側の商談により、リベニューシェア方式がとられ、「上りのいくら」を両者が分ける方式が多かった。この方式は、メーカー側からすると、人気台になれば長くカジノに設置してもらえて、売り切りの何倍もの収益を上げることができ、最初のカジノが要らなくなれば、中古となったその台を場末の田舎カジノなどに持っていくこともできた。カジノ側からすれば、設備投資の莫大な額を支払わなくても済む事になるし、人気台でなければ、短期間で交換していくこともできた。最近では、もっぱらカジノ側の買取りが主流となってきた。有名なメガ・バックスやホイール・オブ・フォーチュンはネバダ州内カジノ全ての同種のスロットにつながっていて、多くのプレイヤーが廻せば廻すほど、ジャックポットが増えていき、当たると何十億円相当のジャックポットが獲得できる。この種のスロットは買取りが出来ないため、人気商品であるにも関わらず、台数が軒並み減ってきている。

    「なぜ、パチンコ業界はいとも簡単に機械代の値上げをするのか? 答えは簡単だ。高い、高いと文句をいいながらもホールは高い機械を買うからだ。ホール経営者は新台がなければ商売できない、という考え方が支配しているので、メーカーを怒らせて機械が入らなくなるのを一番恐れている」。「新台は高いと文句をいいながら、平気で1台100万円もする中古機を買いますからね。メーカーはホールの習性をよく知っているので、機械代を下げることはありませんよ。だって、機械代を下げろと言いながら100万円もする中古機を買うんですから。新台なら2台は買えますよ」【同上】

パチンコ機械は中古でも人気があれば、新台より高価になるとは驚いた。パチンコ業界はホールさんより、メーカーさんの方が強いようだ。


レジャー白書に公式に出てくる数字が実際のところ「売上」ではない所が、何か理由があるのではないか?と疑ってしまうのは私だけではないはずだ。パチンコの三店方式をアメリカのカジノ関係者に説明する。そのシステムにほぼ全員が感嘆する。良きにも悪きにもだ。

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